表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第四章
43/75

7

 メリー伯爵はまるでやっと肩の荷が降りたように、長く、長く息を吐いた。


「十年、長かったですわ。」そう言って、彼女はふわりと微笑んだ。


 十年、婚約のことかな。


「ロードルフ様。君はわたくしと初対面のことを覚えていますか?」


「ええ。覚えています。あまりいい思い出ではありませんが。」


「そして、ロードルフ様。今の君にとって、あの頃のあなたどう思いますか?」


「……あの頃の俺は、あまりにも未熟だった。そうだろう?」


「ええ、そうですわ。今も未熟ですが、その事実がわかっているだけで、一歩進みましたね。」


「もういいでしょう。早く本題を。」


「相変わらずせっかちですね。しかしまあ、わかっているなら話が早いですわ。わたくし、『不老不死』なんか追求しておりませんわ。あくまで、その場で取り繕う嘘にすぎません。君とあの子のための嘘です。」


 ロードルフ子爵はあまり動揺しそうな感じがしないが、私、驚いていた。


 どういうこと?ロードルフ子爵はメリー伯爵との過去を言ってなかった。何があったのかな。


 しかし、「不老不死」を追求することはただの嘘……つまり、ロードルフ子爵が考えたことはないってことだろうか。


 メリー伯爵はロードルフ子爵のことが嫌っていなかった。そういうこと……かな。私は若干不安を感じながら、二人の交流を見続けた。


「ふん……そうですか。でも、今も嘘ついている可能性があるでしょう。」


 メリー伯爵は少し怒っているように、羽扇をスッと収まって、ロードルフ子爵に睨んでいた。


「失礼ですわね。わたくし、嘘なんか言ってませんわ。なんなら、レイヤーの子を呼んでみましょうか。あの子の話なら、君は信じるでしょう。」


「……ふん。わかりました。呼ばなくてもいいでしょう。」


 しばらくの間、メリー伯爵ははぁと嘆いた。


「まあ、君に騙していたことに謝りますわ。しかし、あの頃のあなたにも問題があります。『感情的』になりすぎましたわ。わたくし、ちゃんと怒っていましたよ。」


「ふん。本当にそうでしょうか。あの頃、随分余裕そうに見えましたが?」


 まるでずっとこの言葉に待っていたかのように、メリー伯爵はパッと羽扇を開けて、少し嘲笑めいた目付きでロードルフ子爵を見ていた。


「貴族令嬢たるもの、常に余裕を見せるのが、わたくしのモットです。」


「いやなモットですな。」


 メリー伯爵はふふと笑い出した。


「君は本当に『心の余裕』ができましたわね。このような交流ができましたわね。」


「ええ、これは全てメリー伯爵のおかげでしょうね。」


「あら、それは何かの嫌味ですか?」


「嫌味ではありませんが、今日の空気の味なら、多少心得ています。」


「……本当に失礼極まりないですわよ。わたくし、ちゃんと三日――」


 この二人が何らかの形で和解しそうな雰囲気だが、私には確認しなければならない。


 (あの……とりあえず、メリー伯爵は……いい人、なのか?)


 ロードルフ子爵は親指で一回返事した。


「わかっている」……というより、たぶん「肯定」の意味かな。


 (もしそれは肯定的な意味なら、もう一度同じ返事してくれない?)


 そして、ロードルフ子爵はもう一回親指で返事した。


 そうか。つまり、屋敷の人たちと同じ感じかな。


 だけど……どうしてだろう。さっき若干の不安が消えなかった。むしろ大きくなった感じだ。メリー伯爵はいい人なのに、なんで嫌な予感がするの?


 さっきまでの流れを考えて、メリー伯爵は悪い人じゃなさそうだし、嘘をついて信用を取るような人でもない感じだ……過去のことが知らなかったからか?何か詳細が――


「――しかし、これでいいでしょう。君も成長しました。わたくしたちの関係も、そろそろ限界に達しましたわ。」


「……どういう意味でしょうか。メリー様。」


「あら、この話でわからないなら、やはり未熟ですわね。ロードルフ様。」


 ロードルフ子爵は口答えしなかった。たぶんメリー伯爵が説明してくれるのを待っているだろう。少し動揺した感じだった。


「ふふっ……それとも、わかっている上で言っているでしょうか。」


「それはいい。さっさとその意味を。」


 ロードルフ子爵はまっすぐにメリー伯爵を見ている。メリー伯爵は羽扇で顔を隠し、目の部分だけ、少し悲しげな感情が見えた。


「十年ですわよ。君の悪い噂を流し、理由付けでずっと君との婚約を遅らせていた。ずっと王族と対立した行動を取ったら、ロードルフ様もわかりますよね。」


 あ、そうか。もしメリー伯爵はいい人なら……


 何が悟ったように、ロードルフ子爵は言葉を紡いだ。


「つまり、お前……」


 メリー伯爵は何も言わないまま、ロードルフ子爵に頷いた。


 メリー伯爵は、「王族」と「対立」関係になってしまった。

黒井さな子のヒミツ3:

実は、身体を柔らかくしたい。前方宙返りが夢だったらしい。


ロードルフ子爵のヒミツ:

実は、身体が体操選手並みに柔らかくて、海老反り・開脚・前・後方宙返りができる。


ロードルフは身体の柔軟さと健康を維持するために、よく動的ストレッチと運動をしている。(騎士団の伝統。)


そして、ロードルフが騎士団に安全税を取り下げる話を伝える日、その夜。


黒井さな子は少し気になるところがあった。

(ロードルフ子爵。)

「あ?」

(あの、君の身体、柔らかいね。)

「……なんだ、突然。」

(その、前方宙返り……できるの?)

「ああ。できるが、なんだ?」

(一回、やってみませんか?)黒井さな子は、前方宙返りの景色が見たかった。

「何でだ!しない!」そして、拒否するロードルフ子爵。

(一回だけでいい。)

「……やりたいなら、自分でやれ!」

(ごめんなさい!やっぱりなし!)

「ふん!」


こんな少し気まずい二人の話である。


これで黒井さな子のヒミツが終わります!


挿絵(By みてみん)

股関節を頑張っている黒井さな子です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