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長いでーす!
計画は「実行済み」……これが問題点であって、一番付け入るところだった。
「失礼ですが、その『計画は実行済み』というのは、少し疑問を感じました。」
「疑問?何でしょうか?」メリー伯爵は手が羽扇のところにいつでも取れるように置いた。彼女は少々動揺していたかもしれない。
その羽扇、きっと大切なものだろう。
「メリー様の『計画』は四つの段階に分けられていますね。」
「ええ。そうですわ。」少し指で羽扇をいじって初めて視線をそらした。
「では、四つの段階に分けられて、今実行していなかったのはあと一つの段階、そうでしょう。」
「そうですわ……もしかして、ロードルフ様はそのもう一つの段階が実行していなかったから、『実行済み』とは言えないと言いたいでしょうか?」そして、彼女は羽扇を横向きの感じで手に持っていて、再びこちらに注目した。
「少し似ていますが、そうではありません。ただその言い方を変えたいだけです。」
「言い方を?それは何の意味もありませんでしょう。」
「いいえ、認識の齟齬を生まないように、適切な言葉はお互いにとって、より状況を把握することができます。」
「……いいでしょう。しかし、言い方を変えたところで、『実行した』という事実が変わりませんわよ。」彼女はパッと羽扇を開けた。
「もちろんです。『実行した』という『事実』がわかっております。」
「……では、どんな言葉をお望みですか?」
「『今も実行しているところ』です。」
メリー伯爵はすぐ羽扇で顔を隠した。
この感じ、やはり彼女はわざわざ「実行した」という意味の言葉を選んだのかな。自分の決意を変えさせないために。
この間、ロードルフ子爵と話し合っていた時、私たちそれぞれ気付いたことがあった。
元々、メリー伯爵は「計画の詳細が言いたくなかった」のだ。言いたくない理由ははっきりとしないが、少し予想ができる。
恐らく計画には変えられる部分があるからだろう。その変えられる部分はきっとアレだ。でも、予想は予想……はっきりした理由にならない。まだ説得するための理由にならない。
そして、ロードルフ子爵は長年の付き合いで、彼女がはぐらかすことが得意ということから、間違いなくほとんどの「事実」を言ったが、おかしな言い方があった。
それは「計画」の「実行」、「何も変えられない」言い方だった。これも私が初めて計画を聞いた時、とっさに思いつかなかった「質問」の正体だった。
メリー伯爵の計画は間違いなく「実行済み」、「実行した」のだ。この「事実」は揺るがない。しかし、その計画は「今も実行しているところ」なのだ。
何せ、噂の操作と印象付けは「維持」することが難点だから。特にそのバランスを保つのは難しいところらしい。噂が勝手に広がり、ひどくなる。印象付けも簡単に演説すればいいわけではない。だからロードルフ子爵はあまり評価のことを気にしたくない。
メリー伯爵の方法がわからないが、彼女は十年も「維持した」。そして、「今も維持している」。これもロードルフ子爵が「事実」がほしい一つの理由だった。メリー伯爵はちゃんと計画を実行したのかと。
そして、メリー伯爵は嘘をつかなかった。ただし、「今も維持している」ことを意識させないために、わざわざ「実行した」という言い方をした。まるで「過去は変えられない」みたいな言い方だった。
メリー伯爵は本当にはぐらかすのが得意だ。言い方を変えて、焦点をぼかした。
ただ、「計画」は「過去」ではない。「計画」の細部はいつでも変えられる。大事なのは「方針」だと。
恐らくこのことが言われる前に、少し違和感しか感じなかっただろう……
「……なるほど。しかしわたくし、計画を変えるつもりはありませんわよ。」真っ先にこれを言ったという意味は、やはり意識したのかな。
「……ええ、内容を変えなくても大丈夫ですよ。」
「『方針』も、変えるつもりはありませんよ。」
少し期待していたが、やはり気付くのか。でも……
