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34週目.妖怪の襲撃

翌朝。

目を覚ますと、クシカーロがいた。

ユイはまだ眠っていた。


「おはよー」

「おはよう。どうした?仕事か?」

「うんー。ちょっと大変なお仕事かなー」

「ユイは?」

「連れてってもいいよ。もしかしたら時間がまたグチャグチャになるかも」

「わかった。ユーサクには連絡入れておく。それで場所は?」

「魔人領」

「ゴフェルの所か」

「うん。戦闘は絶対起きると思う」

「わかった」

クシカーロは心配そうに俺を見ている。


「そういえばさ」

「ん?」

「いや、なんでもないよー」

クシカーロの発言が凄く気になった。


「なんかあるなら言ってくれよ」

「うん。時が来たらかな?」

「それで魔人領では何をやれば?」

「それは大きく分けたら2つ!まあ行ったらわかるよ!」

「わかった。明日の朝でいいか?」

「いいよー。じゃあ明日ねー」

クシカーロはそう言って消えていった。


俺はすぐにユーサクにメッセージを送る。



▽ ▽ ▽



翌朝、クシカーロが来た。


「準備は平気―?」

「俺は大丈夫。ユイは平気?」

「うん!魔人領だっけ?楽しみだなー」

ユイはワクワクしているようだ。


「じゃあ頑張ってね」

「ああ。行ってくる」

「クシカーロちゃん!行ってきますー」

そういうと、目の前の景色が変わる。


足元グチャグチャ。

沢山の木が生い茂る沼地に到着したみたいだ。


「ユイ、ちょっと飛びながら移動するよ」

「うん!」

俺とユイは風魔法で空を飛ぶ。


ドゴン!

ドン!ドン!ドン!

近くから戦闘音が聞こえてくる。


「ユイ、音がした方向に行くよ」

「うん」


俺達は戦闘音がした方に向かうと、10人以上の悪魔族が戦闘していた。

少し遠くから様子を見る。


「あれが悪魔族?」

「そうだね。前に俺とユーサクが戦った奴らの仲間かもしれない」

「うん」

ゴフェルの話だと、悪魔族は他種族を奴隷にしている。

今の時代があれからどれくらい経ったかわからないが、奴隷制度は無くなったのだろうか。


そんなことを考えていると叫び声が聞こえた。

姿はちょうど木に隠れて見えない。


「おめら!何ゴチャゴチャしてんだが!!!!」

その声と共に雷の球が悪魔族に飛んで行く。


「ぐあああああ!なんだ!人族がなんでこいつらの味方してんだ!」

「うるせ!シゲ!燃やしちめえ!」

「おう。わかったが」

2人目の声がすると、悪魔族の足元から火柱が現れる。


「おい!退却だ!魔王様に報告だ」

そう言って悪魔族は翼を生やして消えていった。


「もう来んなよ!」

「また来たら、燃やしてやるがな!」

叫んでいる男達が移動して、姿が見えた。


「え!?」

姿が見えた2人はどう考えても日本人だった。


1人は黒髪リーゼントのバットを持った青年。

もう1人は長髪ロングのオールバックの刀を持った青年。

2人共、昔のチンピラみたいな恰好をしている。

話口調はどこかの方言っぽい。


「もしかしたら2人共、俺と同じ世界から来たのかもしれない」

「え?じゃあ良い人?」

「うーん」

どう考えても俺と同じ時代ではない、しかも不良っぽい。

良い人かどうかは話してみないとどうにも分からなかった。


「話してみないと分からないかも」

「わかった!」

ユイは頷いた。


俺とユイは2人の後を付けることにした。


▽ ▽ ▽


2人の後を付けて、沼地を進む。


この沼地の雰囲気が少し不思議だった。

元の世界で見たことあるような建築物みたいなものが埋まってた。

アジアとかにありそうな石像だったり、鳥居のようなものもある。


そんなことを考えながら歩いていると、2人の姿が消えた。

「え!?」

「消えたよ!」

「ユイ、見てた?」

「見てたけど、いきなりいなくなった」

「どういうことだ?」

俺とユイは混乱した。


すると背後に気配を感じた。

「ねー」

「「え?」」


振り返ると女性がいた。

「あのー」

「あなた達、人族よね?ここに何をしに来たの?」

「えーっと」

俺はなんて答えようか迷っていると、女性の首が伸びて俺の目の前までやってくる。

「え!」

俺は珍しく動揺した。


どしゃ!

