33週目.タコライス
俺は今日の呼び出しを楽しみにしていた。
前回は魚人国。
疲れと眠かったせいで、殆ど記憶がない。
リヴァイアサンのリヴィとベヒモスのベヒードンがいたことだけは覚えていた。
コータが今度はダンジョンに行こうと言っていた気がしたから、今週は死ぬほど仕事した。
ダンジョンがあって、ダンジョンボスを倒したら弾の種類が増えるはず。
前回は粘着弾を選んだ。
候補の中には発火弾と回復弾があった。
次は回復弾を選びたい。
前回回復弾を選んでいたら、ベロニカの怪我をもしかしたら治せていたかもしれない。
俺はそんなことを考えながら、買い出しに来ていた。
今日のメニューはタコライス。
ネットでレシピを見たから本格的なやつを作る予定だ。
「チリパウダーとかオレガノとか家にないわ」
俺はスパイスコーナーで聞き馴染みのないスパイスをカゴに入れる。
「あとはサルサソースとチーズ、野菜も買っておかないと」
俺はカゴを持って、商品をカゴに入れていく。
▽ ▽ ▽
家に帰ってきた。
着信はまだなさそうだ。
俺はパソコンの前に座り、レッドホーミングの動画を見る。
イメトレだ。
実際の戦闘で使えるかわからないが、見るだけなら損はない。
タラララランラン♪タラララランラン♪
タブレットが鳴った。
「お!きた」
俺はレッドホーミングのマスクを装着した。
いつもの気絶をするような衝撃に襲われた。
「ディフィバースの世界にようこそ!」
目を開くと森の中にいた。
「ユーサク。飯は後でにしよ」
「え?じゃあなんで呼んだんだよ」
「ダンジョンは見つけられてないけど、ゴブリンの集落を見つけた。飯の前に倒しに行くぞ」
「まじか」
「ユイが見張ってるから行くぞ」
「わかった」
俺はコータと共にゴブリンの集落に向かった。
ユイと合流した。
「なんか動きあった?」
「ううん、ないよ。ゴブリンは40体くらいいる」
「そんなに」
想像よりも多くて驚いた。
「こんなに多いことはあんまりないんだよ。でも村とか襲っちゃうから倒さないと…」
「そうなんだ」
「うん。試しに話しかけてみるけど、たぶん倒さないとダメだと思う」
ユイは少し悲しそうに言った。
「じゃあユーサク、変身してくれ」
「あ!そっか。変身!」
身体が光を発した。
俺はレッドホーミングに変身した。
「ユーサク行くぞ」
「おう!」
俺はコータとユイについて行く。
ゴブリン達は俺達に気付き、襲ってくる。
コータは火の槍、ユイは短剣でゴブリンを倒していく。
俺は少し距離を取って、引き金を引き続ける。
バシュン!
バシュン!
「よし」
弾はゴブリンの頭部に命中。
俺は2人に当たらないようにゴブリンを撃ち続けた。
▽ ▽ ▽
30分もしないうちにゴブリンを殲滅した。
「少し慣れてきたな」
ファイアホーミングガンの扱いも慣れてきた。
2人がゴブリンの死体の処理をしている間、俺は料理を作っておく。
「異世界調理!」
調理器具が現れ、野菜を切り始める。
俺はスパイスを混ぜ、フライパンはひき肉を炒め始めた。
「レシピ通りだからあってるはず」
知らないスパイスに悪戦苦闘した。
俺が白米を装っている間、フライパンにケチャップとウスターソースが入る。
「いい匂いがしてきた」
水分がなくなるまでひき肉を炒めたらタコミートの完成だ。
さらに野菜とタコミートを盛り付けて完成だ。
調理器具は盛り付けの裏でコンソメスープを作っていた。
「いい匂いがする!これ何?」
「これはタコライスだよ」
ゴブリンの処理を終えたユイがやってきた。
タコライスが何か教えようと思ったが、どう説明すればいいか俺にもわからなかった。
「タコライスじゃん。ちゃんと食べるの初めてかもな」
コータもやってきた。
「俺も本場のやつは食べたことないかな」
「沖縄料理だっけ?」
「たぶんそう」
俺もコータもなんとなくで会話してた。
「じゃあ食べるか」
「食べるー」
俺は2人の前に盛り付けた料理を置く。
「「いただきます!」」
「どうぞ」
