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31週目.ベヒモス

リヴァイアサンに捕まって海中を高速で移動した。

海面に上がると、近くに島が見えた。


「あの島にいるのか?」

「そうじゃ。見えてるじゃろ」

「は?」

俺はよく見てみたが、モンスターは見つけられない。

しかし膨大な魔力は感じられる。


「コータ。あれ!山じゃないよ」

「え?」

ユイが指差している島の山を見てみると、少し動いていた。


「は?あれがベヒモス?」

「そうじゃ」

「デカすぎないか?」

「ワシだって、あそこまでではないがデカくなれるぞ」

リヴァイアサンはなぜか張り合っていた。


「陸の王って言うくらいだから、海の王のリヴァイアサンと関係あるのか?」

「うーん。関係はなくはない」

「は?」

「ワシとあいつと空の王はそういう関係性なのじゃ。互いに過度に干渉せず、争いもしない」

モンスターの中でもそういうのがあるのか。


「あいつは基本的に眠っている。人族に山だと思われるくらいは長い間寝る。数十年に1回起きると、ああやって暴れだす」

「寝起きってことか?」

「そうじゃ。寝ぼけているのが治るまでは、毎回力で押さえつけている」

「めんどくさい奴だな」

「寝起きの悪さ以外は真面目なやつなんじゃ」

リヴァイアサンはそう言いながら少し飽きれていた。


「それじゃあ今回も力で?」

「ああ。2人にも付き合ってもらうぞ」

「わかった」

「うん!頑張る!」

俺達は島に上陸する。


▽ ▽ ▽


島に上陸すると、小山ほどのモンスターが暴れていた。

4足歩行の巨大な獣のようなモンスター。

頭部には巨大な角が2本。


「これがベヒモス」

「ああ。そうじゃ」

「俺の魔法でどうにかなるのか?」

「消耗させてくれるだけでいい。ワシが元の姿になって拘束する」

「わかった。ユイは俺がおんぶして運ぶ。たぶんそれが一番安全だ」

「わかった」


俺はユイをおんぶしてベヒモスに向かって行く。


近づくとベヒモスから発生している魔力の多さに驚いた。

さすがリヴァイアサンと同格のモンスターだ。


「ユイ!魔法で攻撃して逃げるぞ」

「うん!」

俺は火の触手でベヒモスの足元を絡める。

ユイは風の矢を何度も放つ。


ガラアアアアアアアアア!!!


ベヒモスは眠そうな顔で俺達を睨む。

ダメージは入っていないみたいだが、煩わしいようだ。


ガラアアア!

ベヒモスが地面を両手で叩くと、地面が動き出し波のように俺達に向かってくる。


「飛ぶぞ」

「うん」

俺は風魔法で空を飛び、距離を取ろうとする。


すると目の前にベヒモスがいた。

さっきいた場所から跳んできたようだ。

ベヒモスは俺達に拳を振り降ろす。

俺達は吹き飛ばされる。


「がっ!!危ねええええ」

ギリギリ土の壁を何枚も展開したおかげで、直撃は受けなかった。

威力が凄すぎて、振り降ろした衝撃だけで吹き飛ばされた。


「ユイ、平気?」

「う、うん。ベヒモス強いね」

「ああ。あれはやばい」

ベヒモスがこれほどの強さなら、リヴァイアサンも同じくらい強いのだろう。

初めて会った時は手を抜いてくれていたんだろう。


「ユイ!行くぞ」

「うん!コータ、私1人で平気だよ」

「え?」

そう言うとユイはピョンピョンと跳び回った。


「『共有の女傑』か」

「うん。コータ達といればこんなこともできるよ」


ユイが目を瞑ると海が少しずつ盛り上がり、海岸からベヒモスと同じくらいの大きさの水の巨人が現れた。

「は?」


ユイの魔法適正は火と風と聖。

ユイはリヴァイアサンの力も共有されているみたいだ。

それにしても魔力量が凄い。

ユイが操っている魔力は俺とリヴァイアサンから共有されたもの。

これが勇者候補か。


水の巨人がベヒモスに襲いかかる。


ガラアアア!