「そうですか。でも言ったはずです。俺はただ言い方を変えたかっただけです。だから、その羽扇を下りてくれませんか?」
メリー伯爵はその話を聞いて持っている羽扇を一瞥し、ゆっくりと下りた。彼女に自分の仕草に意識を向けさせた。今少し警戒している表情だった。顔付きが表している。
メリー伯爵は羽扇がなければ、とても表情豊かな人物だろう。
「……では、その言い方に変えてもよろしくてよ。しかし、変えたところで、わたくしは気持ちを変えるつもりはありません。」
「そうですか。とても残念なことです。『君の言う通り』にしますよ。俺は『何をする』つもりはありません。『メリー様を助けない』、君の『自由意志』を尊重します。
時には『助けない』こそ『助ける』、そういうこともあるだろう。何せ、俺は『男性』であって、『貴族』だからな。」
メリー伯爵は片方の眉を上げて、自分の仕草に気を付けつつ言った。
「ええ……それでよろしい。では、話が終わりましたね?」
「まあ、もう少し話がしたいですが、ずっと気持ちを変えるつもりがないなら、仕方ありません。戻っても構いませんよ。」
「……では、わたくしは部屋に戻りますわ。」恐らく話し続けると良くないと思ったのか、メリー伯爵はすぐ羽扇を持ちながら立っていた。
ロードルフ子爵はメリー伯爵の背中を見送った……
「……レイヤー。退いてくださいませ。」
……と思った。
レイヤーは少し震えながら、メリー伯爵の前に立っていた。それは戻らせないという意志だろう。怖がっていても、レイヤーはロードルフ子爵に対しても諫めたのだ。きっと、簡単には退かないだろう。
そして、交流室にいた使用人たちも二階への進路を塞がった。自分たちは何ができるか、考えていたのだろう。
この状況を見て、「……何をするつもりですの?」メリー伯爵は初めて荒れた声で言った。慌てている。
……計画は今も維持している、恐らくこのことが言われる前に、「計画は実行した」ということに少し違和感しか感じなかっただろう……使用人たちは。
レイヤーは、悲しい感じと死んでほしくない、またメリー伯爵の気持ちも無駄にしたくないと言った。それはきっと、とてもモヤモヤとした曖昧な感情だろう。他の使用人たちもきっと、何らかのモヤモヤとした感情を感じただろう。
そんな感情があるのは、メリー伯爵が「事実」の言い方を変えたから。もうどうしようもないと感じさせるために。
「メリー伯爵様……」レイヤーが言った途端、
「話しかけないでくださいませ!何も聞きたくありません!」メリー伯爵はすぐレイヤーの話を遮った。
きっと動揺するから、聞きたくないだろう。
レイヤーは黙り込んだが、心配な顔をしている。
「ロードルフ様。この使用人たち、何とかして頂戴。」メリー伯爵はすぐ羽扇で顔を隠した。
「『メリー様を助けない』、俺はさっきそう言いましたが……」
「それは計画の話でしょう。今の状況は違いますわ。」
「いいでしょう。」
ロードルフ子爵はメリー伯爵の近くに立て、「使用人たち、全員元の位置に戻れ。」と言った。
しかし、誰も動かなかった。使用人たちはロードルフ子爵の命令に反抗した。
「申し訳ございません。どうやら俺の人望が足りなかったようだ。命令できませんでした。恐らく、これは皆様の『自由意志』でしょう。これも一つの権利です。ちょうどいいでしょう。」
今回メリー伯爵が黙り込んだ。
「……それと、羽扇を下りてください。メリー様。」ロードルフ子爵はメリー伯爵の羽扇を退かそうとすると、メリー伯爵はすぐロードルフ子爵の側から離れた。
今彼女は少し震えていて、何かを堪えるみたいに、目尻にキラと小さな水滴が見えた。
「……見えなくてもいいですこと。」こう言った後、メリー伯爵はすぐ使用人たちに向かって、
「いいですか。君たちは何が言おうとも、わたくしは気持ちを変えるつもりはありませんよ。」と言った。
誰も話さなかったが、退くつもりもなかった。その一人一人の表情は少し迷いがあるが、もっとあったのは決意だ。
「……何なんですの!『計画』は君たちのためにもやっていますのよ!どうしてわたくしの気持ちを変えさせるつもりなの?」
