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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第三章
29/75

5

 「……『人』?言ったはずだ。あいつらは『人』じゃない、『犯罪者』だ!排除すべき存在だ!」ロードルフ子爵はほんの少し冷静になった。だが、感情的な部分がまだ取り除けなかった。


 私も感情に影響される。ここは慎重に、言葉を。


 (なら、私も言ったはずだ。それはあなたにとってのことだ。私にとって、「犯罪者」になる前に、「人」は「人」だ!「犯罪者」も「人」なんだ。)


「違う!『犯罪者』は『人』じゃない!」また感情が高ぶっていた。これに関して反感が激しい。


 ダメ……感情に影響されてはダメ!せめて言いたいことを!


 (もしあなたがそう思いたいなら、そう思えばいいじゃん!私に押し付けないで!)


「先に押し付けたのは誰だ!あの時、先に俺に『価値観』を押し付けたのはお前だろう!」


 (私は押し付けてない!それは「気持ち」の表明だ!)


「そんなの屁理屈だ!」


 (屁理屈を言ってるのはあなたの方だ!)


「ふざけんな!俺は間違ってない!何の屁理屈も言ってない!」


 ダメだ……このままでは話が平行線になる。感情に影響されてはダメだ。前回と違って、今回「ルール」がある。


 ちゃんと「ルール」を……そう。「ルール」!


 さっき“「貴様!また『ルール』を破るつもりか!」”って言われた。


 (……では、そんなに私が屁理屈を言ったって言いたいなら、私は何の「ルール」を破ったか、言ってください。)


「そんなのすでに決まってる!勝手に物事を押し付けることだ!お前の『価値観』を!」


 (では……ここは一緒に思い出してください……あの時の状況を。)


「あん?」


 (こうしたら、あなたも少し冷静になるだろう?さっき煽ることに対してごめんなさい。だが……それもあなたが先に「ルール」を破ったからだ。)


「貴様……」


 (もし何が間違っていると思うなら、お互い言った後で指摘する。今は、ただの「感情」のぶつかり合いだ……)


 ロードルフ子爵は聞いた後、しばらくの間、何も言わなかった。身体が震えている。怒っている。


 深呼吸――少し静まった。


「……それで、状況の確認か。」


 (ええ。)


 今はまだ理想な状態ではないが、もう交流することができる。


 (お互い状況を確認した後、相手は何の「ルール」を破ったのか、そして、自分は何で「ルール」を破った理由を言ってください。)


「俺は破ってない!」


 (破ったから言っている!)


「ぐ……!」


 (とりあえず、状況の確認!)


 私たちはあの時の状況を確認した。

 ****

 “(あの、その人たちにどうするつもり?)”

 → 

 ルール5 私 ×


 5.仕事の時、無意味な質問をしないこと。意味があっても、時間と場所を考えてからする。

 ****


「お前は先に仕事の時間で質問した!」


 (だが、それは「無意味な質問」じゃない!)


「“意味があっても、時間と場所を考えてからする。”これを無視するんじゃない!このせいで、騎士隊長に質問しなければならない!」


 それはグレーゾーンの部分……


 (……いいよ。それに関して私は認める。だが、私は何も考えてないわけじゃない!その後のことだ!何で意味があるのかと。)


「ふん!」


 ****

 “「騎士隊長!目の前にいる『奴ら』は何なのか、しっかりと答えろ!騎士としての誇りと教訓、まだ忘れていなかっただろうな!」”


 “「はっ!あいつらは『人』じゃない。領地の安全を邪魔する『賊』であり、『犯罪者』である!」”


 “「では、『犯罪者』に対して、どう処置すべきか!」”


 “「はっ!騎士として、誇りを持って安らぎの死を与える!」”


 “「では、奴らに死を与えたくない『騎士』はこの場にいないだろう!」”


 “「「「はっ!領主様!」」」”

 “(「犯罪者」になる前に、「人」は「人」だ!罪を償い方法がいくらでもある!私は「人」を殺したくない!あなたの感覚が伝わってくるだよ!しっかり考えてよ!)”

 → 

 ルール2 ロードルフ子爵 ×?

 ルール4 私 ×?


