カップ焼きそばを作ろう
ビニールを外して、お湯を注ぐ、それだけで美味しいラーメンが出来ると初めて知った時、幼い自分はとても感激していたと母から聞いたことがある。
この手の即席麺は、何度も食べると飽きるものだが、たまに無性に食べたくなる。スーパーで安売りを見かけたりしたら、尚更だ。
特に食べたいと思ったわけではなかったが、夕飯前の腹が減った時間に安いと思うと、つい手を伸ばしてしまったのだ。
簡単に作れるから、今日のような手を抜きたい休日の昼食には丁度いい。
ビニールラップを外し、蓋を半分ぐらいまで開けて、中のソースや具材の袋を取り出す。全て取り出さないと後で酷い目に合うので、小さなふりかけの袋も忘れずに取り出した。
ちょっとしか入っていない具材は麺と一緒にふやかす為に、袋を開けて容器に戻す。
ラーメンと違って、焼きそばはどこのメーカーもほぼ乾燥したキャベツと薄っぺらい肉らしき物しかないのが、何とも味気ないと、毎回思う。CMで美味しくなったと宣伝しても、具材の種類が増えることはないのだろうか。
後は、お湯を注いで三分待つだけなのだが、この三分というのがなかなかの曲者で、キッチンタイマーでわざわざ計るほどではないが、時計を見ながら待つには長すぎる。
かと言って、自分の感覚で三分計ったら、待ちきれず、まだ芯の残る状態になるかもしれない。ラーメンなら芯が残っても食べながらふやけるから問題が、焼きそばで芯が残るのは致命的だ。
結局、スマホでゲームでもしながら時間を計れば丁度よくなるだろうと思い、実践してみたが、負けず嫌いが災いして、気づいた時には五分ほど経っていた。
急いで流し台に持っていって、お湯切り用のシールを剥がして、そこからお湯を流し台に捨てたが、既に麺は伸びきっていたようで、湯切り口からはみ出した麺が少し太い気がするのは、おそらく気の所為だろう。
昔は、湯切りの際に麺まで流してしまったというような笑い話もあったが、今はメーカーの努力で、軽く振ってお湯を切っても、小さな湯切り口からは麺までは流れない。
ここでいつも、振ってもお湯が出てこないぐらいまで湯切りをするのだが、残りの蓋を開けると、いつも麺の影に隠れてまだお湯が残っている。こいつを始末する方法があるなら、誰か教えてもらいたいものだ。
そこに、ソースの袋を開けて麺に混ぜるが、どう考えても、微妙に残ったお湯の所為で、色が薄い。麺をどかせば相変わらず残っていたお湯が、しっかりとソースと混ざっていて茶色になっていた。
普段なら、諦めてこのまま食べるが、今日は休みだ。せっかくの休みを麺の伸びきった味の薄い焼きそばで、台無しになどしたくない!
それに、焼きそばといえば、やはり鉄板で焼いて焦げ付いたぐらいの方が美味いに決まっている! この伸びきった、びちゃびちゃの焼きそばを復活させるには、焼くしかない!
フライパンを熱して、油を入れて、ソースの絡んだ麺を投入する。フライパンの中で改めて見ると、量が明らかに増えているが、食べられない量ではない。
薄くなったソースが蒸発して焦げそうになるが、味に変わりはなさそうなので、冷蔵庫からお好み焼きソースを取り出し、麺にソースを追加した。
昔、行ったお好み焼き屋で、焼きそばにもお好み焼きソースをかけていたのが美味かったから、味は変わっても不味くはならないはずだ。
そして、味が濃くなった焼きそばをカップに戻して、マヨネーズをかければ完成だ。
後は、水と一緒に食べる。
思った通り、味のしっかりした……かなり濃い焼きそばになった。
具材たっぷりの家の焼きそばに比べたら、またすぐに食べたいと思う味ではないが、暫くしたらまた恋しくなるかもしれない味だ。食パンにでも挟んで、焼きそばパンにすれば丁度いいかもしれない。
ただ、今回は量が多いので、パンまでは流石に食べきれない。
また、安くなった時に買おう。