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34週目.天狗

妖人族の村にはたくさんの人がいた。

俺が知っている妖怪のような姿が多い。

やはり妖人族と妖怪は何かしら関係があるのだろう。


「いっぱい人がいるね」

ユイは笑顔で言った。

自分と違う見た目の人を、怖がる子じゃなくて本当によかった。


虫人族の姿もちらほら見えた。

ゴフェルの話の通り、順調に保護が進んでいるようでよかった。



ゴフェルに案内されたのは、大きな屋敷だ。

時代劇とかで見たことがある建物だ。


「ここが長の家?」

「そうだ。コータのことは何と説明する?」

「あー。長には伝えてもいいよ」

「わかった」

俺達は屋敷に入る。



屋敷に入り、一つ目の女性に案内されて部屋に入る。

中にはゴフェルと同じくらいガタイの大きな天狗がいた。


「妖人族の長のイヅクだ。こっちはコータとユイ」

「ゴフェル殿、部下達が間違って襲ったのは人族だと聞いていたんじゃが?」

「事情があり変化茶を飲んでもらってる」

「事情?」

俺は口を開く。


「まず俺が異世界人だからだ。ここに来てる異世界人と違う時代だから、出来るだけ異世界人として接したくない」

「なるほど……」

イヅクは何かを考えていた。


「イヅク、気になることを聞いてもいいか?」

「なんじゃ?」

「この妖人族が住んでいる場所は、俺の故郷の昔の姿に似ているのはなぜだ?それと妖人族の姿が故郷の妖怪と呼ばれる存在に似ているのだけど関係はある?」

「コータの故郷は日本じゃな」

「!?」

まさかこの世界の人から日本という単語を聞くことになるとは思わなかった。


「コータの疑問を答えよう。まずは妖人族について話さないとな」

イヅクはそう言って話を始めた。


「儂らの先祖は遥か昔からこの島に隠れ住んでいる。この肆の島には異世界の建築物が多くあり、それが時々異世界と繋がる」

「それで今回の2人も来たんだよな」

「そうじゃ」

イヅクは頷いて答えた。


「大昔から異世界と繋がってしまう環境だったせいで、先祖が異世界で生まれたのかこちらの世界で生まれたのかわからないんじゃ」

「ということは?」

「肆の島にある建築物は日本と繋がることが多く、その妖怪と呼ばれる存在は多分儂らや儂らの先祖じゃろう」

「なるほど…」

まさか妖怪の正体が異世界で判明するとは思わなかった。


「日本以外の国にも妖怪のようなものはいるのか?」

「まあ詳しくはないがいるはず」

「この島にも日本以外と繋がったことのある建築物もある、それに魔人領には儂らでも知らない建築物があるようだ。本島で奴隷になっている妖人族の先祖は、儂らの先祖とはちがう場所から来た可能性が高い」

「この島出身ではないということか」

「そうじゃ」

妖人族の正確な生態は本人達もわからないみたいだ。


「これで妖怪との関係については理解してくれたか?」

「ああ。理解した。」

「それでは日本の建築物に似ている理由を話そう」

「頼む」

イヅクは再び話始める。


「建築物が異世界に繋がる理由やきっかけは未だにわかっていない。だから突然異世界に行ってしまう妖人族も過去にたくさんいた」

「それは大変だな」

「だが大半の者は数年以内には帰ってくる。短い者だと3日、長い者だと5年。日本に行くことが多かったため、日本の様々な知識を持って帰ってきたんじゃ」

「なるほど。それで建物などが似てるのか」

「そうじゃ」

いろいろ理解出来てきた。


「説明ありがとう。いろいろ理解できた」

「そうか。ならよかった」

イヅクは満足そうな表情をしていた。


▽ ▽ ▽


ユイは俺にもたれかかって寝ている。

俺とイヅクの話が退屈だったみたいだ。



「あの2人がコータと別の時代から来たのは確かなのか?」

「うーん。たぶん。あんな服装なやつは見たことが無い」

雑誌や映画では見たことはあるが説明してもわからないだろう。


「儂の息子もあの2人の影響を受けているみたいなのじゃ」

「そういえば息子と一緒に帰ってきたって聞いたな」

「そうじゃ。タカとシゲというのじゃが、息子達が異世界で不自由なく生活が出来たのは2人のおかげらしい」

「なるほど。イヅクはあの2人をどうしたいんだ?」

イヅクは少し悩む。


「タカとシゲは元の世界に帰りたいと言っていたのだが、この前の魔王軍の襲撃を見たせいでこの集落を守ると言い出した」

「あー正義感が強めのヤンキーか」

「「ヤンキー?」」

ヤンキーという言葉に、イヅクとゴフェルは首を傾げた。

俺は気にせず話し続ける。


「安全に元の世界に帰したいってことでいいのか?」

「うーん」

イヅクは何故か少し悩んでいた。


「ん?なんで悩んでるんだ?」

「いや、あの2人は戦闘の才能があるんじゃ」

「は?戦力にしたいってことか?」

「魔王軍の兵士の数は多い。ゴフェル殿の味方になる者は多い方が良いと思っている」

俺はゴフェルを見る。


「手を借りたいのは事実。だが本人達の意思、それと最低限の戦闘力がないと認めることはできん」

「ん?まとめるぞ。本人達が望んで、最低限の戦闘力があれば魔王との戦いに参加させる。望まなかったり、戦闘力が無ければ元の世界へすぐに返せる方法を考える。でいいのか?」

「そうだな…」

「ああ」

俺が思っている以上に、魔王との戦いは大変みたいだ。


俺は悩んだ。

「龍人族として関わろうと思っていたけど、同じ異世界人の方が話が進みやすそうだな」

「変化茶はまだあるし、解除薬もあるぞ」

「うーん。もう日も暮れるから、明日の朝まで考えさせてほしい」

「すまんな、コータ」

「ああ。まあ異世界人を戦闘に参加させるのはできるだけしたくないけど、俺とユイがいても人手不足だとゴフェルが感じるのであればしょうがない」


あの威勢の良さなら、魔王軍との戦闘に参加するという気がする。

バットとか刀を持ってたし、絶対に参加したがるだろうな。


元の世界の歴史がおかしくならないことを願うしかなかった。



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