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人は空を飛べない。
空島から空島へ、人は空船に乗って渡る。
そして空船を浮かせるのが浮遊石だ。大きな石ほど浮力も大きく、より大きな空船を浮かせることが出来る。しかし限られた島で僅かな量しか取れない為、オーヴの空中都市が集まる十三都市会議で厳密に流通量が定められた希少かつ高価な石である。各国に定められた量の空船はさらに国の管理の元、人々の生活を支える船となる。空船は各国管理下であるのはそれが理由だ。そして浮遊石だけでは空船は空を進むことが出来ない。その推進力となるのが青の石。青の精霊の宿った契約の石だ。
「少し飛んで、そうだな、洞窟をとおって、小庭に行きたいな。よしっアルル、エスメラルダ、行こう」
“OK”
“はーいぃ”
船首をめぐらせタタは目的の方向に向かい飛び始める。
きっと父さんのこと、なにか思惑がある。・・・まっいっか、何かあったらそん時考えたんでいーや。
「いっくぞー」
果てのない空、そこを行くことがタタにとってはなによりも心躍ることなのだ。
青の精霊の宿る石による船を飛翔艇と呼ぶ。浮遊石で浮かせた空船は飛翔艇に牽引され空を進むのだ。空船の大きさによって1~3艇によって引くのが一般的だ。飛翔艇乗り、青の精霊石の契約者は誰でもなれるわけでわけではない。空船乗りの中でごくわずか100人に1人。青の精霊が人を選ぶというがどんな基準で選ばれるのかわかっていない。しかし空に生きる人々にとってなくてはならない存在である。そしてその地位は高く、契約者は15歳を過ぎると国に登録する義務がある。
タタ・アルル・エスメラルダ・ランギス
青の契約石と契約したものは名前にそのことを表す。
しかもタタは過去、数人しかいない複数の契約を持つ特別な存在なのである。
「やっほーーーーい♪」
・・・空をアクロバット飛行するタタの姿にそんな特別性を見いだせなかったとしても。