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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第五章
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2

 「――お前、”自分が死んでいたかもしれない”と言ったな。」


 さっき、メリー伯爵が言った言葉も聞いていた。ロードルフ子爵は私と会話するつもりだろう。


 メリー伯爵……ありがとう。


 (そうだ。)会話すれば、私は確定される。認識される。私は、生きている。


「何で確定ではない言い方をする?」ロードルフ子爵は手を動きながら、食事を進んで言った。


 (それは……「死ぬ直前」の記憶だから。)


「だったら、死んでいなかった可能性もあるだろう。」ロードルフ子爵が言いたいことがわかる。


 (わかっている!しかし――)


「しかし、“死んでいた可能性もある”、そう言いたいだろう。」


 (そうだ。)


「ならなおさら心配する理由がないだろう!」


 (違う!それこそ心配する理由になるんだ!)


 ロードルフ子爵はチッと舌打ちして、ご飯を食べた。まるで自分に冷静させるように、大きな一口を食べた。


「……わかった。なら少なくとも、俺にとってそれは心配する理由にならない。これでいいのか?」


 (全然良くない……)


「じゃあ、俺も一緒に心配した方がいいのか?お前がさっきそうしたかのように。」


 (……私が?)私はさっきのことを思い出して、そして否定した。


 (違う。私はただ「会話」がしたかっただけ!「事実」も伝えなきゃと思ったんだ!)


「ほう。面白いことを言ったな。」


 (面白い?全然面白くないだろう……)


 ロードルフ子爵は少し手を止めた。視線がメリー伯爵の方に向かった。


「メリー様。ここは一つ君に聞きたいことがあります。お前、会話がしたかったんだろう。なら、ここはちゃんとメリー様の話を聞くように。」


「あら、いいでしょう。何のことでしょうか。」


 ロードルフ子爵は何がしたいのかわからないが、今会話の「対象」がメリー伯爵に移してってことだろう。


 会話ができるなら、誰でもいい。しかし、今私が会話できるのは、ロードルフ子爵しかない。無理やり表に出ても、耐えられる自信がない。


「メリー様。この十年間、『不老不死』を追求する『ふり』をしていましたね。」


「ええ、そうですわ。」メリー伯爵は素直に答えた。メリー伯爵の食事がすでに終わった。ロードルフ子爵の言葉を真摯に傾いていた。


「では、『不老不死』を追求することに対して、『感想』、あるいは君の『気持ち』を、聞かせてくれるでしょうか。ちなみに、『過去』の話をしても構いません。むしろ、『約束』があるので、いい機会です。」


 過去の話……そうだ。この二人の過去に何があったか、私にはわからなかった。確かにいい機会かもしれない。


「なるほど。いいですわ。では、まず過去の話から言いましょう――」


 その後、メリー伯爵が言った過去の話はあまりにも壮大すぎで、少し信じがたい。しかし、嘘には聞こえなかった。


 もし嘘だったら、ロードルフ子爵がその場で指摘するだろう。


 指摘しない場合、この話は嘘じゃない、あるいは共犯体制――私を引き込むために一種の陰謀論になる。


 メリー伯爵とロードルフ子爵との関係性が解明した。口を挟む余裕がなかったし、挟むこともできなかった。


 二人の過去に、そんなことがあったんだ。でも……ロードルフ子爵、迷惑をかけすぎたではないか?


 話が一段落のところに、私はロードルフ子爵に話しかけた。今彼に話しかけるしかない。


 (あの……ロードルフ子爵。)


「ああ?」ロードルフ子爵も食べ終わった。使用人たちは食堂に入って、食器を片付けていく。


(私が聞きたい質問を、言ってくれる?つまり、代弁してほしい。)


 そして、ロードルフ子爵は少しふっと嗤ったようだ。


「……いいだろう。こいつは何が質問したかったようです。メリー様。」


「いいですわよ。何が聞きたいですか?クロイ様。」


 まるで会話……いや、間違いなく彼女と会話している。


 メリー伯爵の瞳には、ロードルフ子爵の様子が映っているのに、「私」を見ているような感じだった。


 真摯に聞いてくれるのに、私は「会話」がしたかっただけ……罪悪感が……


 (どうして、「不老不死」を選んだのですか?って。)


「どうして、「不老不死」を選んだのですか?って」ロードルフ子爵は私の問題をそのまま、淡々と述べていた。


「ふふ……いい質問ですわ。」メリー伯爵は軽く笑って言った。


「『不老不死』を選んだ原因は、誰にもわからないことですから。つまり、『人』にとって、それは『不可知領域』ですから。」


 不可知領域……パパも言ったことがある。それは「不可知論」のこと。


 (つまり、「不老不死」と同じようなことであれば、原因は「不老不死」に限らない、ですか?)


 ロードルフ子爵は私の問題を述べた後、メリー伯爵は綺麗な微笑みをかけて頷いた。


「そうですわよ。同じようなことであれば、『不老不死』じゃなくても構いません。しかし、ロードルフ子爵に信じ込ませるためには、わたくしも少し調べたことがありました。

 クロイ様、わたくしが調べた『不老不死』のこと、聞きたいですか?」


 (……聞きたいです。聞かせてください。)


「聞きたいようです。」


「いいですわよ。」


 会話が、成り立っている……これは、私が求めていた「現実」。

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