8月23日 5
「スティーブン3世?」さ、俺はあっけにとられながら呟いた
その、青く透き通った綺麗な女の子はにこりと笑いながら、頷いた、そして、唐突すぎて、よく理解できない俺の手をとって、犯罪が行われようとしている小屋に誘う、
っと…考えている場合じゃない、今にも母娘が襲われようとしている、状況の説明は後でしてもらうことにして、二人を助けないと
小さな青く透き通った女の子に手を引かれて、小屋の入り口に到着、小さな青く透き通った女の子は引いていた俺の手を離しながら、にこりと笑う、そして(ビシャ)と言う音を立てながら形を崩し液体になり、入れ口の扉の隙間から、ズルズルと入って行った
直後、母娘を襲っていた男たちの、騒ぎの質が変わる、言葉はわからないが、慌てているようだ、隙間から、中をのぞくと、二人の男の膝から下が無くなっている、夥しい程の出血、一面血の海、母娘も何が起こったわからず、怯えている
『もどったよ、ただいま』
おかえり…って、君がやったの?何をしたの?あの女の子は君?
『おちついて、あとで答える、二人をたすけるんでしょ』
おお…そうだ、部屋に入る前に、拳銃の有無を確認、よし、もっていない
『ナイフとかは?』
無さそうだ、よし突入!!ドアをけり破る、バイオハザー〇の扉を開けるシーンだ
『アホか、君は』
いきなり入ってきた俺に母娘は怯える、そりゃそうだな
怯えている娘に母親に所に行くように促し、転がっている八路軍の二人を見る、膝から下が無い二人は、俺を見上げながら、懸命に何かを伝えようとしているが、何言っているのか全然わからん
『通訳すると、なんだお前は? 助けてくれ、いたい、どうなっているんだ、何で俺たちんがこんな目に、等々』
馬鹿だなこいつら
『八路軍だからこんなもんだよ、馬鹿だし、畜生と同じ』と、スティーブン3世と話していると
「ギャ」、「ギォ」、「ダビュ」とか、不規則な変な音が聞こえる
足が無くなって、転がっている八路軍の一人の男の顔を、両手に石を持った母親が殴っている、娘も同じように石をもって殴っている、もう虫の息であろう、二人の八路軍、しかし手が自由だから、危ないので俺の足で、こいつらの腕を踏んで押さえておこう
『通訳するね、やめぇぎょ、だゅぅぇで、ぼぇ、ぼぅぁがぉ』
母娘はもう一人の男の方に向かう、俺も手を押さえる為にそちらに移動する
顔を潰された虫の息の男の現状を見て、青ざめるもう一人の男、懸命にはってその場を少しでも離れようとする、俺は虫を踏むように、足の無い八路軍の男の身体を踏んで動きを止める、そして始まる母娘の報復
『通訳するね、ぎぅぇ、ばゅょ、ぜんぅぶゃゃ、ぎょ』
八路軍の二人の反応が薄くなって来た後も、二人の石を振り下ろす作業は続く
『女子挺身隊はこの戦争で一番被害にあったと言ってもいい人達だからね、恨みも相当深いだろうね』
そんなひどいの?
『君の住んでいたチチハルに来るまでだって、壮絶な旅路だったみたいね』
どんな
『戦争に負けた後、隠れていた女子挺身隊やその家族の宿舎ね』
うん
『ソ連兵と満州国軍の兵士が入れ代わり立ち代わり威嚇射撃をしながら乱入してきたらしいよ』
それじゃ、気の休まる時もないね
『そんなもんじゃないよ、反撃が無いとわかったソ連兵と満州国軍の兵士は乱入してきて、略奪を繰り返し、女性たちを漁ったよ』
…
『女性たちは、かまどの炭を顔に塗りたくり、髪を散切りにして、子供を背負いかたまっていた、それでも、女性と分かるとベルトをはずしながら追いかけられ、犯され殺された』
俺は、手に石を持った
『そして、夜になると、こいつら、今足が無くなって転がっているこいつらね、が、日本人のいる宿舎にやって来て、抵抗の出来ない女の子や、幼い子をさらっていく、八路軍にさらわれた子は、ひどかったよ、女の子は女性器と肛門が裂けてつながってぼろほろになって死んでいたり、男の子は、肛門に石がつめられたまま死んでいたり』
石を持った手を、顔も判別できなくなった、足のない男たちに振り下ろす、泣きながら、振り下ろす、こんなことで、このこの時代の日本人女性たちの恨みが晴らせるわけじゃないけど、何度も何度も振り下ろす、親子が犯されそうになっていた小屋を出て、大きな石を見つける、これをあいつらの上に落してやる、原型もわからない様に潰してやる、大きな石の近くまで、まだかすかに息のある、八路軍の二人を引きずってくる、てこの原理を使い、大きな石を、二人の上に落すため、懸命に押す
気付くと、狭いベットの上で、大きな奥さんの身体を泣きながら押していた
………
五月蠅いと、横っ面をバックハンドブロー気味のビンタで叩かれる
イタイ
顔洗って来よう、ベットを出て、顔を洗いに、洗面所に、もう明るい、それもそうだ、6時を過ぎてる
洗面所で、顔を洗い鏡を見ると、ジジィがおはようと声をかけて来た、最近なんか知らんが、よく眠れるんだ、とジジィ
『後悔がまた一つなくなったみたいだね』と、スティーブン3世が話しかけてくる
良かったなジジィ…と、俺はトドの化身の安眠を妨害した事を、どうやって謝るか考えていた