看護師さんの思い出 その一
1
とりあえず当面は、ものを食べれないのである。
というわけで、点滴で栄養を入れないといけないのだが……。
どうも、腕が痛い。
ナースコールで看護師さんを呼んだら、男の看護師さんがやってきた。
あ〜、点滴が漏れているみたいですね〜と、点滴を止めてもらって……そのまま看護師さん、どこかにいっちゃった。
それから、しばらく待っても戻ってこない。
え〜、どうしよう。
だいぶ、長い時間がかかって(もしかしたらまたナースコールをしたかもしれない)女の看護師さんがやってきた。
ところで、わたしは大抵、点滴や採血は右手でしてもらうのだけど、左手では出ている血管が少なくていつも手こずるのだ。
もともと右手に点滴が入っていたので、左手にしないといけないんだけど……。
その時も、失敗されてしまった。
前にも書いたと思うが、わたしはほんっと〜に針を刺すという行為が苦手なんである。
一気に吐きそうになって、うがい受けを口のところに持ってくる。幸い、吐きはしなかったけど……。
「大丈夫!?」
看護師さんが慌てて、血圧を測るとめっちゃ下がっておりました(苦笑)。
とりあえず一旦落ち着くまで休もうかと言われて、胸を撫で下ろしたのは言うまでもない。
しばらくしてやって来たのは、恰幅のいい男性の看護師さん。
この病院、結構男性の看護師さんが多くて、三人くらいいた。
針刺しにビビるわたしに気をつかってか、気さくに話しかけてくれる。
やっぱり左腕に入りそうな箇所はなく、
「ごめんな〜、痛いかもしれんけど手の甲から入れさせてなぁ」
そう言って鮮やかな手つきで、ことを済ませてくださった。めでたし、めでたし。
2
で、点滴漏れ事件の前だったか、後だったか忘れてしまったんだけど……。
わたしの配置されていたベッドは、故障しているとのことでテレビが見られなかった。
入院したての頃はそんな余裕なかったけど、さすがに少し体調が落ち着いてくると、暇になってくる。
テレビが見たいと言うと、とりあえず修理の為に人を呼んでくれることになった。
てっきり外部から電気屋さんでも呼ぶのかなと、おもったら……。
「電気屋さんが来たで〜、なんちゃってやけどなぁ」
工具を持ってやって来たのはなんと、わたしの左手の甲から鮮やかに針を刺した看護師さんだった!
実は、壊れているのはテレビ本体ではなくて、何かのコード(電源だったか?)が壁の内側に入り込んでしまっただけだった。
そのコードを壁から引っ張りだし、テレビ側と繋いだら解決するのだが……。
なかなかうまくいかない。
途中、お見舞いに来てくれた父も加わり、なんとか線を繋ぐことができた。
めでたしめでたし。
***
この看護師さん、すごく気さくな方でとても印象に残っている。