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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第五章
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 権利宣言書?使用人たちはほとんど“何それ”という顔をしている。


 レイヤーは少し考えて、「見識が浅はかで申し訳ございませんが、どうして権利宣言書を持っていると、メリー様は必ず処刑されるでしょうか?」と言った。


「それはわたくしが……いいえ、ロードルフ様、君の方が説明が一番わかりやすいでしょう。わたくしの代わりに説明して頂戴。」


 ロードルフ子爵は長い息を吐いて、まるで嘆いたように、


「俺のはただこいつの予想でしかありません。怯えないでください。メリー様。ちゃんと自分で説明してください。」と言った。


「予想の情報というより、ほぼ確定したでしょう……でもまあ、わかりましたわ。」


 メリー伯爵は一呼吸し、続いて言った。


「確かに『権利宣言書』を持っているだけで問題ありません。問題なのはそのものとわたくしの『立場』と『行動』の繋がりです。」


「それは……婚約の陳情とともに提出することですか?」とレイヤーが言った。


 メリー伯爵はふふっと笑って、「それも一つの理由になりますが、まだ完全ではありません。」と言った。


「よくわたくしの『計画』を考えてごらんなさい。その『計画』の中では、一番大事なのは何でしょうか?」


「噂……ですか?」「いや、市民だろう?」「いいえ、権利かな?」……


「噂は方法、市民は主体、権利は問題、これらを一つにまとめると――『知』ということですわ。これで皆様がわかりました?」


 使用人たちは知っているような、知らないような感じでメリー伯爵を見ている。この状況を見て、メリー伯爵は少ししょうがない顔で、こちらに向いた


「……ロードルフ様。わたくしはちゃんと説明しましたわ。やはり君が説明した方が理解しやすいでしょう。」


 ロードルフ子爵は嘆いて、補足するように説明した。


「つまり、メリー様は君たちに『知の権利』、また『権利の知識』を与えたということだ。今みたいにな。」


 少し沈黙の間、使用人たちはそれぞれはっとなって、わかるようになったらしい。


「……つまり、王族たちが知られたくないことを『噂』によって与えたということですか?」


「ええ、そういうことですわ。そして、わたくしの『計画』は、『噂』が真実かどうかさほど重要ではありません。大事なのはどう感じさせることです。」


 ここで庭師の使用人が言った。


「し、しかし、王族たちはそんなことでメリー様を処刑するなんて、理不尽すぎます!」


「……理不尽ね。」メリー伯爵はあまり認めていない様子だった。他の使用人たちも少し認められない感じだ。私も同じ。なぜなら、私も同じような体験があったから。


「……え、そうじゃないの?」自分の発言があまり同意されないから、その使用人が再び質問した。


 ロードルフ子爵はここで、


「いいか。さっき説得する時も言ったはずだ。この方法は『間違っていない』。ただし、『良くない方法』だ。この『知の権利』はメリー様が『どのように』与えたんだ?」と言った。


「真実がどうか重要ではない『噂』で――あ!」


「わかったか。『嘘交じり』の『知』が問題なんだ。少なくとも王族にとって、メリー様は『嘘交じり』なんだよ。」


「……そうか!だから『立場』が違うと、メリー伯爵様の『行動』が……」


 これでみんなより一層状況を理解できた。しかし、意見を出し合う討論がだんだんと「だからメリー伯爵様はあんな決意を……」、「それで気持ちを変えたくないんだ……」となってしまった。


「おい……」


「そうですわ。だから今も遅くありませんよ。わたくし、まだその気持ちが消えていません。必要でしたら――」


「皆様!」とレイヤーが大声で言った。


 レイヤーの声とともに、全員シーンと静かになった。


「あの、ロードルフ様はただより状況を理解させるために、このことを知らせてくれました。あまり、話をそらさないように。」


「あ、そうでした。申し訳ございません。」と、使用人たちがそれぞれ謝った。


「メリー様も……もう悲しいことを言わないでください。」


「……そうですね。申し訳ございませんわ。レイヤー。」


 やっと落ち着いたと思った途端、今度料理人の夫婦、女性の方が質問した。


「あれ?だとしたら、どうしてロードルフ様は知っていますか?」


 なんだろうこの既視感……この問題に、私とロードルフ子爵と同じ無力な感情が湧いた。


 メリー伯爵は逆に面白がるような感じで「ふふ」と笑い出した。


「バカ!さっき言っただろう。クロイ様からだって……」


「え?じゃあ……クロイ様は何者ですか?」


「知らないけど、でもそこ重要じゃないから……」


 これ……何かのコントかな?