女性に驚いていると、ユイが沼地に引き摺り込まれる。

「ユイ!」

「なんでいるの?何しに来たの?」

ユイを沼地に引っ張っているのは、どっからどう見ても河童だ。


「何なんだよ!」

俺は女性を振り払い、ユイを助けに行く。


すると俺は何かに吹き飛ばされる。

「ぐっ!」

「敵か?敵だろ?」

俺を吹き飛ばしたのは燃えている生首だった。


倒れている俺の元に、顔がない男性が近づいてくる。

「捕まえろ。侵入者だ」

顔が無い男は俺を殴り、顔に手を当てる。

すると俺の意識は無くなった。


▽ ▽ ▽


目が覚めると、布団に入っていた。


「おい!起きたぞ!!」

「すぐに報告だ」

屋根を這う男の子は舌を伸ばしながら、身体の様々な箇所に目がある女の子と話していた。

2人は部屋から急いで出ていく。


俺の隣の布団にはユイが気持ちよさそうに寝ている。

いつの間にか服が変わっている。

旅館の寝間着のような服だった。

それに部屋が完全に和室だ。


俺は頭を使って色々と思い出す。

俺達を襲ってきたのは、妖怪みたいな風貌だった。

ろくろ首、河童、のっぺらぼう。


「もしかして違う異世界に来た?いや、悪魔族はいたし…」

そんなことを考えていると、部屋の戸が開く。


さっき俺達を襲った奴らが部屋に入ってきた。

そしてその後ろにはゴフェルがいた。


「コータ、久しぶりだな!カハハハ!まさか50年以上も会えないとは思わなかったぞ」

ゴフェルは笑っていた。

とりあえずはこの妖怪達が敵じゃないことだけはわかった。


「ゴフェル、とりあえずこの状況を説明してくれ」

「ああ。そうだな」

ゴフェルは床に座る。

妖怪達は部屋から出て行き、ゴフェルは俺に今の状況の説明を始めた。



俺達を襲ったのは妖人族と言われる種族。

魔人領の奴隷は虫人族と妖人族が多いと前にゴフェルから聞いたことがあった。


妖人族は勝手に悪魔族が付けた呼び名らしく、妖人族の中でもいろんな種族がいるらしい。

確かに俺を襲ったやつらの風貌に統一性はなかった。


妖人族はゴフェルが治める諸島の肆の島と呼んでいる島に昔から住んでいた。

ゴフェルも俺と別れてから数年後に知って、マイホームを使って保護をしたらしい。



現在、ゴフェルは2つの面倒なことを抱えている。


1つ目は、魔王が各幹部の島から民を拉致して奴隷にしている。

それを妨害しているのがバレて、魔王とゴフェルは険悪な状況。


2つ目は、肆の島には異世界の建築物らしきものが多いらしい。

その建築物が時々異世界人を連れて来たり、異世界に誰かを送ってしまう。


数十日前、妖人族の長の息子とその友達が行方不明になった。

そして数日前、息子と友達と一緒に異世界人2人がやってきた。



「ゴフェル、色々大変そうにしてるな」

「ああ。本当に大変だ…」

ゴフェルは完全に疲れ切っていた。


「異世界人のことをコータに手助けしてほしいんだが」

「あーそのことなんだけど、その異世界人2人をさっき見かけたんだけど…」

「知り合いか?」

「いや、俺のいる時代よりもだいぶ前の時代から来たっぽいんだよな」

「それが何か問題があるのか?」

「未来を知っている俺が下手に情報を落としてしまうと、元の世界の歴史を変える可能性がある」

「あーそういうことか」

ゴフェルは理解してくれたみたいだ。


「だからあれを貸してくれ」

「ん?」

「変化茶!俺は龍人族になる」

「なるほど!変化茶なら大量にあるぞ」

そういうとゴフェルは俺に変化茶を渡した。


「ありがと。これで龍人族になって、異世界に行ったことがあることにする」

「わかった。話を合わせよう」

これで異世界人対策は問題ない。


「魔王?とは大丈夫か?」

「手を借りたいが、お前は数日でいなくなるだろ?」

「たぶんな…」

正直、俺もいつ帰るかわからない。

だけどここにタイムトラベルしたのは、この2つの問題を解決する為な気がする。


「まあ付き合えるだけ付き合うよ」

「そうか。助かる」

ゴフェルは軽く頭を下げた。



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