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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第一章
5/75

5

 (ロードルフ子爵は常に色んなことを考えている。だから、言いたいことがわかる。なぜそう言いたかった理由もわかる。)


 ロードルフ子爵は喋らない。もちろん、怒っている。

 

 説得するには、この一言が一番だろう。


(しかし、それは私の自由意志ではない。)


「……自由意志。」


(ええ、自由意志。)ロードルフ子爵は感情の制御は苦手だが、バカではない。この言葉の意味はきっと知っている。


 「何が言いたい?」


そして、これは確認するための質問だ。


でも、答えよう。


 (つまり、私がいても、ロードルフ子爵のやりたいことは何だろうか?)


 ここまで言ったら、ロードルフ子爵もわかっているはずだ。


 「……領主の務めを全うするつもりだ。」


 (そうだね。そう答えてくれると思った。だって、あなたの責任感、私も感じてしまうほど強いから。)


 「ふん。」


 (しかし、私は領主ではない。たとえ私はあなたの身体にいても、それらのことをやるつもりはない。)


 「じゃあ、お前はずっと身体の中に居続けるつもりか?」ロードルフ子爵は冷静な感じで質問を投げてくる。


不思議だね。さっきと同じ質問なのに、まったく違う意味が聞こえる。


 (もし、ずっとこの関係性のままだったらね。)


 「ふん!つまり、お前はどうしても『平等』な立場にいたいわけか。」


 (うん……今は「平等」というより、「同じ」の方がしっくりくるね。)


 「ほう、その違いは?」私に説得されたのか、それとも冷静になったからか。ロードルフ子爵は私が言った言葉に少々気になったようだ。


 (「人」と「仲間」の違いだ。)


 「続け。」


 ……「もっと説明しろ」という意味だろう。


 (今私が欲しいのは「平等に交流する人」ではない。「優しく接してくれる仲間」だ。)


 ここまで言ったら、どんな人でもわかるはず。


 ロードルフ子爵は再び鼻で笑った。


 「ふ、つまり、『優しく接しろ』ってことだな。」


 まあ、そうだね。


 「いい度胸だ。」


 (ありがとうございます。)


 「ほめてねえ。」


 (知ってる。)


 少しの間、ロードルフ子爵は目を閉じて、沈黙を続く。


 今、ロードルフ子爵は色んな考えが脳内に飛び交う。私はなるべくそれらの思考を意識しないようにする。


なぜなら、領主の考えことがありすぎる。勝手に触ったら、「私の意志」まで飲み込まれそうだ。


それは「精神の強さ」なのか、「意志の強さ」なのか、私は分からない。


しかし、直感で分かる。「私の意志」が飲み込まれたら、「私が私でなくなっちゃう」。


だから、意識しないようにした。


 恐らく、ロードルフ子爵は最初から感じたのだろう。


 「身体が勝手に動いた」、「なぜだ?」、「身体が奪われた?」、「誰の仕業?」……そして、「私の意志」を感じた。


 「私の意志」を意識したら、飲み込まれそうになった。


 「このままでは、俺が俺でなくなる」、「消えたらどうなる?」、「死……」


その心境が想像できる。


 だから、現れた「私」のことを警戒した。敵意を剥き出しに。


 申し訳ない気分だ。だが、謝る必要はない。私が自分の意志で入ったわけじゃないから。


それに、あの状況で謝ったら絶対勘違いされる。


「私が私でいられる」のは、たぶん他の方法はない。そのために、彼に「私」を仲間として受け入れるしかない。


 ロードルフ子爵が目を開けて、鏡を通して、「私」を見た。


 考えがまとまったようだ。


 おかげで、私も自分の思考をまとめ終わった。


 「いいだろう。『仲間』になってやろう。」


 (良かった。「優しく接してくれる」んだね。)


 「ああ。ただし、それは『人』として扱う前提だ。」


 (つまり……)言いたいことが何となくわかる。それは、なぜ領主の仕事を勉強しなきゃ理由だ。


 「俺の身体にいる以上、領主の仕事をやる必要がある。お前のために、全てを尽くすわけがない。」


 (そうだね。)


 「この返事、お前はわかったうえで言ったのか?その自由意志だのなんだのって。」


 (そうだけど、とても重要なことだよ。やりたい気持ちってのは。私は君に命令されたくないの。)


 「ふん。そうか。」


冷たい反応だが、反論してこないってことは優しくするつもりだろう。


 (それに、私は勉強できない。)


 「理由を言え。」


 (文字が読めない。)


 「どういう意味だ。学生だろう。」


 (違う。全ての文字が「線」みたいなんだ。つまり、「文字」ですらない。)


漫画とかゲームとか、書類ものの文字は大体線みたいね。

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