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お兄とわたし

作者: つかっちゃん
掲載日:2022/08/04

地の文無しで何かを書いてみたくて書いてみました。

お読み頂けたら嬉しいです。


「お兄ぃー、わたしの携帯しらん?」


「いや? 知らんで? 無くしたんか?」


「うーん、そうかも」


「そうかもって……お前なぁ……」


「何よ? なんか文句あんの?」


「そもそもなぁ、お前今週だけでも7回無くしてるんやで? 一週間は何日あるか知ってるか?」


「うっさいなぁー、ほっといてよ!」


「うっさくないわ! ほっとけってゆーけど、お前から先に話かけてきたんやろ?」


「あっ! ホンマや! ごめんな!」


「お前……悪いと思てないやろ?」


「バレた?」


「バレとるわ、アホ」


「アホって何よー! アホってゆー方がアホなんですぅ!」


「ハイハイ、分かったから……ほんで? 携帯探すんやろ?」


「そうやん! それ! 忘れてたわー! さっすがお兄やな!」


「ま、まぁ……それほどでも……あるで?」


「調子のったー、きもー」


「誰がキモいねん、誰が!」


「お兄!」


「はぁ……、とりあえず鳴らしてみよか?」


「うん、頼むー」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「繋がらへんな……」


「うそーん? 充電MAXの筈やで?」


「いや、だって繋がらへんで?」


「お兄の携帯が壊れてんちゃうん?」


「んな訳あるかいな!」


「あー、わたし喉渇いてしもたわー」


「お前、今携帯探してるんやで?」


「お兄、ジュース買ってきてよ?」


「携帯見つかったらな」


「お兄、ジュース買ってきてよ?」


「いや、だから――」


「お兄、ジュース買ってきてよ?」


「あのさ――――」


「お兄、ジュース買ってきてよ?」


「……」


「お兄、ジュース買ってきてよ?」


「あぁー! わかった! 買ってくるから静かにしてくれ!」


「さーっすがお兄! 大好き!」


「お……おう……」


「いつものやつなー」


「えーっと? マスカットとアロエのなんちゃらかんちゃらやな?」


「そそ、それそれ」


「ん」


「なに?」


「ん!」


「だから何よ?」


「お金」


「はぁ!?」


「はぁ!? ってなんやねん! 買いに行ったるんやから金くらい出せよ!」


「ぐすん……お兄がそんなに器の小さい男とは思いませんでした……ぐすん……」


「ちいさないっ! 断じてちいさないっ! あと、ぐすんて口でゆーな!」


「可愛い妹が喉を枯らして死にそうになっているのに、お兄はその死にそうな妹からお金を巻き上――――」


「わかったわかった! もうええ! 行ってくる!」


「気をつけてねー」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ただいまぁ」


「おかえりー、どこ行ってたん?」


「どこ行ってたも何も、お前のジュース買いにいっとったんやがな!」


「あはは、そうやった? ごめんごめん!」


「ホンマしっかりしてくれよ……」


「こんなしっかりした妹を捕まえといて何を言う早見優」


「しょーもないねん、古いし……」


「そう? そんな事よりあったん?」

 

