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はっきり言って、私は迷っている。しかし、ロードルフ子爵は他人の前に私に話しかけた以上、必ず怪しまれるだろう。変人扱いされるかもしれない。
「……返事は?」
「どういうことですか?それと、『お前』とか――」
「違います。メリー様。君と会話しているわけではありません。」
「……どういう意味です?」
「とりあえず、お待ちください。メリー様。重要な話です。」
そして、メリー伯爵は静かになった。ロードルフ子爵の言う通りにしただろう。視野が暗いままだから、何も見えない。
(……一つ聞いてもいい?)
「何だ?」
(どうして私が「断ろう」と言った後、すぐこんなことをしたの?)
「お前とメリーとの立場がわかったからだ。」
私はさっきまでの流れを思い出した。
そうか。そういえば、私は最初ロードルフ子爵に「メリーの手下」だと思われていた。つまり、ロードルフ子爵はさっきまで、まだ私のことを疑っていただろう。
それと、今思えば、“「ええ、これは全てメリー伯爵のおかげでしょうね。」”……私もなにかの嫌味だと思ったが、もしかしたら、それも――
ただの考えすぎかもしれないが、直接聞いたほうが早いだろう。
(つまり、私は疑われていた、のか?)
「ええ、少しな。はっきり言って、もしお前はメリー伯爵と繋がりがあるなら、さっきの『提案』を『受ける』可能性もあった。もし……お前は拒否しないなら、俺は受けるかもしれない……つまり、それなりの恩だ。」
「あら、何の話でしょう?」メリー伯爵の声が耳に届いた。確実に疑問の声色。
実は全部メリー伯爵が仕組んだこと……ロードルフ子爵からすれば、なくはない可能性だろう。そして、さっき私の否定したい気持ちによって、確信したと。
はあ……
(いいよ。話してもいい。でも、メリー伯爵は本当に信用できる人なのか?私には――)
「俺は信用するつもりだ。この屋敷の人間たちもな。」
……そうだね。そもそも私はあまり選択肢がなかった。ここは、彼を信じるしかないか。
でも、疑うのは理解できるけど、ちょっと嫌な感じだな。それに……
(わかった。君に任せるよ。話してもいい。でもその代わり、君とメリーさんに過去に何があったのか、話してくれない?私、何も知らなかったから。)これを言ったら、わかってくれるだろう。
「……ああ、そうか。そういえば、お前に言ってなかったな。どうりで。」
(もういいよ。早く説明してあげて。もし私が必要だったら……三分の間なら、私は耐えられる、かな。)
「わかっている。できるだけお前に変わらないようにする。」そう言って、ロードルフ子爵は目を開けた。
メリー伯爵は少し疑惑の目で見ながら、説明を待っているようだ。
ロードルフ子爵が説明する時間、私は自分の考えに浸っている。
三分、これが私の限界。
三十分の罰を受けたことによって、身体に変わることが少しできるようになった。
どうしても一回に三十分に変わることができなかったから、妥協として、何日間合計三十分で何とかなったが……もうこの罰が受けられたくない。
だから、今回の交流少し控えていた。しかし、あまり良くないかもしれない。情報は大事だ。ディベートも情報のゲームだし……ロードルフ子爵も過去の話を隠していた……
はぁ……これでは、私まるで道化みたい……
そして、ロードルフ子爵が説明し終わった。メリー伯爵は最初眉をしかめながら聞いていたが、説明し終わった時、ふふっと笑い出した。
「ロードルフ様。君はバカですね。」
「あ?」
「その、『もう一人』、『心の声』って言いましたわね?」
「ああ。そうですが、何が?」
「まあ、にわかに信じがたいですが、今は信じましょう。そして、君の言動から考えて、君は、それはわたくしがやったって疑っていましたよね?」
「ええ、そうですが、だから何が?合理的だろう。」ロードルフ子爵は少し荒っぽい口調になった。
「合理的……ね。まあ、君の『気持ち』から考えれば、確かに『合理的』かもしれません。」
「……どういう意味だ。」
そして、メリー伯爵は純粋で元気な笑顔で言った。
「もしわたくしは本当にそのようなことができるなら、わたくしはとっくに『メリー伯爵』ではありませんよ。
『王族』のことなんかも気にしなくていいでしょう。だって、それはまるで人の改造みたいではありませんか。」
この話を聞いて、ロードルフ子爵がとても動揺している。もっと正しく言えば、恥ずかしがっている。
そうか。なるほど、第三者視点から見れば、これも確かに一つの見解。この意味はつまり、メリー伯爵は信じている。
「君は、随分自分のことを思い上がっていますね。ロードルフ様。」メリー伯爵はからかっているように、羽扇でロードルフ子爵のおでこを突いた。
「うるさい!そんなことより、君は信じているのか?」
「……言い方。」
「……私の話、信じていますか?メリー様。」
「君の言動と行動から考えて、信じるつもりですわ。しかし……そうですね。」
何となくメリー伯爵は何が言いたいか、予想がついている。
「わたくし、君のその『もう一人』と会ってみたいですわ。」




