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32週目.桜フェア

スタジオでの撮影が何日も続き、やっと休みだ。

朝帰りになるとは思ってなかった。

「すぐにデータが送られて、仮編集を終わらせなくちゃか…」


俺は疲れた身体で開店したばかりのスーパーに向かった。

本当は帰って寝たかったが、今日は金曜日。

さすがに寝れん。


カートを押して進むと、珍しいコーナーがあった。

桜フェアだ。

桜や春に関係ある商品が大量に置いてある。

明日から5月だから在庫処分だろう。


「桜の塩漬けか。あんま使ったことないな。色は綺麗だし、ユイ喜ぶかな?」

俺は桜の塩漬けや使えそうな物をカゴに入れる。


「桜餅もありだな。あー疲れてるけど、少し頑張るか」

俺はレジに向かい、会計をした。


▽ ▽ ▽


ユイの提案でベヒモスとも友達になった。

するとリヴァイアサンが恥ずかしそうに名前が欲しいと言いだした。

ユイは嬉しそうに2人に名前をつけた。

リヴィとベヒードン。

2人は嬉しそうにした。


ベヒードンの寝起き問題は、リヴィのように人と絡むことで解決することにした。

人のような生活をすることによって、長期間寝続けないようにする。

それくらいしか解決案が無かった。


その練習として魚人国に戻っていた。


「ベヒードン、どう?」

「いやまだ慣れない」

「まあ、始めたばかりだしね」

「コータも毎日寝てるのか?」

「ああ。そうだね」

「そういうものなのか…」

ベヒードンはリヴィのいう通り真面目なやつだった。

本当に問題は寝起きだけだ。


知らないことを知りたいという欲は強かった。

この発展をあまりしていない時代の他種族だと、ベヒードンの暇を無くすのは大変だろう。

俺は俺が話せる限り、いろんなことをベヒードンに教えてあげた。

ベヒードンは嬉しそうにその話を聞いた。


ベヒードンと話していると、ユイが来た。


「コータ!今日はいつ呼ぶの?」

「ああ!石の日か。じゃあ昼飯にでも呼ぶか」

「うん!今日はどんなご飯だろう」

ユイはニコニコ笑っていた。


▽ ▽ ▽


タラララランラン♪タラララランラン♪


タブレットが鳴った。

「んーん。ああ。やばい寝てた」

俺はレッドホーミングのマスクを装着した。

いつもの気絶をするような衝撃に襲われた。


「ディフィバースの世界にようこそ!」



目を開くと石造りの建物の中にいた。


「ユーサク!」

「ん?おはよう」

「もうお昼だよー」

「今日の朝まで仕事だったんだよー」

俺はユイの頭を撫でて、癒やし成分をもらう。


「ユーサク、頑張ったね!」

ユイの笑顔は本当に癒やされる。


俺は周りを見ると、見たことない人が2人いた。

「あれ?どなたですか?」

「ワシはリヴァイアサンのリヴィじゃ。お前がユーサクか」

「え?リヴァイアサン!!なんで俺のこと知ってるんです?」

「シャハハ!セドロから聞いたんじゃ。それに石像で姿は何度も見ている」

「石像?」

前にコータがリヴァイアサンと戦うみたいなことを話してたことがあった。

その時は魚人達もいたような気がした。


「ここは海の中?」

「そうだよー!魚人国!セドラールくんが王様なんだよ!」

「え?あの子が?」

「うん!」

ユイは嬉しそうに話すが、少し複雑そうな表情をしていた。


「それでそこの男性は?」

「ん?我か?」

「我!!!かっこいいな、その一人称!」

「おお!そうか?コータに勧められたんだ」

ガタイの良い厳つい男性は照れくさそうに言った。


「我はベヒモスのベヒードン」

「ベヒモス!!え?え?」

リヴァイアサンの隣にベヒモス。

俺でも知ってる強いモンスター。


少し興奮していると、コータがやってきた。


「何してんだ?」

「リヴァイアサンとベヒモスというパワーワードに興奮してた」

「ははは。まあ驚くか」

「当たり前だろ」

コータは興奮している俺を見て笑っていた。


「それで今日はどんな食事なんだ?」

「あー桜ちらし寿司だ」

「おお!ちらし寿司!」

「桜フェアで色々売ってたから、それを使うつもりだ」

「良いね!早速頼む」

「OK!異世界調理!」

俺はすぐに調理を始めた。


▽ ▽ ▽


