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◆最弱魔物の俺が魔王を倒すまで  作者: 雪白 瑚葉
第五章 迷宮都市 前編/ネギ大会
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第85話 スーパードラゴンとネギオン

「グヮー。グワーッグヮグヮグワヮーッ」

“ノートさんは「フォック選手の根性とネギ愛には脱帽した。素直に敗北を認めざるを得ない。来年も出場して優勝を狙いたい」と言っているズラ”

 リングサイドアナのヨサクが、ノートの敗者の弁を通訳して伝えた。


『最後のは言ってないぞ』

「リップサービスズラよ。ところでノートさん」

『なんだ?』

「すまないが湿布を貼って欲しいズラ」

『…仕方ないなぁ』


 腰を痛めたヨサクは立ち上がることもできず突っ伏したままでリングサイドアナウンサーの仕事を継続していた。

 ノートはスースーする湿布をぺたりとヨサクの腰に貼ってあげた。



“さて、リング上では優勝候補のジン選手VSパウパウ選手、ボトムッチ兄弟の機動アーマーネギオンVSスーパードラゴン パピロン選手の熱戦が繰り広げられています!”


「ネギオンパンチ!ネギオンパンチ!」

 ボトムッチ兄の操る機動アーマーネギオンがパンチを連射し、巨大な幻獣パピロンに殴打を繰り返している。受けるパピロンは一打ごとのダメージは大したことがないが、徐々にダメージも蓄積し始めている様相で苦悶の表情を浮かべている。


 バサッ!


“パピロン選手、たまらず上空へエスケープ!毎年恒例ですがこれはズルい!”

“この大会に飛行レギュレーションがない以上はセーフじゃから仕方なのう”


「くそッ!空中に逃げられたか!」

 ボトムッチ兄弟のネギオンには対空装備が搭載されていない。というか、武器に割く余裕がないのだ。

このネギしばき合い大会のレギュレーションでは、武器がネギに限定されるため対空攻撃自体の選択肢が少ない。ジンのようにネギを振るって剣圧を飛ばしたり、ヨサクのようにネギ自体を投擲するなどの方法に限られてしまう。


 一方のネギオンは三本のネギを合体させて作るロボットである。操縦席のあるボディの「エース」、両腕となる「クイーン」、両足となる「ジャック」で使用可能なネギ三本を使いきっているため、武器に割くネギなど残っていないのだ。


 空に逃れることで体勢を立て直したパピロンは一点、上空からの襲撃に転じる。

「がおおん!!反撃とまいりますよ!ドラゴンクロー!」

 パピロンは雄叫びを上げて地面のネギオンに向けて急降下した。


“あっと!パピロン選手!それ去年失格になったやつですよーっ!”

“いや、よく見るんじゃ!あれは…”


「ふふ…この幻獣パピロン、ダテにスーパードラゴンとは呼ばれていませんよ!」

 パピロンの左腕の爪は、緑に輝いている。ネイルアートではない、三本のかぎづめはネギが装着されていた。


“なんとパピロン選手、爪にネギを装着しています!”

“考えおったのう。これなら普通に爪を振るう攻撃が反則ではなくなるぞい!”


「兄ちゃん危ない!ジャック(足の部品)のリミッターを外すんだ!」

 リング脇で見ているボトムッチ弟が叫ぶ。


「OK!ネギオン高機動モード!」

 操縦席のボトムッチ兄が何かボタンを押すと、ネギオンの足がムカデのように細かく分かれ、多脚が波を打つように動きスムースにバック移動した。パピロンの爪は空を切る。


“キモッ!”

 実況の女の子エシャロットは思わず生理的嫌悪の声をこぼす。

“……うむぅ…”

 解説のゴッド爺はロボは専門外のようで言葉もない。


「兄ちゃん!カウンターだ!」

「よっしゃあああああッ!超振動アーム!」

 ネギオンの腕を成すネギパーツの右腕部分が超高速で振動し始める。ネギアームはブイイイイインと唸りを上げパピロンの左足へと振り下ろされた。


「くうッ!これは効きます!」

「この超振動アームは固い鱗をも貫通し、内部にダメージを与えるぞッ!」

 ネギオンは超振動アームを振り上げてパピロンの固い鱗に殴打を続ける。

「駄目だ兄ちゃん!」

 ボトムッチ弟が叫んだ瞬間だった。


 ブツン


 ネギオンの駆動系のネギ…いや、ネジが吹っ飛んだ。超振動により、きつく締めていたはずのネジが緩み外れてしまったのだ。

「しまッ…」

 ネジが吹き飛ぶや否やクイーンこと両腕のパーツのネギが煙を噴いて大破した。

「兄ちゃん!油圧系統に引火するとヤバい!消火に専念するんだ!」


“……えーと”

“あのネギオンの仕組みがよくわからんのじゃが…”


 ボトムッチ兄の懸命の消火活動により、ネギオンはなんとか中破で済んだようだった。

「危なかったぜ…ネギオンは火気厳禁だからな…あっ」


「ガオオオン!」

 ボトムッチ兄が額の汗をぬぐったその時、スーパードラゴンのパピロンはネギオン目がけて火を噴いた。


「緊急脱出!」

 ボトムッチ兄はネギオンのエマージェンシーボタンを押し、ネギオンから脱出した。

 そして、ネギオンは油圧系に炎が引火して大爆発を引き起こした。


“えー、パピロン選手は今年も反則負けですね”

“まあドラゴンやスーパーロボットが優勝してもつまらんからのう…”

“ネギオンも大破したので、ネギしばき合い大会の深葱の優勝旗はジン選手、パウパウ選手、気絶しているフォック選手の三人によって争われます!”

“来年は出禁にしたほうが良いと思うのじゃが…”


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