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からっぽの心に雨が降る
幾億もの星が光る天の川。
星空を切り取って、
絵葉書にしてあなたに送るよ。
約束なんてない土地へ行く、誰も知ることない明日へ。
優しさは力じゃない、
どこまでも柔らかく透明なもの。
あの日見た風景にあなたが佇んでいる。
麦わら帽子をかぶるあなたは、
はにかんで笑っている。
好きなことを好きというのに、何のためらいがあるだろう。
それでも人間は生きている。
自分の弱さが許せないから、
強くなりたいと泣くのだろう。
道に咲いていた花を覚えているだろうか。
誰もが通り過ぎる。
見向きもされなくても凛と咲く花。
あなたが人生をかけて守りたいもの、頑なにつらぬいた誓いは何。
誰かに愛されたい、
愛されるべき価値が欲しい。
こんにちは私、
今までよく頑張ってきましたね。
あなたの夢は叶いましたか、想いを燃やして生きていますか。
からっぽの心に雨が降る、雨粒に叩かれて涙を洗い流す。
素敵なあなたの人生は、
それでも不幸だと思いますか?
好きな人を想えるのなら、
なんも怖くない筈だろ。