2人はタコライスを食べ始める。
「おー美味いな」
「お肉がおいしいー!」
2人の口に合ったみたいで安心した。
俺もタコライスを食べる。
「うん。スパイスも効いてて美味いな」
知らないスパイスをたくさん使ってよかった。
▽ ▽ ▽
ユーサクのタコライスを食べ終えた。
「来週は王都?」
「多分到着してるはず」
「泊まるのは宿とか?」
「うーん。そうなるかな」
「じゃあ食事は簡単なものにしておく?」
「そうだなー。あんまり目立ちたくないし」
ユーサクの『異世界調理』は目立つ。
連続殺人犯を探す予定だから極力目立たない方がいいだろう。
「了解。宿で簡単に食べれるのを用意しておくわ」
「頼んだ」
ユーサクはそう言って、[ログアウト]をした。
▽ ▽ ▽
数日後、王都に到着した。
ラドニークの街よりも遥かに広大だ。
「まずは衛兵隊長に会うんだっけ?」
「コータ、先に宿を取ったほうがいいよー」
「そうか。ユイがいると助かるな」
「でしょー」
ユイは笑顔で言った。
俺は門兵に宿屋の場所を聞いて向かった。
ラドニークにお金をもらっていたから、そこそこ良い宿に泊まる。
「すごーい!」
ユイも今まで遠出する仕事の時はラドニークがお金をくれたらしいが、気を使って安めの宿にしていたらしい。
「ユイ、この後は衛兵隊長に会いに行くでいいかな?」
「うん。良いと思うよ」
「よし。じゃあ行きますか」
俺とユイは衛兵の詰所へ向かった。
王都は王城を中心に円状に広がっていて東西南北に門がある。
中心に近い区域は貴族が暮らす貴族街、外側は平民が暮らす平民街と呼ばれていて、貴族街との境界には城壁が建っていた。
衛兵の詰所はその城壁に沿って東西南北に1か所ずつあるらしい。
どこに行っても衛兵隊長のイルジンには繋いでもらえるとラドニークは言っていた。
俺達は西門から王都に入り、平民街の西地区の宿に泊まっている。
なのでそのまま西の詰所に向かった。
詰所の外にいた衛兵に話をし、衛兵隊長のイルジンに繋いでもらう。
俺達は客間で待つことになった。
数分経つと小柄な男性がやってきた。
「お待たせしました。衛兵隊長のイルジンです」
小柄な男性は頭を下げながら言った。
「えー冒険者のコータとユイです。ラドニーク様からの依頼できました」
ラドニークに王都での態度についてアドバイスをもらっていたから、最大級に丁寧な対応をした。
「依頼の内容ですが、ラドニークに伝えていた内容から進展がありました」
「被害者が増えたんですか?」
「はい。旅芸人の男性が殺されました」
イルジンは真剣な表情で話す。
「現在わかっている被害者9人。私の考えが当たっていた場合、犯人はエクストラスキルを10個取得してることになります」
「奪われたエクストラスキルの詳細は分かっているんですか?」
「スラム街の子供6人はわかっていません。わかっているのは素手での戦闘系と鍛冶系、そして今回の被害者は姿を変えるエクストラスキル取得していたみたいです」
「それは厄介ですね」
「はい…」
イルジンは苦い顔をしている。
「お2人には主に平民街とスラム街に脚を運んでもらって、犯人に関する情報を集めてほしいです」
「わかりました。でも手がかりとかって…」
「ないです。ただ、鍛冶師を殺害後に鍛冶場を使っていたのがわかっています。無くなっている素材から大剣や大槌などの大きな武器を作ったと予想が出来ます」
「なるほど…」
あまりにも手がかりが少なかった。
「もし何かわかったことがあったら、詰所に来てください」
「わかりました」
俺とユイは泊まっている宿屋をイルジンに伝え、詰所を後にした。
宿屋に戻るとクシカーロがベッドに座っていた。
「ん?なんでいるんだ?」
「あークシカーロ様!!」
ユイが無邪気にクシカーロに抱き着く。
「コータももう少し喜んでくれたらいいのにね」
「お前がいるってことは仕事だろ?」
「うん。短期だけどね」
俺とユイはクシカーロから仕事の内容を聞くことにした。




