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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第三章
32/75

8

 「さっきみたいな言い争いになるとは思わないか。」


 (可能性は確かにあると思う。でも、お互いの価値観はすでにわかった。気持ちを整理するためなら、この問題は一番だと思う。大事なのは無視しないことと押し付けないこと。)


「あっそう。」


 (では、お手本として私から先に言おう。まず、私の気持ちとして、たとえ「犯罪者」でも「人」であることだ。そして、私は「人」を殺したくない。)


「……ああ。これはすでに知ってた。だが、「人」を殺したのはお前ではない。俺だ。」


(そうね。他人から見ても、君自身としても、このことは間違っていないだろう。私もそう思いたかったが……できないことだった。あの時、「感覚」が共有していたから。)


「でも、今ならできる。そうか?」


(ええ、そうだよ。なぜできるか私もわからないけど、多分君の「主導権」と同じく、突然できるようになったんだろう。)


「あっそう。」


(うん。この話はいったん置いといて、大事なのは私たちが「感覚」が共有していたことだ。

 私たちはお互いの「気持ち」・「感情」・「知識」、また「考え方」も、これらはある程度「意識」すれば、共有できないんだ。

 でも、君の「身体」の「感覚」だけ、「意識」だけじゃどうにもできないことだった。)


「ああ、そうだな。一度だけ、お前に変わることがあったな。その時、お前の『頭痛』と『痛覚』の『感覚』が俺よりひどかった。」


 (え?そうなの?私にとって君が傷を負えば、どれも痛かっただけだが……)


「どういう問題なのか俺も知らん。だが、俺にとって手の傷なんて精々かすり傷だ。そんなに痛がらない。」


(そうなの……?)


「俺にとってはな。」


「痛覚」の「感覚」は人格によって変わるものなのか?そういえば、その多重人格の本にも書いた。人格が変われば、書ける文字、口調、言い方も別人になることがあるらしい。ならば、痛覚もあながち間違いじゃないかも……


 あ!もしかして、身体が「私」に変われば、「日本語」が……書けるのか?


 いや、待て、今は……


 (……いや、また話が逸れてしまいそうだった。今はその不明な部分は置いといて。)


「あ?お前が先に言ったんだろうか。」


 (それは……ごめんなさい。とりあえず、私たちは「感覚」が共有していた。そのせいで、お前がやったら、私まで同じような「感覚」があったんだ。)


「……おい。」


 (何?)


「ずっと『感覚』って言ったら、少しわかりにくい。整理したいなら、もっとわかりやすくしたほうがいいじゃないか。」


 (そうね。じゃあ、「感覚」の共有だから、しばらく「共有感覚」で呼ぼう。)


「つまり、『共有感覚』で、お前まで『人』を殺すことになった。そうだな?」


 (ええ。私にとってそういうことになっていた。もちろん事実上では、私はやってなかったが、感覚はどうしても残るし、記憶も残っている。


 だから、突然隠れられるようになると、私もずっと隠れたままだった。)


「ふん。わかった。で、あとは俺が言ったらいいのか?」


 (そうだね。手本はこんな感じかな。あと、質問が制限されていないので、聞きたいことがあれば聞いてればいい。)


「なら、俺は確かに質問したいことがある。」


 (はい。いいよ。聞いてね。)


「……言い方少し不快だな。まあいい。お前は『人』を殺したくない。これはわかった。

 だが、『犯罪者』は害をなす人だ。

 一番簡単な例でいい、『暴力』だ。

 お前に『暴力』を振るう『犯罪者』に、お前はまだ『犯罪者』のことを『人』として見るつもりか?」


 (ええ。間違いなく「人」として見るよ。もちろん私は「暴力」を振るう人間は嫌いよ。でも、「人」として見ることと、その人間が「嫌い」かどうかは別のことだ。つまり、「気持ち」のことだ。)


「……なるほど。ここの『気持ち』は『価値観』に近い意味だな。」


 (さすがロードルフ子爵。理解が早い。)心の中で拍手。もちろんただのイメージだけど。


「お前……ふざけてるのか。」


 (これは本心だよ。)


「チッ……で、もう一つ聞きたいんだが、仮設の話でもいいだろう?」


 (いいよ。「ディベート」ではどんな質問でもいいから。)


「あっそう。では、もしお前は『犯罪者』と出会ったら、どう自己防衛するつもりだ?」


 なるほど。防衛手段が聞きたいだね。


 (そうね。私は領主ではない。一般の学生だ。当然戦闘手段もない。だから、私の防衛手段は「助けを呼ぶ」・「他人の注意を起こす」、そして「逃げる」。この三つだ。)


「……そうか。情けないと思わないか?」


 (ないね。むしろ助けを呼べるのに、呼ばないほうが情けないと思う。)


「そう……」


 ロードルフ子爵はしばらく反芻して、静かになった。


(もう質問がないの?)


「ああ。もうないんだが、やはりもう少しわからないことがある。でも、確かにこの方が整理しやすい。」


 (良かったじゃん。)


「だからその態度不快だな。お前、変わりすぎないか。」


 (違うよ。今までの君がひねくれすぎるだけ。話し方も君と合わせていたんだよ。)


「はあ?お前……気持ち悪ぃな。」


 (ありがとうございます。)


「褒めてねえ!」


 (知ってる。)


 ロードルフ子爵は「チッ」と舌打ちをしたが、でも彼はそんなに嫌いじゃなかった。そもそも、似たようなくだりがよくあったから、彼が嫌だったら私は最初からしない。


「では、俺の番だな。」


(ええ。)


「俺の気持ちとしては、『犯罪者』は『人』ではないことだ。」

しばらく重い雰囲気が続いているかもしれません。

そのため、本篇と関係ない人物情報を提示しまーす。

いわゆる小話(?)、ヒミツみたいなものです。

(”ツヴァイ”というゲームが大好きです。)

小話は四コマ漫画みたいな感じで見て頂ければ幸いです。



黒井さな子のヒミツ(1):

実は寝相が悪くて、よく寝癖がつく。髪型は大体パパがやってくれる。


中学の時。


黒井さな子は寝起きで、歯磨きの後。

「パパ~櫛……」

「ああ、はいはい。またすごい髪型になってるな。」

「うん……」

「ああ!待て待て。やってあげるから、そっちに座って。朝ごはんはもう用意してあるから。」

「わかった……」

黒井さな子はフラフラと小さな机の近くに座って、朝ごはんを食べた。パパはその寝癖を直してあげた。ほのぼのとした二人の親子であった。


髪型はこんな感じ。

挿絵(By みてみん)

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