 2.少しずつでもいい。なるべくお互いの「気持ち」を無視しないこと。わからない時、「教えてください」と言いましょう。


 4.勝手に物事を押し付けないこと。(例:仕事、身体……)必要な時、相談の上で合意を得てからする。

 ****


「俺は無視してない!それに、お前が先に押し付けてきたんだろう!」


 (言ったはずだ!私は押し付けてない!それに、この話は誰が先かって重要じゃない!


 一番大事な部分は“「人」を殺したくない”ことだ!私の「気持ち」の表明だ!私の「気持ち」を無視しないで!)


「屁理屈だ!もし『人を殺したくない』だけを言ったら――」ロードルフ子爵は話の途中で止まった。恐らく、自分の矛盾点に気付いただろう。


(もしそれだけ言ったら、あなたはやめるの?仮設の話を言う前に、前提を知る必要がある。それはあなたが言った言葉。あなたのことはあなた自身が一番知っているはず。)


「……やめてどうする、それだと『犯罪者』を野放しになる。」


 (そうね。あなたはやめるつもりがなかった。その時、私はすでに知っていた。後の状況を見ても、それがわかりきっている。これは、私の「気持ち」の無視だ。)


「お……俺は……無視してない、はず……」


 (私もそう信じたかった。しかし、「気持ち」は「考える」より、「感じた」ほうがいい。


 もし、あなたは本当に「気持ち」を無視してなかったら、私はずっと隠れるつもりがなかった。)


「……」


 (後の状況だ。確認しよう。)


 ****

 “「いい返事だ!いいか。こいつらは『犯罪者』だ!『人』じゃない。『領地』の『安全』を邪魔する奴らに『容赦』は『無用』だ!」”


 その後、彼は「皆殺し」と命令し、一人も残らず殺した。

 →

 ルール2&4 ロードルフ子爵 ×

 ****


 もちろん、ロードルフ子爵はただ命令するだけじゃなく、彼自身も「人」たちを殺した。


 (……あなたは私が「価値観」を押し付けたと言いたいなら、あなたも私に「嫌なこと」を押し付けた。人を殺す感覚と、あなたの価値観だ。)


「俺は……『価値観』を押し付けてない。」


 価値観「だけ」言っている意味は、たぶん人を殺す感覚を認めるつもりだろう。


 でも、大事なのはそこじゃない。


 (そう?まあ、価値観に関して、どうしても相容れないと思う。でも、言葉はどう繕ってもいい、大事なのは「気持ち」があるかどうかだ。


 私は言ったよ。“私は「人」を殺したくない!あなたの感覚が伝わってくるだよ!しっかり考えてよ!”と。


「気持ち」のことがあまりわからないあなたに、「明確な意味」で教えてあげた。そうだよね。)


「……」何も言わない。まるで私が責めているような感じ。


 複雑な感情。複雑な気持ち。


 (これは、「気持ち」の無視だ。あなたはもう一度、自分の気持ちと私の気持ちを無視した。)


「……俺は、自分の?」


 (ええ。「人」を殺す時、あなたから「何も感じなかった」。「平気」で「人」を殺した。)


「あれは『人』じゃない!それに、『何も感じない』のはただの『無』だろう!『無視』じゃない!」


 ……「犯罪者」は「人」ではない。まるで、自分に言い聞かせるために言っている。


 (なら、言い方を変える。あなたは初めて「犯罪者」たちを殺した時、「何も感じなかった」か?)


 ここで、ロードルフ子爵は絶句した。否定しなかったが、肯定もしたくなかったようだ。


 今思えば、ロードルフ子爵は自分の父さんに「アイツ」と呼んだ。どういう過去があったかわからない。でも、ロードルフ子爵は言った。


 “ずっと貴族たちと付き合っていた、付き合わせられていた”と。


 恐らく、ずっとその父さんに「気持ち」を無視しろと教えられたんだろう。なら、「人」を殺す時も、きっと同じように「余計なことを考えるな」、「自分の気持ちを無視しろ」と言われたんだろう。


 そして、ロードルフ子爵は慣れてきた。だが、それはただ「気持ちを無視する」ことに慣れただけだ。


 なぜなら、彼はまだ「感情」が残っている。「人」の一部が見えるんだ。


 人は人である以上、感情がないわけがない。気持ちも同じだ。


 二週間前の時、ロードルフ子爵に気付かせるべきだった。「気持ち」のことを。私の臆病のせいで、今こんな状況になった。


 元々、私たちは合わない二人だ。たぶんどんなことがあっても、お互い関わりたくないと思う。


 ただどういうわけか、こんなおかしい状況になったんだ。


 本当に何なんだろう。私は一体、何のためにここにいるの?


