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死神冒険者の終末旅行紀  作者: サフラン斎藤
一章-死が全てを分かつまで
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フラン

一章-死が全てを分かつまで。

フラン


 世の中広しと言えど、孤児院など何処も大差ないに違いない。

 孤児院にいる子供であるからして、当然の如くフランは孤児である。親と同時に生まれを失ったフランは自らの年齢を知らない。

 共に棄てられた子供もいたと聞くが、その子供は遠方の孤児院に引き取られたらしい。知らぬ子供は兄妹だろうか姉妹だろうか、はたまた赤の他人か。


 不幸にならないといいな。


 幼い願望は自身の幸福とを望むのと同じだけの願いが篭っていた。だから、何処も大差ないのだ。そうあってと祈る。

 人は生まれを選ぶことができない。おそらく生き方すらも選べない。

 孤児に生まれた女児にどれだけの可能性があるだろうか。行く末は商売女か冒険者、運が良ければ町に住む男にでも嫁げるかもしれない。要は体を売るか死ぬかだ。

 フランは大方の孤児院の女児と共に少しでも穏やかな未来を模索していた。窓の外から金属を打ち合わせる音が聞こえる部屋で。

 『未来を模索している女児』は孤児の一部にお部屋組と揶揄されている。働かなくても飯が食える良い身分の奴や心の底から汚い奴の総称だそうだ。

 実際、僅かながらもフラン達は町の人間からの援助を直接受けている。どうにもいきなり嫁として買うよりも、始めから印象をよろしくしようとの試みらしい。

 援助により生まれた余裕を時間に換えてそのまま花嫁修行に当てる女児達はまったくたくましい。中には嫁ぎ先が内定したものさえいるのだから。

 とは言え、ここは魔物の巣に囲まれた厳しい立地環境にある王国。援助もたかが知れている。

 よって、援助だけで食べていける訳ではない。その隙間を埋めるため、同じ孤児院の男児を天秤に載せる輩が多い。これがお部屋組が孤児の一部に嫌悪される最大の理由だ。

 特に冒険者を志す女児には蛇蝎の如く嫌われ、暴力沙汰に至ることもしばしばだ。

 そんな中フランは異色だった。半ば孤児院に引きこもっているわりに、男児を利用しない。なのに、餓えている様子がないのだ。

 昼間はひたすら書物をめくって過ごし、夜に翌日の水を確保する生活。援助の一日一食で過ごす姿は、まるで学者か敬謙な信徒のようだった。



新作の筆が止まってしまったので、ありものを投下させて頂きます。どうか御容赦をば。

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