「おう、あったでー。コレやろ?」


「そうそう、コレ――ってお兄! コレとちゃう!」


「えっ!? マジ!? せやけど、ちゃんとマスカットとアロエって書いてあんで?」


「お兄……書いてあったらええと思ってる?」


「失敬な! 少しだけ思ってる……」


「まっ、いいや! コレで我慢しといたるわ!」


「はぁ!? せっかく俺の小遣いで買ってきたやつを我慢しといたるやと?」


「うまうまー」


「おい! 返せ!」


「やー!」


「いいから返せよ!」


「お兄、間接キスなるで?」


「ふざけんな、いつもお前が食べられへんやつ押し付けてくるやんけ! 何を今さら!」


「液体と個体は違うんですー!」


「意味わからんわ!」


「そういえばさー」


「なんやねん、急に……」


「携帯……あったわ」


「どこにやねん?」


「トイレットペーパーのカタカタいう屋根みたいな所の上に乗っかってた」


「なんで繋がらへんかったんや?」


「しらん」


「しらんって……お前……」


「まーた怖い顔してー、男前が台無しやで!」


「お前のせいということ、わかってるか?」


「わからんー」


「はぁ、もうええわ寝てくる」


「ほいほいー、おやすみー」


「くそっ、ただジュース買いに行っただけやないか……」


「あっ……お兄……」


「なんやねん」


「ありがとうな……ほんでいつもごめんな……」


「かまへん、明日もまた――――」


「ん? 何?」


「いや……なんでもない! おやすみ!」


「うん、おやすみ!」


「あんまり夜更かしすんなよ?」


「わかってるー」

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「私、誰なんだろう?」


「お前は俺の妹や!」


「あなたは誰?」


「俺はお前のお兄ちゃんや!」


「お兄ちゃん?」


「せや! お前のお兄ちゃんや!」


「そっか……ごめんなさい」


「なんで謝るんや……」


「思い出せないんです」


「何アホなことゆーてるねん!」


「ごめんなさい」


「敬語なんか使わんといてくれ!」


「ごめんなさい」


「そんなん聞きたないねん!」


「でも……」


「でももヘチマもない! ごめんなさいよりも、またありがとうって言ってくれ! またお兄って呼んでくれよ!」


「ごめんなさい……」


「あかん、ラチがあかんわ……ついて来い」


「えっ、でも……」


「ええからついて来い!」


「そこ、トイレですよ?」


「ここ、見覚え無いか?」


「トイレットペーパー?」


「ちゃう、この屋根みたいな所や!」


「屋根……ですか?」


「ここにな? 昨日お前が携帯を置いたの忘れて大騒ぎしたんや。何か思い出さへんか?」


「ごめんなさい……」


「次や!」


「えっ……あのどこに?」


「玄関や!」


「玄関?」


「ここや! この下駄箱の上にある置物の上に置いて、よー後ろに滑り落として取ってくれー!って騒いだん覚えてないか?」


「ごめんなさい……」


「ほな次や」


「えっ? まだあるんですか?」


「次は二階やな」


「ここは……」


「俺の部屋や」


「そうなんですか?」


「せや」


「ここで何をするんですか?」


「ええか? 俺が入って来いゆーたら入って来い」


「え?」


「俺が声をかけたら入って来い」


「は、はい!」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ええぞ、入って来い」


「お邪魔しまーす……」


「どや? なんか思い出さんか?」


「え……っと…………何をされてるので?」


「お前はな、俺が筋トレしてる時によー邪魔しに来よったんや」


「は、はぁ……」


「これもアカンか……」


「ごめんなさい……」


「外、行こか」


「えっ? 外ですか?」


「そうや」


「で、でも……着替えとか――――」


「かまへん! どーせいつもそのジャージでプラプラしとったんや! 今さらやわ!」


「ちょ、ちょっと……痛いです」


「お、おう……すまん、強ぉ引っ張りすぎたわ……」


「いえ……私のせいですので……」


「ホンマ……堪えるわ……」


「え? 今、なんと?」


「なんでもない、いくぞ」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あのー、ここは?」


「お前と昔によく遊んだ公園や」


「へぇ……」


「あのジャングルジム覚えてるか? あのテッペンからお前が落ちた時、俺はオトンとオカンに物凄い怒られてな……あの時からやな、お前の記憶が定着せんようなったんは……」


「そうなんですか……」


「まぁ、今のお前にゆーても分からんわな……」


「ごめんなさい……」


「ええ、かまへん。次行こか」


「あの……もう無駄かと……」


「はぁ?」


「いや……だから……その……記憶を失っているので、これ以上やっても……」


「無駄やと? ふざけんなよ! なんで諦めるねん! お前は記憶が無くてもええっちゅーんか?」


「いや……そういうわけでは……」


「ほなどうゆー訳やねん! あのな? 俺はお前に記憶を取り戻して欲しいねん! それを無駄ってなんやねん!」


「ごめんなさい……」


「もうええねんって、ごめんなさいごめんなさいって馬鹿の一つ覚えみたいに……勘弁して欲しいのはこっちや……」


「ごめんなさい……」


「はぁ……疲れた……帰るか……」


「はい……――――っ! 危ないっ!」


「ほえっ?」


「お兄っ!」


「おま――――――――」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「お兄…………お兄…………」


「返事してよ……」


「わたし、帰って来たのに……」


「なんでなん? どうしてなん?」


「なんで神様はわたし達兄妹にこんな事するん?」


「返してよ! わたしのお兄を返して!」


「うぅ…………」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「お兄……わたし、お嫁さんになるんやで?」


「あれからお兄の事、忘れないように付箋を貼ったり、ノートに書くようにしてん……」


「わたしの事、大事にしてくれる人も出来たんよ?」


「その人の事も何回か忘れてしもたんやけど、ノート取ってるからすぐ思いだせるようになったんやで?」


「全部、全部、ぜーーーんぶ! お兄のおかげ!」


「お兄……ありがとうな!」

 

書き始めたら感情が入ってしまって、枕元がどえらい事になりました(笑)最後までお読み頂きありがとうございました。

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