表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

第9話 終わらない旅

 激しい雨は一夜にして止んだ。

 昨日の雨の雫が枝葉に滴る朝、ギルバートの手には一振りの細身の剣が握られていた。それは陽の光に当てられて刀身が瞬くように光った。

「人間一人運ぶの重たいから結果的に良かったな」

 一人呟いたギルバートは、異空間にその剣をしまいこみ、王国に一人で戻った。



 事の顛末を報告したギルバートに、国王はしばしパリスを悼んだ。そして何の疑いもなく、次の魔王討伐にも参加してほしいと頼み込んだ。それをギルバートも二つ返事で受けた。

「ええ、ええ──今回はゴブリンの棲家に繋がるルートが悪かったので、俺の過失もあります。今度は違うルートで行こうと思っております。同じ轍は踏みませんよ」

「うむ。経験者がいることの頼もしさよ! すぐに魔王討伐メンバーを選別するのでしばし待ってほしい」

 ギルバートのことを何も知らない国王は豪快に笑う。目の前の武器商人こそが元凶だと気付かずに。その言葉を疑いもせず。次の魔王討伐にもギルバートは参加する。

「いやしかし申し訳ない。国から資金は補填するとはいえ、装備の仕入れは旅をしながらでは難しいであろう?」

 仕入れ先は企業秘密で貫いているギルバートは、三日月のように口角を上げて答えた。

「いいえ。むしろ様々な地に赴いて発見する武器防具に心躍ります」

「それなら良いのだが……そなたに用意してもらった聖剣が無くなった今、その代わりなどは──あったりするのか?」

「ええ、もちろん」

 ギルバートは今朝手にしていた細身の剣を異空間から抜き出し、国王に掲げて見せた。


「こちら、勇者の剣でございます」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