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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第一章
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幕間の編。

今後こういう幕間のストーリーが増える。

 黒井さな子。女性、高校二年の17歳、日本生まれ。ディベート部の部員。そんな彼女はあまり趣味と言える趣味がない。


 ゲーム、漫画、ファッション、音楽、買い物……普通の高校生なら、絶対どれが触ることがあるはずのものだが、彼女にはなかった。


 その原因はとても現実的で、単純なこと――家庭の収入状況が許されないからだ。


 中学まで、クラスメートとの人間関係も少し悪かった。低収入で片親だから、色んなものを借りなければならない。


 学校のイベント、行事、その他諸々の活動、ほとんど制服や借りた道具で許された。


 その「特別に許された地位」のせいで、少し陰口、嫌われる傾向がある。


 でも、そんな彼女は普通の学校生活を送っていた。なぜ生徒たちにいじめられていないというと、彼女は世渡りがうまいからだ。


 笑顔、律儀、コミュニケーション、空気を読む能力……それらのスキルを身につけて、彼女の学校生活は表では何事もなかった。


 だが、悪口や嫌味などしょっちゅう言われた。それでも、その人たちと普通に交流できる。彼女も鈍感ではない。ただ気付いても気付かない「ふり」をしただけ。


 自分の感情を抑えて、表面上の平和を築けてきた。


 そして、中学卒業、高校に入って、黒井さな子の学校生活が少し変わった。最初は、ディベート部に入ることだ。


 ****


「さなちゃん、君はもう決めた?部活のこと。」


 今黒井さな子と会話する女子生徒は中学の付き合いで、高校に入っても同じクラスになったから、二人の仲が良くなってきた。


 名前は前田良奈まえだ よしな


「うん、もう決めたよ。前田さん。」


「ええぇ!そうか……どれにした?」前田は少し落ち込んだようだが、黒井さな子はあえて触れないようにした。


「ディベート部に入るつもりだよ。」


「ええ?!ちょっと意外。」


「うん?どうして?」


「だって、ディベートって、あれでしょう。人と言い争うみたいなことをやってるだよね?なんか、さなちゃんとのイメージに似合わないよ!」


「あはは……でも、他の部活だと、どれも金がかかりそうだから、ちょっとね。」


「ああ、そういえば、さなちゃんは片親だよね……」


「うん。そうだよ。」


 片親で低収入、それは中学の時、クラスの中で誰も知っていることだ。もちろん、前田良奈も分かっていた。


 それを言及するということは、黒井さな子は何となく次の反応がどうくるか察した。


「ごめんなさい……」


「……いいえ、大丈夫だよ。気にしてないから。」黒井さな子は笑顔で返事した。


 開学式の時、なんで前田良奈が話しかけて来たのか、黒井さな子はわからなかった。


 二人の関係はただの普通のクラスメートだった。全然交流しないわけじゃないが、友達になるほどの仲でもなかった—―つまり、上辺だけの仲だ。


 だから、前田良奈が話しかけてきた時、黒井さな子は少々驚いた。


 どうして私に?


 周りの人を見ると、どうやら中学の友達がいなかったようだ。


 なるほど、だから中学と同じクラスの私に……交流することがあるから、何となくわかる。


 前田さんは少々寂しがり屋の感じがする。


 そして、黒井さな子は前田良奈と少しずつ親睦を深めた。


 もともと彼女を拒否するつもりはない。ただ疑問を感じただけ。


 二人の関係性が変わった。


 変わったからこそ、黒井さな子にはわかる。


 その謝罪の意味、恐らく、二つの意味があるだろう。


 一つは、そのまま言及したことに対して。もう一つは……


 中学の時、黒井さな子は前田良奈に陰口や悪口も言われることがなかったが、制止することもなかった。


 当然、彼女の友達も彼女と同じ、面倒ごとに巻き込まれたくなかった。


 何もしなかった。友達との関係が崩されたくなかったから。


 恐らく……それに対しての意味だろう。


 どちらの意味も捉える謝罪の言葉、そして、どちらの意味も捉える返事……まるで無関心の言葉、あやふやで、曖昧すぎる。


 もし言いたかったことがあったら、直接言ってくれてもいいよ……そう言いたかった。


 でも、それは自意識過剰かもしれない。本人がそのつもりがあるかどうか私にはわかりようがない。それに、まだ時間が必要かもしれない。まだ二週間だから……だから、このまま返事しても……


「それより、どうして部活のことを?」


 ああ、結局、私たちの関係性、全然変わらなかったかもしれない。


「……ああ!あのね、実は、私放送部に入るつもりだから、さなちゃんを誘ってみたいかな――って……ほら、放送部もそんなにお金がかからないから、先輩もいいよって言ってくれた。だから、さなちゃんにも入ってほしいなと思ったの……でも、もう決めたなら大丈夫。うん。」


「そうか。そうだね。放送部もいいかもしれない。」


「じゃあ……!」


「……でも、入部届出をすでに提出したから、ごめんなさい。」


「だ、大丈夫ですよ!さなちゃんが謝る必要はない!むしろ私のほうこそ、突然誘って……」


「前田さん、ありがとう。誘ってくれて。」


「う、うん!」前田良奈は少し寂しそうな笑顔を浮かべた。


「では、そろそろ帰らなきゃ、また明日。」


「また……明日。」


 もし、このまま家に帰ったら、二人の関係性は何も変わらないだろう。


 しかし――


「あの!さなちゃん!」


 黒井さな子は教室の扉から踏み出したところ、前田良奈が呼び止めた。


「うん?どうしたの?」


「……えっと、一緒に、帰ってもいい?それと、今後も、部活時間が終わったら、一緒に帰ってもいい?」


 二人の関係性が変わった。


 少し沈黙の間、黒井さな子は返事した。


「いいよ。」

人称の視点がずっとコロコロ変わって、見にくくてすみません。

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