プロローグ:変わらない生活
暇つぶしに見てもらえれば幸いです。
変わらない生活の中に私は孤独さえも忘れかけていた。
騒々しい都会の昼間、昼夜問わず流れ続ける車の群れに、テールランプの残像。
一日を終えるたびに、次の日がやってくる。
その中、私は生きていた。
いつもの目覚と刺さるような鈍痛
週末に残るこの痛みさえも時々愛しく感じてしまいそうだった。
ほのかな煙草の香り
私はゆっくりとベットから起き上がる。
重い頭を起こすと共に、乱れた髪がベットから流れ、窓に目を向ければ冬の冷気にさらされた日差しがブラインドから零れ出ていた。
もう朝だ。昨日は終わった。
「……痛っ」
私はゆっくりと頭に触れた。
昨日の酒が微妙に残っている。
私は重い頭支えながらベットから降りると、重い足を引きずるようにそのままキッチンに向かった。
味気のない部屋。余計なものはない。
面白くない社会人だ。それが私。
シンクの蛇口を捻れば肌を刺す水が流れる
その冷たさが徐々に私の頭を現実に戻していった
「少し飲み過ぎたかしらね… 」
そんな独り言を呟く
私は自嘲めいた笑みを浮かべそのままコップを手に取り水を入れた
口に含む。
食道を冷たい水が通り過ぎるたび、喉の渇きと二日酔いはいくらか楽になった
「……あの糞上司、ベタベタ私に触りやがって」
シンクに手をつきながら昨日の事で思わずグチを吐く
何度もある事だが相変わらず吐き気と寒気がする
私は気を紛らすように、キッチンの上にある煙草を手に取った
煙草を一本取り出し、ガスコンロのノブを捻って火を点ける
青い火が揺らめき
私は髪をかき揚げ、髪が焦げないように煙草に火を燈した
深く煙を吸い込むと、肺を犯す紫煙がほのかな痛みと共に私に安らぎを与えてくれる
立ち上る紫煙を見つめながら私は、変わらない日常がまたやってくる事を退屈だと思う
変わらない日常
何もかもが変わらない
そんな世界で私は生きている
シンクで煙草を消すと私はいつもの準備にかかる
出勤の時間が迫っている