そして、レイヤーはもう一度話しかけた。
「その、メリー伯爵様……」
「だからわたくしに話しかけないでくださいませ!君は……」メリー伯爵は顔を隠したまま、レイヤーに向かった。
少し何秒の時間が遅れて、
メリー伯爵は震えている声で「君は……ただの……平民の、分際で――」と言いかけた次の瞬間、執事が軽くメリー伯爵の腕を掴んだ。
「メリー様、たとえ嘘でも、それを言ってはいけません。どうか、謹んでほしい。」
執事の言葉に、メリー伯爵は「うっ」という泣きそうな声を出して、言わなかった。
続きを言わなかったからだろう。執事は手を離れた。
平民の分際で、貴族に話しかけないでちょうだい……という感じだろうか。それを言ったら、きっと二人も傷づくだろう。
「メリー伯爵様……返事しなくてもいいです。でもどうか、私に自分の気持ちを言わせてください。」レイヤーはそれを構いなく、優しく少し寂しい笑顔で言いながら、メリー伯爵のところに近づいた。
メリー伯爵は何も言わない。ひたすら羽扇で顔を隠し、もう一つの手で涙を拭いた。抵抗も拒否もしなかった。だからレイヤーは続けて言った。
「私にとって、メリー伯爵様はとても素晴らしい人です。ロードルフ子爵様と違って、メリー伯爵様は親身で優しくて、私と使用人たちの皆様に、また市民たちにも味方になってくれました。それは目に見えている『事実』です。」
「……それは純粋な善意で助けることではありません。わたくしはただ『自分のために』やっていました。別に素晴らしい人なんかではありません。」まるで反駁したかったかのように、メリー伯爵はおろおろとしながら言った。
レイヤーは頭を横に振って、
「その真意はどうであれ、メリー伯爵様はずっと見捨てていません、ずっと私たち、市民たちのことを軽視していません。ずっと長い時間を続いて、私たちの声を聴いてくれて、味方になってくれました。それはきっと、難しいことだと思います。」と言った。
メリー伯爵は沈黙した。反駁するのも、反駁しようともできなかった。
“自分の間違いに認めることに、強い心が必要“と同じく、”一つのことをやり続けるには、強い心も必要だ“。もしそれはやりたくないことならばなおさら。
たとえ真意はどうであれ、メリー伯爵は難しいことをやり遂げたのだ。この人たちにもわかっている。理解できなくても、メリー伯爵の気持ちがちゃんと伝わったのだ。
レイヤーが両手を組み合わせて、胸の前に近づき、神に祈っているみたいなポーズで跪いて言った。
「メリー伯爵様。私がやりたいのは、メリー伯爵様の味方になりたいことです!助けたいことです!だから、どうかメリー伯爵様のその気持ちを変えてほしい……私は、メリー様に死んでほしくありません!だから、どうか……」
レイヤーの言葉に続いて、進路を塞いだ使用人たちも「私も」、「僕も」、「俺も」……と言い続けてきた。
「……なら、わたくしは変えません!味方になってくれるなら、その道を開けてくださいな!」
これは、今まで十年も続けてきた、メリー伯爵がずっと一人で頑張っていた彼女のわがままだ。
今更気持ちを変えてどうすると、そう思っているかもしれない……でも、使用人たちもずっとそのわがままを見続けてきた。誰も開けなかった。
「……ああ、そうですか。わかりましたわ!」
何がわかりました?と思っている瞬間、メリー伯爵は続けて言った。
「今君たちの行動は、全てロードルフ様の指示ですね!ならロードルフ様、もう一度命令してください。『わたくしの行動を邪魔しないで』と。」
「言ったはずです。これはこいつらの『自由意思』です。俺は一度もこんな命令をしたことがありません。
もしそんな命令をしたら、さっきの命令も従うでしょう。こいつらがただそうしたかっただけです。メリー様。」
「嘘ですわ。これは君とクロイ様二人で考えた『計画』でしょう。」
「嘘ではありません。メリー様。仮にこんな大きな『計画』があったとしても、ここにいる全員が共犯体制です。それとも、君はただ全員の気持ちを無視するつもりですか?」