大量の岩が水の巨人に飛んでくるが、水の巨人を貫通して地面に落ちる。


水の巨人はベヒモスに絡みつくようにくっつき、口や鼻などを塞ぐ。

ギャラアア!!


ベヒモスは土魔法を使って暴れるが、水の巨人は離さない。

地形がどんどん変化していく。

しかしベヒモスは少しずつ動きが鈍くなり、気絶をした。


▽ ▽ ▽


リヴァイアサンは呆れ顔でやってきた。


「まさかワシの手伝い無しでこのバカを気絶させるとは」

「ははは。俺もほとんど何もしてないわ。ユイが頑張ってくれた」

俺がユイの頭を撫でると、ユイは嬉しそうに笑う。


「ユイは仲間の力が共有されるんだ。だから俺とリヴァイアサンの力を共有されて戦ってたことになる」

「シャハハハ!なるほど。この島の異変も納得した」

「異変?」

「周りを見て見ろ」

「うん?」

俺は周りを見た。


上陸した時よりも植物が生い茂っていた。

そして一番異変だと感じたのは、島に魔力が溜まっていた。


「あの巨人がワシの力だとするなら、膨大な魔力を使っていたはずじゃ。水にも当然魔力が大量に含まれている。それが島に染みこみ広がった」

「問題あるのか?」

「問題か?まあダンジョンが大量にできるくらいじゃな。しかもワシやベヒモスやコータ達の魔力を吸った強力なダンジョンがな」

「おい。まじか」

まさかの展開だ。

俺は選択をミスったのか?


「この島に大量のダンジョンができたら、このバカに処分させればいい」

リヴァイアサンは気絶してるベヒモスを蹴りながら言った。


「いいのか?」

「どんな強力なダンジョンだろうとワシやこのバカが攻略できないことはない」

「そうなのか。ならよかった」

俺は少し安心をした。


▽ ▽ ▽


数時間後、ベヒモスが起きた。

今は『人化』した状態でリヴァイアサンに説教されていた。


「なんで毎回ワシが対応しなくちゃならんのだ!」

「すまない」

「暇すぎるからって寝るな!適度って言葉を知らんのか」

「今回は長く寝ても迷惑かけないように、どの種族も暮らしていない島を選んだんだが」

「その考えがあるなら、地響きを起こすな!!手でも縛って寝ておけ!それか『人化』で寝ておけ」

リヴァイアサンはガタイの良いイケおじのベヒモスに説教を続けた。


「リヴァイアサン。それくらいにしてあげて」

ユイはリヴァイアサンを止める。


「おい、ベヒモス。今回はワシの友人のユイが言うから説教はやめてやる」

「友人?人族に友人がいるのか?」

ベヒモスは驚いていた。


「そうだよ。リヴァイアサンとは友達だよ。ベヒモスも友達になる?」

「は?」

ベヒモスは理解が追い付いていなかった。

俺も友達になったつもりはなかったが、リヴァイアサンが嬉しそうだし友達ということでいいだろう。


「ベヒモス。お前が寝ている間に、ワシは友人達との約束で魚人族達と共に生活してるぞ」

「え?どういうことだ?」

「お前みたいに1人で生活してないということじゃ。暇で寝ることしかできないお前とは違う」

リヴァイアサンは自慢げに言い放った。


「ずるいぞ!」

「お前もすればいい。なあ?ユイ」

「うん。『人化』できるのなら、ベヒモスは冒険者になればいいよ」

「「冒険者?」」

「え?」

「冒険者とはなんじゃ?」


リヴァイアサンとベヒモスは首を傾げた。

ユイも2人の反応が理解できないみたいだ。

この時代にはもしかしたらまだ冒険者という職業が無いのかもしれない。


ユイは不安そうに俺を見た。

多分冒険者を説明してほしいのだろう。


「冒険者と言うのは……」

俺は2人に冒険者について説明をした。



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