「とにかくそこのお前ら、もういいだろう!みんなも状況が整理できただろう。さっさと意見を言え!」


 料理人の夫婦が謝った後、召使いが自分の意見を言った。


「では、その『権利宣言書』を処分したらどうでしょうか?」


「無理だな。」「無理ですわ。」


 どうしてって召使いが言った後、メリー伯爵はロードルフ子爵の方を見て、どうぞと言って、説明してくださいという意味らしい。


「はあ……今お前に『今のことを忘れろ』と命令したら、お前忘れるか?」


「それは……できません。」


「同じことだ。『権利宣言書』と『噂』はすでに一緒に何らかの形式で広がったのだ。

 そして、今『権利宣言書』はすでに『市民』そのものということ。『権利宣言書』を処分するということは『市民』を処分すること。

 それにたとえ強引に『市民』を処分したら、逆に王族にいい理由を与えるだけ。だから無理だ。」


「なるほど。」召使いは少ししゅんとなったが、納得した。


「でも考えてくれるだけでうれしいですわ。落ち込まないでくださいな。」


「は、はい!お褒めにあずかり光栄です!」召使いは嬉しそうにお辞儀をした。


「……では、他に何があるか?」


「あの、ならその王族の『噂』を変えたらどうでしょうか?」ここで副執事が言った。


 執事も「不肖もこの子と少し似たような考えがありますが、『知識』の部分を変えることです。」と言った。


 ロードルフ子爵は少し考えたが、ここでメリー伯爵を見ていた。


「俺にとって悪くないが……」「わたくしには無理ですね。」


「すみませんが、どうしてこの方法はロードルフ子爵様にとって悪くないですか?それと、どうしてロードルフ子爵様も答えました?」と料理人の使用人が言った。


「王族にとって、俺の『立場』が少し曖昧だからな。メリー様が流した『噂』、俺も含まれている。それに『悪い噂』だ。王族にとって、今俺ら二人の状態は恐らく対立(仮)だと思っているだろう。

 では、ここで俺が王族のために『噂』を変えたらどうなる?」


「それは……」


「わたくしとの対立が深まったと思って、すぐロードルフ様のことを一つのコマとして使うでしょう。その時、わたくしは必ず追い込まれますわ。」


「……まあ、俺はそんな簡単に王族のコマなんかにならないがな。」


「しかし、君とこの人たちまで危険性がありますわ。それに、この方法は『時間』が必要です。『噂』と『知識』を変えることは一朝一夕のことではありません。」


「そういうことだ。ちなみに執事よ。お前判断力とか仕事とかすごいが、こういう発想力が安直すぎる。騎士の経歴に引きずられるな。」


「面目ありません。」


「やめてくださいな。彼はわたくしの執事ですわよ。」


「ふん。そんなの知らん。安直は安直だ。」


「まったくですわ……」


「あの……」これから、「正式に王族にお願いする」、「プレゼントを送る」など、色んな意見を出したものの、あまりいい意見がなかった。


「レイヤー、甘えるつもりはないぞ。何か意見がないのか?」ロードルフ子爵が甘えないと言いつつ、何となくやさしめの口調だった。


「その……意見と言うほどではありませんが、メリー様は『噂』を流す方法、『知識』を与える方法は何でしょうか?もしかしたら、その方法で何が閃くかもしれません。」


「……そうか。」そして、視線がメリー伯爵の方に映った。たぶん言ってくださいという感じで見ているだろう。


 (それ、私も知りたかったですが。)


「だが俺が知るわけがないだろう。」


「ふふ。クロイ様も知りたいですね?」


「……そうだ。」


「言っておきますが、あまり変哲な方法ではありませんよ。」


「ああ。構いません。」


「方法は五つ:週刊誌、掲示板、ゲーム、演劇、音楽、これらですわよ。」


「そうですか……ごめんなさい。やはり意見が思いつきません。」とレイヤーが言った。


「そうか。」


 週刊誌以外は何となくわかるが、週刊誌というと、もしかして……


 (ねえ、ちょっと聞いてくれないかな?その「週刊誌」は「新聞」ですか?)


「ああ?なんだそれ。」ロードルフ子爵はわからない。なら――


「どうしました?」メリー伯爵が気になったようで聞いてきた。


「……『週刊誌』は『新聞』ですかって、こいつが聞きたそうです。」


「なるほど。『週刊誌』の名前が気になるでしょうか?結構重要なことですか?」


「おい、どうだ?」


(違います!もっと大事なことが確認したい、その――)私は自分が確認したいことを言った。


 この間、メリー伯爵は「でも、『新聞』……確かにいい響きですわ。『週刊新聞』に変えましょうか。」と言った。


「……これなら俺も答えられる。識字率ならここの使用人たちで考えていい。あまり悪くないだろう。

 教える場所は教えるだけだから、どこでもいい。学校と言うのは総称だ。

 そして、教育を施した時間はほぼ十年くらいだ。この女が設立したみたいなもんだ。」


 (……では、貴族学校と平民学校の成立する時間が違うのね?)


「当然だ。学校はこの女の提案だからな。王族はライン・バイアス様以外、ここまでするやつはいない。貴族も同じだ。この女以外、こんな面倒なことをしない。

 現に、貴族学校は宮廷闘争に化していた場所だ。前も言っただろう。このくらい察しろ。」


 そうか。なるほど……なら、やはり――


「ロードルフ様?クロイ様は一体何を?」メリー伯爵が口を挟んだ。他の使用人たちもこちらに見ている。


 ロードルフ子爵は私と会話する時、独り言みたいになるから、やはり注目される。


 ロードルフ子爵は簡単に答えた後、私はすぐロードルフ子爵に言った。


(なあ、ロードルフ子爵。私たちこの五日間でどう説得する時、二つの方法を考えただろう?この情報がわかったら、その方法を修正したい!)