メリー伯爵は羽扇の後ろに顔をうつ伏せた。さっきレイヤーのこともあったからだろう。これ以上言いたくないようだ。
元々私とロードルフ子爵はどう説得するかと言わなかった。説得に「協力してほしい」だけだった。
全員、そうしたかったのは全て彼女の人柄と人望だ。もしちゃんとしなかったら、もし今までのことは全てが嘘と権力で積み上げてきたのなら、きっと今の状況にならない。
数分の沈黙が続いた。誰も譲らなかった。この膠着の状況に、私はここで――
「メリー伯爵様。」私はなるべく優しい笑顔を作りたかったが、少し固い表情がどう表しているのかわからない。
「……クロイ様。ずっと探っていましたが、出てきましたね。」メリー伯爵は目を羽扇の上に表して、私のことを見ている。
どうやら、ずっと私のことを警戒しているみたいだった。
「ええ。でも、私は演技がうまくないから、ずっと見ているだけです。」
「……すぐわたくしが言いたいことがわかってくれますね。」
「それは恐らく、私たちが似ているからでしょう。」
メリー伯爵は目を見開いて、少し複雑な感情を感じた。
「メリー伯爵様……ううん、メリー。」メリーという呼称に、メリー伯爵はすぐビクッとした。
「君は『一人』でここまでできるのは、よく頑張ったと思います。実質上のことではなく、もっと精神的な意味で。」
メリー伯爵は羽扇もうまく持ち直せないように、プルプルと震えていた。その潤った目に今にも泣きそうで、まるで可憐な少女だった。
「でも、君はもう『一人』で頑張らなくても大丈夫です。ここにいる人たち、ロードルフ子爵様も、みんな君の味方・仲間だから。
ここの人たちは、『甘やかし』てもいい人間ですよ。ロードルフ子爵様もこれを言いました。」私はメリー伯爵のところに近づき、彼女の手を軽く持ち上げ、握った。彼女は拒否しようとしなかった。
ただ震えている感覚が伝わってくる。この震え方、私と同じだ。私と怯えていることと、同じだ。
「でもそんなの……ずっと続けられるかわからないじゃない……」
「ええ、そうですね。でも、無視したくありませんでしょう。この人たちの気持ちもわかっているでしょう……ただ、『失う』のが怖いでしょう。」
彼女は最初から、こちらの行動を見抜いたとしても、強引な行動をとらなかった。食事する時も、会話する時も、道が塞がる時も……防衛しかしなかった。失うのが怖いから。
メリー伯爵は目を見開いて、何も答えなかったが、頷いた。その目尻の涙も静かに流れた。
「一人でいるのは怖いけど、ここにいる人たちを『失う』のがもっと怖い。失いたくない、死なせたくない……だから、君は自分の気持ちを変えたくない、最後まで貫き通すしかないと、そう思っているでしょう。」
「一人」はきっと寂しかっただろう。きっと少しずつ関心を持っていただろう。だから、「一人」の自分が死んでもいいと思ったのだろう。でも、彼女に気付かせるべきだ。私のパパが気づかせてくれたように、周りが君のことを大事にしている人がいるよと。
彼女は頷いた。持っている羽扇はすでに動揺すぎて、彼女の顔を隠しきれなかった。その表情は悲しみによって、愛しさも感じるほどぐちゃぐちゃになった。私は軽くメリー伯爵を抱きしめた。
「本当にレイヤーさんの言う通り、君は素晴らしい人です。君にとって、ここにいる人たちは大切な人だから、ここまでできました。とてもえらいですよ。」
「……ずるいです。ずっと警戒しているのに……でもこんなこと言われたら、わたくしは……」メリー伯爵は揺らいだ。その決意、その覚悟、そのわがままが……
(ふん。わがまますぎる……)確かにわがままだ。十年も……あるいはもっと長く続いたかもしれない。
でも、今の彼女は必要なのはこの言葉ではない。
「……メリー。君の決意、みんなに分けてくれませんか。ここにいるみんなも今、失いたくない人がいたから。君に、死んでほしくないから。」
数秒間の沈黙。
「……いい、でしょう。わたくしも、死にたくありません……本当は、最後まで死んでもいいと、考えました。でも……」
「でもそれは、わがままですね。」