 (これでいいだろう。ここは相手が何のルールを破ったと言おう。自分は何かやってしまったと知れる。


 私にとって、あなたはルール2と4を破った。

 あなたにとって、私は何のルールを破ったか?)


「ルール4と5だ……」


 (……そうか。)


 これでも「価値観」の押し付けだと思われると、やはり私たちは性格が合わない――


「……だが、それが、どうしたんだよ。」


 うん?


 (あなたはルールを破った。私も。)


「だから、それがどうした!」感情が高ぶっている。


 罰のことか?


 (確かにルールを破ったことにどういう「罰」をするか考えてなかった。追々追加するつもりよ……)


「違う!俺は確かにルールを破った!だがそれがどうした!」


 (どうしたって、今はどうするもなにも……)


 何?逆ギレ?ロードルフ子爵は感情が高ぶって、「何か」がこみ上げてきた。興奮状態……いや、これは、もしかしたら――


「だから違うって言ってんだ!貴様は何なんだ!ふざけんな!」


 もしかしたら――


「確かに俺はルールを破った!だが、それはどうしようもないことだろう!俺にどうしろうってんだ!」


 ――この怒りは、ただの怒りじゃない。


「あいつらは『人』であることくらい知っているんだよ!だが、どうしようもないだろう!牢屋とかそんな空間の余裕がない!野放すはもっと論外!ならば自分の『気持ち』を無視して殺すしかないだろう!」


 彼は、自分の気持ちに気付いた。


「誰が好き好んで貴族なんかやるんだ!クソったれの貴族社会なんか1ミリも興味がねえ、知りたくもねえ!だが、俺は選べるわけがないだろう!生まれながら貴族だ!クソったれの貴族だ!


 そして、アイツ、クソ親父だ。貴族の知識を何もかもが俺に押し付けた。一ミリ興味もねえ、知りたくもねえ貴族社会のことをな。


 ふざけるな!誰が好き好んで貴族なんかなるんだ!勝手に決めるな!


 そして、その上で、王族の宮廷闘争に巻き込まれ、簡単に死んだ。クソすぎで反吐が出るんだよ!それに俺まで巻き込まれてんだよ!『領主』なんかやれるか!ずっとお前がやれよ!


 ええ、でも確かにアイツの言う通りだ!『気持ち』は邪魔なものだ!ぐちゃぐちゃで気持ち悪ぃ!無視したら全てうまくいける。全部簡単になる!


 気持ちを無視して、領地の経営がうまくいった。

 気持ちを無視して、貴族との付き合いがうまくなった。

 気持ちを無視して、人も簡単に殺せた。


 だが、それが何になる?


 好きな人に尻込みさせて、ろくな会話もできなかった!なぜ俺は好きな子に怖がる必要があるんだ!

 クソったれの貴族なんかに付き合って、何もかも本心じゃない交流を強いられた。こちらはお前らの会話なんか興味もねえよ。

 そして、一番反吐が出ること、『人』を殺すことだ!


 何が『気持ちを捨てろ』

 何が『お前は貴族だ』

 何が『人ではない』


 俺は『人』だ!正真正銘の『人』なんだよ!できるなら俺も『人』を殺したくないんだ!初めて『人』を殺す時、俺が何歳だと思う?『9歳』だ!躊躇わないわけがないだろう!


 だが、俺はずっと『アイツ』に!クソ親父に!そう教えられたんだ!俺にはこの方法しかないんだ!


 俺はただの『人』だ!いつも通りの方法でやるしかないんだろう!」


 ロードルフ子爵は自分の気持ちに気づいた。自分の気持ちと向き合った。今まで無視してきた気持ちを全部拾った。そして今、気持ちが爆発した。


 ロードルフ子爵は、「人」となった。


一応書いておきます!これ打ち切りじゃありません!

少なくとも5章以上の予定です。

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