今日のメニューは華やかだ。

桜の塩漬けが入ってる海鮮ちらし寿司。

デザートに桜餅と桜のロールケーキ。

そして桜フェアで売っていたらしい日本酒。


ユーサクは疲れすぎたと言って、今日は帰った。

来週こそはダンジョンを見つけておくと約束はしておいた。


リヴィとベヒードンは料理を見て驚いていた。


するとリヴィは俺を見て口を開く。

「コータ。お前達は何者じゃ?」

「え?」

「前に会った時は少し強い人族という認識じゃったが、セドロの話やここ数日の様子を見ると普通の人族じゃないことだけはわかる」

「あー…」

俺は悩んだ。

別にリヴィ達に話すなとは、クシカーロに言われていないから大丈夫なはずだ。


「俺は……」

俺は2人に異世界から来たことだけを伝えた。


「なんと!異世界?」

「本当なのか?」

リヴィもベヒードンも驚いている。


「ああ。ユイは違うけど、さっきやってきたユーサクは異世界にいて、俺のために食事を送ってくれてるんだ」

「ということは、これは異世界の食事?」

「そういうことになる」

リヴィとベヒードンは桜料理をジロジロ見始めた。


「ユーサクが2人の分も用意してくれたみたいだから、一緒に食べよう」

「いいのか?」

「我も?」

「一緒に食べよー」

ユイは笑顔で2人にスプーンを渡す。


▽ ▽ ▽


食事が終わり、2人は満足そうにしている。

日本酒を呑んだからか、2人共ほろ酔いだ。


「あー美味かった」

「そうだな。こんなに美味い食事は初めてだ」

「それは良かった」

ほろ酔いになりながらも、リヴィは俺を真剣な表情で見た。


リヴィはほろ酔いで口を開く。

「食事の上に乗っていたこれはなんじゃ?」

「あれ?桜の塩漬けかな?」

「サクラ?」

「あーこの世界にはないかも。サクラって植物の花びら」

「ほーこんなに可愛らしい植物があるのか」

リヴィはうっとりとサクラの塩漬けを見ていた。


「こっちの世界では確か『純潔』とか『高尚』とか『精神美』とかいう意味がある植物だ」

「植物に意味があるのか。面白いな!」

ベヒードンは興味津々だった。


俺がタブレットでサクラの写真を見せると2人は目を輝かせた。

特にリヴィはサクラに魅了されたみたいだ。


「このサクラはこっちの世界にはないのか?」

「わかんないな。見たことはない」

「そうか…」

リヴィはわかりやすく落ち込んだ。


「もしかしたら探せばあるかもだし、見つけたら持ってきてやるから」

「本当か?ワシも少し探してみるか」

「我も手伝うぞ」

「お前はあの島のダンジョンからモンスターが溢れないようにしろ」

「ああ。そうだった」


あの島にダンジョンが出来たら、ベヒードンが責任を取って攻略することになった。

まだ出来ていなさそうだが、あの魔力量なら確実に出来るらしい。


「我はダンジョンを攻略したら、冒険者をやってみようと思う」

「おお。人族と交流か」

「ああ。コータが言っていた冒険者ギルドというものも気になるしな」

俺はこの世界での人族の暮らし方を話す上で、冒険者の話を結構した。

ベヒードンはその話を聞いて、冒険者に興味が出たらしい。


これで生活が安定すれば、長期睡眠などせずに暇をつぶせるだろう。


俺達は残っている桜の塩漬けをつまみに、日本酒を呑んで色々話した。



▽ ▽ ▽



俺とユイは眠っている間に、カラッカ領の隣領ソブラ領に戻ってきていた。


「おつかれー」

「別れの挨拶くらいさせてくれよ」

「ごめんねー」

クシカーロは俺とユイの目の前に現れ、申し訳なさそうに笑った。


「今回はどうだった?」

「完璧すぎて驚いちゃったよ!」

「そうなのか?」

実感はあんまりない。


「ユイも上手くできた?」

「うん。ユイちゃんも完璧だったよ」

クシカーロは笑顔で頭を撫でた。


「次もすぐにあるのか?」

「うーん。あるといえばあるかなー」

「なんで曖昧なんだよ」

「ハハハ。ごめんねー」

クシカーロは笑ってはいるが、目が真剣だ。

何か理由があるのだろう。


「王都まではお仕事ないから安心して」

「わかった」

そう言ってクシカーロの姿は消えた。



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