「本当に、すぐわたくしが言いたいことがわかってくれますね。クロイ様。まるで、母上……」メリー伯爵は少し笑顔を見せてくれた。
「……しかし、私は母上ではありません。黒井さな子です。」私もできるだけ笑顔を見せてあげたかった。でもやはり表情が固い。
「ふふ。わかっていますわ。ただ少し期待していただけです……」
「……そうですか。」こう言って、私はメリー伯爵から離れた。
そして、話が一段落したと思っているからだろう。レイヤーを始め、使用人たちもそれぞれメリー伯爵に近寄って話し始めた。
「……つまり、メリー伯爵様は気持ちを変えてくれる、ですね?」「ええ、そうですわ。レイヤー。」
「もう死にたくない……ですよね?」「そうですよ。カメリアさん。」
「……説得できましたよね?」「その通りですわよ。ウリム君。」
「阻止成功、ですか?」「ええ、バベリアさん。」と、使用人たちが確認しに行った。
執事も、「不肖もずっと、迷っていました……一体メリー様にどう助ければいいかと……申し訳ございません。メリー様。」と言った。
メリー伯爵は頭を横に振って、「こちらこそごめんなさい……執事。迷惑をかけましたわ。」と。
使用人たちの話にそれぞれ返事し、メリー伯爵はみんなが見える中心のところに立っていた。
「本当に、皆様に迷惑をかけましたわ。申し訳ございません。」
大丈夫です、いいですよと、全員それぞれの返事をした。
「でも……やはり一つの問題が残ります。皆様の気持ちがわかりました。しかし、わたくしが気持ちを変えたところで、計画が実行した事実が変わりません。王族と対立してしまった事実も変わりません。
だからその……皆様には力を貸してほしい。この後はどうすればいいのかと……」
メリー伯爵は不安がりながら言った。みんな喜んで助けたがっている。
本当にメリー伯爵の立場と気持ちを変えさせた。私はホッとして、ロードルフ子爵と交換した。
ロードルフ子爵は交換した後、すぐ「……ところで、お前ら。」と言った。
「どうしてこの女は必ず処刑されるのが、わかっているのか?」
それは王族と対立したのだろうと、噂と印象の問題じゃないかと、色んな見解が飛び交うが、気付いてなかったようだ。
「どうでしょう?メリー様。これで疑問も消えたでしょうか。こいつらがわかりませんよ。」
疑問?執事以外、使用人たちは何もわからない様子だった。
「さっきわたくしが言ったロードルフ様の『計画』のことですね……嫌な男ですわ。さっき本気ではありませんわよ。今信じております。」
「そうですか。とりあえず、こいつらがわかりませんよ。意見を出しやすいように、アレを言ってください。」
「アレ……ロードルフ様はどこから知りましたの?」
「こいつがわかっているらしい。予想でしかないが。」
「クロイ様が?クロイ様は……何者ですの?」
「知りません。だが、異様な知識を持っている。」
「そうですか……」メリー伯爵はしばらく考え込んで、喋らなかった。
レイヤーは「あの……そのアレは一体何のことでしょうか?」と言った。
メリー伯爵は深呼吸して、私が予想していたアレを言った。
「『権利宣言書』です。」
物語はいよいよ終盤です!
使用人たちのヒミツ1(執事):
実は、執事は自分の名前が変だと、名前を呼ばないとお願いした。執事の名前はフー。
メリーが子供の頃、執事もよくメリーのことを世話することがある。
「フーさん――」
「メリーお嬢様。ずっとお願いしましたか、私の名前を呼ばないでほしい……執事と呼んでほしい。」
「ええ?でも、フーという名前の響きが面白――」
「メリー。」メリーの母がすぐメリーを阻止した。
「……ごめんなさい。」
「よろしい。」
時間が経て、執事はロードルフ子爵家にて。
「おい!フー!この資料を――」
「……子爵様。私の名前を呼ばないでほしい。」
「ああ?何でだ!」
「執事と呼んでください。」
「……おお。」執事の圧に負けて、ロードルフ子爵は普通に返事した。
自分の名前を気にして、名前を呼ばないように尽力するフー執事である。




