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34週目.ヤディ

「ゴフェル様、私の紹介をしていただけますでしょうか?」

「え?」

ゴフェルから話を聞き終わると、どこからか声がした。

俺達の周りにはユイ以外いない。


「ああ。そうだな」

ゴフェルがそういうと、ゴフェルの座っているところがゆらゆらと動く。

そしてゴフェルの影が分裂した。


「は?え?」

「コータさん。影人族のヤディと申します」

「よ、よろしく」

分裂した影は手を振りながらそう言った。


「えーっと、影人族?」

「ヤディは霊人族だ」

「あーなるほど」

霊人族は何人か会ったことがある。

火とか石で身体が出来てる、自然そのものみたいな種族だったはず。

それの影バージョンみたいなものだろう。


「ヤディにはかなり世話になってる。虫人族と妖人族の救出にはヤディ達の力が無かったら上手く行かなかった」

「ヤディ達?」

俺は首を傾げた。


するとヤディが話を始める。

「私達影人族は魔人領に約100人が潜んでいます」

「え?すごくね?」

「影の中から情報を得たり、影の中に人を入れて運ぶことができます。それに他の影人族と連絡が取れます」

「ほー。じゃあ絶対負けないじゃん」

「ですが私達は非常に身体が弱く、戦闘が全くできません。人族の幼子くらいだと思います」

「なるほど。暗殺とかはできないのか」

「はい」

だけど情報はかなり強力な武器だ。


「ゴフェル様が保護すべき種族を影で運んだり、魔王や他の幹部の情報などを得たりをしていました。ですが最近魔王側に影人族を見つけるマジックアイテムが出来たみたいで…。あまりお役に立てなくなってきました」

影だから表情はわからないが、申し訳なさそうな雰囲気は感じた。


「でもいろんなところに行けるのすごくない?」

「影人族は『影渡』というエクストラスキルを全員取得しています。ですが万能ではないんです」

「どういうこと?」

「他の影人族がいる場所か、影玉というものを置いた場所にしか移動できないのです」

「じゃあ影玉をいっぱい設置すれば?」

「影玉は1つしか設置できないんです、場所を変更することは可能なのですが…」

ヤディから話を聞く限りはかなり強い気がするが、他にも細かい弊害はあるのだろう。


「コータさん!」

「ん?」

「獣王国にいる影人族がモンスターに追われています。コータさんと私が接触してから起きたみたいなのですが、何か心当たりはありますか?」

「獣王国?」

獣王国が出来てるということは、俺が行った時代よりも今は未来みたいだ。


「それってシャドウフォックス?」

「えーそうみたいです。シャドウフォックスの上位種です」

「上位種?もし勘違いだったら俺が倒すのでここに呼べます?」

「大丈夫ですか?」

「はい。ゴフェルもいますし」

「ああ!問題ない」

「わかりました」

ヤディがそういうと、ヤディからシャドウフォックスが飛び出てきた。


コンコーン!

シャドウフォックスは俺を見つけると、飛び掛かってきて顔を舐める。

そのシャドウフォックスの身体には大きな傷があった。

ソンブラだ。


コンコン!

ソンブラは前に会った時よりも大きくなってる。


「コータさん。このボスシャドウフォックスは?」

「ボスシャドウフォックスだったっけ?一応俺のテイムしたソンブラ」

「そうですか。テイムモンスターならよかったです」

ヤディの声色は安心したようだった。


「それにしても獣王国って魔人領にあるの?」

「え?どういうことです?」

ヤディはなぜか困っていた。


俺が変な質問をしたんだろう。

多分獣王国は魔人領にもないし、近くにもない。


「ごめん、気にしないで」

「わ、わかりました」

「獣王国にも影人族がいるの?って聞きたかったんだよね」

「あー。そういうことですか。いますよ。他国には数人散らばっています」

「凄いね」

「数十年前、他国へ向かう船に乗れた同胞がいたおかげです」

影人族はやはり最強な気がした。


ゴフェルとヤディと話していると、ユイが目を覚ました。


「んー?コータ?ここどこ?」

「色々あったんだ。ちゃんと起きたら説明するから」

「わかったー」

ユイは目をこすって頑張って起きようとした。


▽ ▽ ▽


ユイに説明をし、2人で変化茶を飲む。


俺は赤髪の龍人族、ユイは紫髪の龍人族になった。


「コータ、可愛い?」

「うん。ユイはいつでも可愛いぞ」

ユイは嬉しそうに笑う。

その姿がまた可愛い。


「ゴフェル、この子がユイだ」

「ゴフェルだ。よろしくな」

ゴフェルが手を差し出すと、ユイは手を握って激しく振った。


「コータ、ユイは戦力と考えてもいいのか?」

「ああ。多分だけど、俺とゴフェルよりも強くなる」

「本当か!?」

ゴフェルは驚きながらユイを見る。

ユイは自慢げに微笑んだ。


実際ゴフェルのことを仲間だと認識したら、俺とゴフェルの力を共有されるはずだ。


「異世界人達に会う前に、妖人族の長に会ってほしい」

「わかった」

俺達は部屋を出る。

妖人族の村は、教科書で見たことのある昔の日本みたいだった。


「なんか俺の故郷の昔の姿みたいだ」

「妖人族の話では、異世界の行ってしまった者が帰ってきて真似して作るらしい」

「へぇー。そんなに頻繁に異世界に行ってるのか?」

「みたいだな。そこら辺は長の天狗のイヅクに聞いてくれ」

「天狗!!」

まさか聞いたことある単語で驚いた。


やっぱり妖人族は妖怪なんだろうか。



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