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新の詩篇  作者: ノーリターン新
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メコンの夕陽

メコン河の畔で髪を洗う娘。


はだけた胸の小さなふくらみは世界を知らない。


草陰で見つめる少年は胸が高鳴り、ノンラーで顔を隠す。


静かな田園に春が来る、鳥がさえずり水牛が鳴いている。


あの日の輝きは汚されてしまった。


爆炎が火の粉を運ぶ、悪意に侵される大地。


空から黒い悪魔が降りてきて、全てを奪ってゆく。


リアルが赤い汗を流す、鉛の弾に守られて。


理解は要らない、この衝動があれば。


私が死んでも志は消えない、草木が蘇るように土に帰ったとしても。


花の名前は知らない、美しいと思う心は知っている。


同胞が私の髪を結いながら笑いかける。


波に流される流木、燃やされる紙切れ。


細胞が生まれ変わるように、今見る夕陽はあの日とは違う。


青い目のお客さんの舞台に小道具を買い集める。


演武は憎しみの剣、唇に火薬の粉。


夜の空が光る、野鳥が飛んで行く。


メコン河に死体が流れてゆく、美しい思い出の河に。


神が絶望を授けるなら喜んで受け入れる、心は炎に焼き尽くされるから。


疲弊した愛は再装填できない、愛は補充されない。


初めてはあの人の死装束への口づけ。


私は地獄に生きる、解放の時を待ちわびて。



挿絵(By みてみん)

ベトコン少女



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