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白いノートの秘密

こんにちは、こんばんは、おはようございます

数ある作品の中から見つけてくださり、ありがとうございます。


女性が主人公のショートショートです。よろしくお願いいたします。

 ある日公園のベンチでうたた寝をしていた。ふと起きると横には真っ白いノートが置かれている。誰かの忘れ物かなと手に取る。裏返しても名前の記載はない。悪いと思いながらも持ち主の手がかりを得るためページをめくった。すると書かれていた文字が風のように消えたのだ。


「えっ!? なにこれ」


 少し不気味に思えた。周りを見渡し誰もいないことを確認する。そしてノートを置き去りにしたまま家へ帰る。すると置いてきたはずのノートが机にあるのだ。一瞬動きが止まる。真奈は見て見ぬふりをすることに決めた。


 次の日机にあったはずのノートが姿を消す。見間違いだったのだろう。そう心の中で結論づける。だからノートのことは忘れていた。彼女から聞かれるまでは。


「ねぇ真奈。どこかで白いノートって見なかった?」


 思い詰めたような声だった。前に公園で見かけたノートのことを思い出す。けれど確信はない。


「白いノートって何?」

「あっうんん見てないならいいの。気にしないで」


 彼女は慌てながら、わずかに苦笑いを浮かべる。直感的に「隠しごとをしている」そう思った。けれど何も話してくれない以上こちらからは何も言わない。


 家に帰ると例の白いノートがあった。真奈は悲鳴をのみ込む。それでもおっかなびっくりノートを開いてみる。そこには両親の近況が書かれていた。ただ思い当たる節はある。寝る前に両親のことを考えていたのだ。


「今夜はカレーよって何なのよ!?」


 そんなことあるはずがない。そう思いながらも実家へ電話をした。するとノートに書かれている通りのことを母親が話すのだ。動揺のあまり声が震える。

 電話を切った後、ノートに問いかける。


「あなたは何者なの」


 すると真っ白いページに黒い文字が連なっていく。


『ボクは散歩するノート。沢山の声を集めているんだ』

「それはどういうこと」

『君が知りたいことを集めに行くんだ。ボクは願いを叶える手助けをしているの。君が口にした人や物の日常を垣間見ているんだよ。それからいいことも悪いことも全て隠さずに伝えているの』


質問するたびに文字が映し出される。異様な光景に喉が鳴った。


「私の友達があなたのこと探してたみたいなんだけど」

『あぁ彼女は白いノートのことを口にしたからね。少し前に持ち主の資格がなくなってしまったんだ。だから彼女はボクが見えなくなったんだ』


 何が起きたのか分からない。


「それだと持ち主の資格もない私はどうして見えたの」

「うーん。君の視力がいいからかな。あのベンチ白いから見えないと思ったんだよね。ボクは隠れんぼしているだけだから。見つかることはたまにあるんだ」


 真奈は予想外の返答に目を見開く。軽く突っ込みたくなった。けれどまだ聞きたいことが残っている。


「私が見たとき文字が消えたのはどうして? そのとき彼女はまだ持ち主の資格があったと思うんだけど」

『一応プライバシーは守られるんだ。持ち主にしか内容は見られないように出来ているんだよ』


 どういう原理なんだという疑問はさておき、このノートは危険だ。いくらでも悪用出来る。使い方によって善にも悪にもなる。全てを否定するわけではない。ただそれで叶えたことは後々良心が痛むだろう。


 これは早々に手放すべき。けれど誰かの手に渡ることの方が、危険かもしれない。しかし彼女は今も白いノートを探しているはず。

 真奈は彼女に話をすることにした。真実を知りとても驚いていたけれど、残念そうな複雑な表情をしていた。


「少し聞いてもいいかな。私のこと監視してたわけじゃないよね」


 これは重要なこと。突然白いノートが現れたのだ。理由を知っているからこその質問である。


「違う違う! たまたま今どうしてるかなって呟いただけだよ。あのノート何気なく呟いたことまで教えてくれるんだよね」

「そっかぁなら良かった」


 困ったように笑う彼女が嘘をついているようには見えない。ひとまず安心だ。

 この瞬間も白いノートは、誰かの願いを叶えるために散歩する。

 そして今日もどこかに潜んでいる。

最後までお読みいただきありがとうございました!

我ながら盗聴のようだと思ってしまいました……。


別の作品も投稿しております(完結済)。またお会い出来れば嬉しいです。

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