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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第五章
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5

メリー伯爵はここに来て、三日が過ぎた。


 この間、私はずっとロードルフ子爵とどう説得すればいいのかと考えていた。


 ロードルフ子爵は協力してくれるが、少し元気がなかった。でも、メリー伯爵に死んでほしくない気持ちが一緒だったから、協力してくれた。


 恐らく、彼はメリー伯爵の気持ちを尊重したかったのだろう。あるいは、この事態にどうすればいいかわからないだろう。


 でも、メリー伯爵は「死にたくなかった」。彼女はやりたくないことより、やりたいことを優先したのだ。人は自分の気持ちばっかり注目すると、わがままな生き物になる。メリー伯爵も「人」だ。今はわがままになっただけなのだ。


 だから、「死にたい」わがままなんて、聞かなくてもいい。それは本心ではないから、ただの「覚悟」だけなんだ。


 それに、メリー伯爵のやり方は間違っていないが、良くない方法だった。


 なぜなら、私はわかっている。この王国、ずっと外国史と似ている部分がある。ルネサンスや産業革命みたいな時代と同じ、この状況が歴史と似ている部分があったのだ。


 では、もし外国史から考えれば、この状況に一番似ている歴史は一体何だったんだろうか。


 それはメリー伯爵が言った言葉、「夫人」・「女性」・「市民」・「噂」から想像できる。


 もし「噂」のことを「宣言」に変えれば、一番当てはまる状況は――「フランス革命」だ。


「人間と市民の権利の宣言」、「女性の権利宣言」、「ヴェルサイユ行進」……メリー伯爵がやっていることはそのどれか、あるいは全部整合していて、似て非なることなのかもしれない。


「権利派」のメリー伯爵なら、「権利宣言」の文章も「婚約の陳情」とともに、すでに用意してあったかもしれない。


 だったら、なおさら阻止しなければならない。フランス革命の結果は確かに王政と旧体制が崩壊された。しかし、その革命の間に、フランス革命戦争も起きてしまったのだ。


 その戦争が名の通り……フランス革命を巡って行われた戦争だった。


 戦争が起きてしまった場合、私は帰るどころか、一緒にロードルフ子爵と死ぬ可能性が高いだろう。


 だから、情においても、理屈においても、メリー伯爵を阻止しなければならない。


 そのため、まず計画のメリットとデメリット、計画の問題点や市民たちの評価、それらを考えなければならない。


 計画はメリー伯爵が一人で考えたものだった。だから、その計画の中に必ず欠点がある。


 しかし、欠点のことを言うだけでは足りない。彼女の「気持ち」、もっと根本的な部分――その「立場」と「覚悟」を変えなければならない。


 だって、メリー伯爵が決意した。


 恐らく、「人」として生きていて、「人」として死ぬつもりの決意だろう。「貴族」になりたくない決意だろう。


 でも、私たちにも決意がある。それは死なせたくない決意。また一番大事で大切な「気持ち」――死んでほしくない気持ち。


 どうしたらメリー伯爵の「心」を掴むことができるのか、三日間、ずっと方法を考えていて、討論し合っていた。


 私はこの三日間のことを思い出して、ロードルフ子爵と状況を整理した。


 一日目は、「ディベート」で計画の問題点を探す。そして、話が終わったら、使用人たちにメリー伯爵に対して、どう思っているのかと聞いてみた。自分のことはもう隠す必要がないため、「私が聞きたい」という体でロードルフ子爵が聞いて回った。


 大体好感を持っているそうだ。彼女は嫌われていない。特にレイヤーはメリー伯爵のことがすごく尊敬しているらしい。元々メリー伯爵は普通の貴族と違って、いい人だと認識されているから。


 でも、匂いがキツイとか、嫌な口ぶりとか、彼女も少し欠点がある。完全に好かれてはいないが、包容できる範囲だった。


 私もメリー伯爵のことが嫌いではない。ロードルフ子爵も同じだ。お互いメリー伯爵に死んでほしくないと確認できた。


 二日目は、試しにメリー伯爵の考え方を聞いてみたが、気持ちが変わらなかった。恐らくこちらの気持ちがわかって、しょうがない顔をして、一緒に町中に散策してほしいとロードルフ子爵に願った。


 ロードルフ子爵は断らなかった。町中に散策する時、メリー伯爵は少し悲しい顔をした。やはりその悲しい顔を見て、前日の言葉はただの「覚悟」だと思う。


 三日目、メリー伯爵の方法よりいい方法を考えてみた。二人だけでは少し難しいため、使用人たちにも意見を聞いてみた。


 しかし、メリー伯爵の気持ちを無視したくなかったようで、あまり適切な方法が見つからなかった。


 自分の考え方を言ったものの、あまり受け入れてなかった。メリー伯爵の人柄もあって、たぶん私の言葉より、彼女を邪魔したくないほうが勝っているだろう。


 結局、三日が過ぎた。


 まだいい方法が見つからなかった。


 メリー伯爵の気持ち、私一人では絶対阻止できないと思う。ロードルフ子爵が加えても。


 その立場と覚悟を変えさせるために、必要なのはもっと大事な人の言葉でなければ……


 しかし、その大事な人は誰だ?レイヤー?執事?ロードルフ子爵?市民たち?どれもピンとこない……


 今日は四日目だ。やはり、一人で考えるより、もっと他人の意見を聞かなければ。


「メリー伯爵の大事な人……」


(……ごめん。ロードルフ子爵はわからないよね。)


「……いいや、あの女は言ったことがあるだろう。『愛する人のために』。その人が大事だろう。」


 (それはそうだが、その人は誰なの?)


「予想はあるが……まあ、レイヤーに聞いた方が確実だろう。」


 レイヤー……


 ロードルフ子爵はレイヤーの前に行った。掃除しているところだった。


「ご主人様。こんにちは。」ロードルフ子爵を見た途端、お辞儀をした。


「ああ、こんにちは。お前に一つ聞きたいことがある。」


「何でしょうか?このこともクロイ様が聞きたいことですか?」


「そうだな。メリー様の大事な人、何が思い当たる人がいるか?」


「大事な人ですか。それは恐らく、メリー伯爵様の母上でしょう。」


 メリー伯爵の母……

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