「ああ?」


 そして、私はこの五日間で自分が考えた方法を修正して、なるべくわかりやすいように説明した。


(……どうだろう?この方法なら、誰も助けられると思う。君は少し苦労するかもしれないが……)


「……ふん。十年と比べれば大したことじゃない。それに、あの情報は今が役に立つとはな。」


 (何のためにやっていたら、意味ないものも意味あるものになる。メリー伯爵様が収集した「噂」、意味あるものにしよう。)


「ふん。お前こういうことを言うのが好きだな。」


(褒めてくれてありがとうございます。)


「はっ!褒めてないが、今回だけ特別褒めてやろう。いい方法だ。」


 あ……本当に褒めた。


 ロードルフ子爵はしばらく考えた後、「……でも、俺の方法が先だ。」と言った。少し疑問を感じたが、私も何となくその方がいいと思っている。


「メリー様。俺とこいつの提案、聞いてくれますか?」そして、さっき話し合っている全員がこっちに注目した。


「あら、いい方法がありますね?」


「確かに悪くない方法だろう。まず俺の方法からだ。メリー様、この国を離れませんか?」


「……どういうことですの?」メリー伯爵は少し鋭い目付きで睨んでくる。


「理由なら簡単だ。この国の王族や貴族なんか君のことをなめている。ならば、そいつらに忠誠なんか誓う必要がありません。そうではありませんか?」


 メリー伯爵は少し深呼吸をして、「しませんわ。」と言った。


「理由は?」


「自分を守るだけなら、十年前とっとと逃げましたわ。君とレイヤーを構う必要もありませんでしょう。」


「もちろん君だけではありません。気に入った人たちを――」


「ロードルフ様……それとも、ロードルフ子爵と言ったほうがいいでしょうか。もう一度申し上げます。わたくし、そんなことをしたくありません。わたくしは元々王族ではなく、『市民』と『女性』の味方です。もし忠誠というなら、わたくしは市民に誓いますわ。」


「ふん。俺なら逃げますがな、この屋敷の人間たちを連れてね。」


「まったく、君こそ王族をなめていませんか?王族の捜索能力をなめてはいけませんよ。」


「外国に逃げたら、王族でも何でもないでしょう。所詮自国の王族だ。」


「それもそうですが……」


「で、今回こいつの方法です。メリー様。俺と一つ芝居をしてみませんか?」


「芝居、ですか?」


「ああ。なあに、君のおかげで、俺の『評価』もちょうどいいですし。お互い『評価』らしく、振る舞いましょうか。」


 メリー伯爵は少し考え込んでから、すぐはっとなったらしい。


「でも、それは……」


「お互い様だ。それに、君もこいつのことが助けたいだろう?君にちょうどいい役割ですよ。」ここでメリー伯爵は疑問を感じたようだ。眉が少しひそめた。


「あの情報……忘れてはいないでしょう。」


 あの情報という言葉を聞いて、メリー伯爵は数秒でわかったようだ。


「……なるほど。だから先にあんな嫌な方法を教えてくれましたね。わたくしに受け入れやすいように。」


「言っておきますが、あれも悪くない方法ですよ。」


「わたくしには嫌な方法です。」


「そうですか。」


「あの、ロードルフ様。その芝居は一体……?」


「……ああ、お前らにも役割がある。そして、騎士と市民たちにもな!」


 そして、ロードルフ子爵は私の方法を言って、全員満場一致で同意した。


 細部の続きは急務部屋で話し合っていた。


 文字が読めないため、ずっと聞くことに集中していた。そして、全員で計画を決めた。これこそ陰謀論。


 もう一度計画とお互いの気持ちを確認した。同じくメリー伯爵を助けたい。何も変わらない。


 そして五日目、今日一日がやっと終わった。とても長く感じた。


 次の日、六日目、騎士団の要務と帰りの準備。


 七日目の朝、メリー伯爵は帰っていた。


 帰る前に、彼女は全員と挨拶をして、軽くハグした。恐らく、万が一の状況を考えていたかもしれない……ロードルフ子爵も軽く抱きしめた。


 やはり香水の匂い……濃い。


「……あまりこの匂い好かんな。」


「あら、ひどいですわ。この一週間、ずっと洗っていましたよ。」


「……香水の問題です。メリー様。『評価』らしく振る舞って、いい匂いもしたら、何かの奇跡が発生するかもしれませんよ。」


「ふふっ!ではそうしましょうか。」メリー伯爵は少し楽しく微笑んで、羽扇でロードルフ子爵の頭に触れた。


「帰りますわ。それでは皆様。ごきげんよう、さようなら。」メリー伯爵は言いながら、貴族女性の礼をした。彼女は馬車に乗って、帰っていた。


 帰途の馬車を見て、私はロードルフ子爵に話しかけた。


(……頑張ろう。)


「……ああ。」


 これから、大きな劇が始まる。

次話、幕間の編です。

そして、この章が終わったら、次章が最終章です!

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