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私は今どんなところにいるだろう。
少しレトロシックな装飾。天井から吊り下げられたシャンデリアが複雑な光を放つ。他に黒い原木で作られたテーブルや椅子など、高級感が感じられるが、どうにも「現代社会」のものには感じられない。
とても幻想的な風景だ。だから怖い。
ここはどこだ?そう思っていると、
「ほん……本当、に、申し訳……ございません、ごごご主人、様……」と、聞き覚えのない女性の声が聞こえた。
私は声の方向に向いていると、そこにメイド服を着ている女性が地面に座ったまま震えている。その震え方は何かにビビっているような感じで、視線の先は明らかに私の方だ。
もしかして、私にビビっているのか?
何が起きたのかまだ理解できないが、心の中でその女性を慰めたいという強い感情が浮かんだ。
とりあえず、何か言葉をかけてみよう。
大丈夫ですか?と言いたいだが……
「無事ならさっさと起きろ!」
まったく違う言葉が出てしまった。まるで自分の意志があったかのように、口が勝手に動いている。
それに、何だろう。なんか身体に馴染めていない感覚が全身に伝わってくる。
そして、自分でも思ってもいない言葉が再び出てしまう。
「俺様の手に煩わせるつもりか!貴様!」
「と、とんでもございません!い、今すぐ、下がります!」
メイド服の女性が慌ててこの部屋から出ていた。
酷い言い方だな。これ絶対嫌われる。
いいや、そんなことより、私は今どこにいる?この体は……私のじゃないよな?
少し自分の手足を見たが、馴染みのない服装だ。他に手のひらのサイズ、腕、腰と足の肉付き、自分の体と全然違う。でも一番違和感があるのは下半身だ。
これ、「男性」の身体だ。
私は「自分の身体」に困惑している最中、この体が「私の意志」に反して、勝手に歩いていく。
「さて……」口も勝手に喋っている。
やはりさっきから変だ。言いたい言葉が言えない。身体がうまく動けない。「視野」も少しずつ狭まっている。この訳の分からない状況に、さすがに混乱する。
しかし、もっと適切な言葉がある——恐怖だ。人間は未知への恐怖が耐え難い。
果たしてこれは私が「自分の目」で見たものだろうか。発した言葉も更に私の恐怖心を上げた。
鏡の前に、「私」?が「自分」を見ている。その視線の先、そのかけてきた言葉が、私は呆然とした。
「俺の身体にいる貴様は、誰だ!」
明らかに「私」への言葉だ。