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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第二章
13/75

1

 ロードルフ子爵は傷の処置が終わって、私は気付いたことがあった。


 そのため、夜の時、眠る前に彼に質問した。


 (ロードルフ子爵、一つ気になることがある。)


「なんだ。言っておくが、『気持ち』とかの話だったら御免だぞ。」


 (いいえ、そういう話じゃない。)


「言え。」


 (医者に治療されている時、たしか処置は、傷口の判断・観察、清潔・異物の処理、そして消毒、最後外周から内まで薬を塗ったよね。)


「違う。最後、包帯巻いただろう!」


 (あ、そうだけど、そこまでの処理方法は間違えなかったよね?)


「当然だろう。平民でも医者だ。間違えてどうする!」


 (そう、だね。)言いたいことがそれじゃないが、別に彼に知らせなくてもいいか。


「何?なぜそんなことを聞いた?」


 ……たしか彼は「ディベート」の「情報」が釣り合わないと言った。やはり言おうか?


 (何でもないと言いたいんだが、あなたは納得できないよね。)


「当然だ。ちなみに、お前のクソつまらない人生なんて興味がない!そんなこと言っても意味がない!」


 私、いつ自分の人生経験を言いたいと言ったか。


 それに、この人、勝手に「私の人生」に評価をつけたか。一言多い……


 そういえば、「変わった」時見られたような気がする。あと思考も読まれたようだし……


 そもそも、何で「私」の人生が見られる?記憶からか?わからない。


 たしか図書館で見た多重人格の本では、「心の空間」という話があるらしい。それでも――


「おい!なんか言え。」


 (……もう寝てもいいよ。私の気持ちが変わった。)


「はあ?また気持ち……」


 (あなたはずっとこのままだったら、言いたいことも言いたくない。それに、あなたのクソつまらない人生に関係ないことだから。)


「貴様、人を怒らせるのがとても上手のようだな。」


 怒っている。でも、彼は抑えようとしている。これは一歩進んだのか?いや、多分違う。


 (あなたが感情的になりやすいだけだ。)


「貴様……」


(あと、怒らせることが、あなたの方こそ「上手」だったと思うよ。私はただあなたの言葉を返しただけ。もしこれで怒ったら、あなたは自分でも怒る言葉を他人に言っている。)


 彼は怒りに震えている。


 もし、また暴力を振るったら、もう関わらないようにしよ。


「共感性がない」ことは免罪符じゃない。それに、「共感性」は練習で感じられる。


「……じゃあ、どうしたら、お前の気持ちが変わる。」


 うん?これは反省しているのか?ちょっとわからない。


 本当は「素直に謝ってくれたらいいよ」と言いたいけど、ロードルフ子爵の場合は少々特殊だから、ここで妥協すると、私が言ったこと全ての意味がなくなる。


 (……まず「人」になってからだ。)


「チッ!ずっとこうやって、『はぶらかす』つもりじゃないだろうな。」


 (あのね、もしあなたは優しくて、親切な人だったら言うよ。だけど、あなたはそんな人なのか?)


「……いいえ。」


 (自覚があるね。なら、まだ余地があるってことだ。もし自覚すらないなら、本当にどうしようもないよ。)


「でも、貴様はずっとこんな感じで『はぶらかす』つもりだったらどうする!」 


 はぶらかすというより……関わりたくないというか、関心を向けたくないというか。


 もし、こんな身体にいなければ、こんな状況じゃなければ、ただ関わりたくない人間だ。


 でも、彼は本当に反省するつもりだったら――


 (そうだな。ずっとこんな感じだったら、あまり進展がなさすぎる。「お互い」に、ルールを決めよう。)


「何のルールだ?」


 (触れさせたくない、触りさせたくないルール。つまり、「地雷」を避けるためのルールだ。)


「……分かった。俺もルール決めていいだろうな。」


 (ええ、もちろん。「お互い」のためにやるものだから。)


「ルール決め終わったら、何か気になるか言いたい気はあるのか?」


 (……いいよ。大したことじゃないかもしれないが。)


「それを判断するのは俺だ。」


 (そうね。)


「チッ、ルールを決めるのは明日にしろ。もう寝る。」


 (おやすみ。)


 毎晩こんなことを言っても飽きないのか、こいつ。↑


 ↑やはり、ちょくちょく無関係な考えが飛び来る。本人が意識できないかもしれない。


「深層心理」、それとも「深層意識」と何が関係があるのか。


 考えても無駄だけど、考えちゃう――あ、だめだ。彼が寝たいから、私の意識も……


 そして、意識が途切れて、翌日になった。

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