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EX.妖人族

私は新たな虫人族の情報が入り、本島へ向かっていた。


本島に向けて空を飛んでいると、目の前に鳥型のモンスターが現れた。

「ん?あれは狸人族の」


目の前に現れたモンスターは狸人族がテイムしているキャリーオウルだった。

緊急時の以外では使わないはずなので、狸人族に何かがあったようだ。


私はすぐに沼地の島へ方向を変えた。


▽ ▽ ▽


狸人族の村に着くと、緊急事態の理由がすぐにわかった。

村の中には身体中泥だらけの者が2人いた。


「これは……」

泥だらけの者は妖人族だった。

人族のような姿だが、腕が4本ある者や身体中にたくさんの目がある者だ。


妖人族は虫人族のように迫害を受けている種族。

私も保護しようと情報を探していたが、得られる情報は悪魔族の奴隷になってしまった者だけだった。

さすがに奴隷を奪い取ることはできず、保護することはできなかった。


私がいろいろと考えていると、狸人族の長がやってきた。

「ゴフェル様!」

「これはどういうことだ?なぜ妖人族が」

「実は沼地の探索をしていた者に接触してきたのです。ゴフェル様に会わせてほしいと」

「私に?」

私は想像していなかったことに驚いた。


「とりあえず話してみよう」

私は妖人族の元に行った。


「私がゴフェルだ。私に会いたいと聞いたが」

私がそう言うと妖人族の2人は跪いた。

「ゴフェル様。妖人族の長に会っていただけないでしょうか?」

「え?長?」

「はい。実はこの島に妖人族の隠れ住んでいるのです」

「なに!?」


まさか探していた妖人族が自分の管理する諸島に居るとは思ってもみなかった。


「ぜひ会わせてくれ。私は妖人族を保護したい」

「ありがとうございます」

腕が4本の妖人族は頭を下げた。


「ではご案内します」

「ん?」

妖人族の2人以外の声がした。


「誰が喋ったんだ?」

「私です」

後ろから声がし、振り向くと誰も居なかった。


「ん?誰だ?」

「下です。下」

声の言う通りに下を向くと、私の影が勝手に動いていた。


「え?どういうことだ」

「説明はあとで致します。ではご案内します」

影はそう言って、私を飲み込んだ。


▽ ▽ ▽


私は影に呑まれて移動をしていた。


目の前には木造の大きな家があった。

今まで見たことのない作りの家だ。


「こちらが長の家です」

影がまた喋り始めた。


「お前は妖人族なのか?」

「違います。私は霊人族です」

「霊人族?」

「はい。影人族のヤディでございます」


ヤディはそういうと、私の影から出た。

出たと言っても立体的になったわけではなく、私の影の横に人型の影が現れただけだ。


「では。イヅク様の元へご案内します」

ヤディは地面を這って行き、私はそれを追って家に入った。


▽ ▽ ▽


案内された部屋に入ると、私と同じくらいの身長の男性がいた。

肌は真っ赤で鼻が長い。それに見たことのない服を着ていた。


「おぬしがゴフェル殿か?」

「そうだ」

「儂はイヅクと言う。この集落の長をしている」

イヅクの雰囲気はコータの雰囲気と同じように感じた。


「イヅクは妖人族なのか?」

「その質問に対する答えは難しい」

「なぜ?」

「全員を表す種族名などない。妖人族とは悪魔族達が勝手につけた名だ」

「なるほど」

「それに1つの種族名ではくくれないほど、儂らは多い」

「そうだったのか」


確かに本島で見たことのある妖人族はどれも特徴が違った。

共通していたのは他の種族と明らかに見た目が違うという点だけだった。


「それに儂らはこの世界の者かどうかも怪しい」

「どういうことだ?」

イヅクは私の目を見た。


「ゴフェル殿には話してもいいかの」

「出来れば話してもらいたい」

イヅクは頷くとゆっくり口を開いた。


「この島にはある秘密があるのじゃ」

「秘密?」

「この島にはゴフェル殿が見たことのない建造物があるのは知っているか?」

「狸人族の報告で聞いている」

「ああ。その建造物は異世界と繋がっている」

「なっ!」

私は想像以上の話をされて驚いた。


「当然いつも繋がっているわけではないし、儂らもいつ繋がるかわからない。なので異世界から間違ってやってくるものや、こちらの世界から異世界に行ってしまったものもいる」

「え!?」

「儂らの先祖は遥か昔からこの島に隠れ住んでいる。先祖がどっちの世界で生まれたのか、儂らにもわからないんじゃ」

「そんなことがあるのか……」

謎の建築物については調べないといけないかもしれない。


「本島で悪魔族に捕まっている妖人族はこの島じゃないところから来たのだろう」

「なるほど。ということはこの諸島以外も建築物が?」

「ある。数か所発見したと情報が入っている」

「そうか……」

イヅクの話に気になる点があった。


「イヅクはなんで本島のことを知っているんだ?」

「それは影人族のおかげだ。影人族は戦闘力が一切ないが、影の中を移動できる。それに影人族は全員『影渡』というエクストラスキルを持っていて、指定したところに瞬間移動ができる。ゴフェル殿をここまで運んだのもそのスキル」

「ん?答えになってないが」

「失礼した。影人族は今話した力があるので、100人程の影人族が魔人領のいたるところに潜伏してる」

「え?本当なのか?」

「ゴフェル殿についても影人族から話を聞いて知った。そしてコータという異世界人からマジックアイテムをもらったことも」

「あの場に影人族が居たのか?」

「ああ」

イヅクは頷いた。


「そこで相談なのだが、儂らのことも保護してほしい」

「そのつもりだが、理由を聞いていいか?」

「ああ。儂らは増えすぎた。今住んでいる範囲では狭くなってきてしまった。だからマイホームを使ってほしい」

「なるほど」

沼地のようなじめじめしたところに居るなんて気が狂う。

マイホームの凄さを知ったら、誰だって使ってほしいと思う。


「それは問題ない。この後すぐにでも使おう」

「ゴフェル殿。ありがとう。助かる」

イヅクは頭を下げた。


「それともう1つ」

「何でもいってくれ」

「異世界につながる建造物から誰か来たら手を貸してくれ」

「どういうことだ?」

「異世界から稀にだが人族が現れることがある」

「は?」

またも問題が発生した。


「この集落に人族が居るのか?」

「いやいない。すべて元の世界に帰している」

「それなら何を助ければ?」

「人族は儂らを見て怯えてしまう。どうにか元の世界に返してやろうとするのだが難航してしまうのだ」

「なるほど。まあそれくらいのことなら喜んで協力しよう」

「助かる」

私はイヅクと握手を交わした。


それから私はイヅクから様々な話を聞いた。


妖人族と呼ばれている事については何とも思っていなく、私に正確な情報を伝えたかっただけらしい。

ちなみにイヅクは天狗という種族らしい。


妖人族が異世界に行ってしまうこともあるらしいが、半分はちゃんと帰ってくるようだ。

帰ってきた妖人族が異世界で得た知識を集落に取り入れているから、服や建物が私の見たことのない形になっているらしい。


謎の建築物は魔力が動力の可能性が高いのだが、それ以外の何かが関係しているとイヅクは思っていた。

迷い込んだ人族を元の世界に帰そうと思うと、大体ちょうどよく異世界と繋がるらしい。


私はイヅクと話を終わらせ、マイホームを使い広い空間を作った。

マイホーム内の沼地を平地に変え、日当たりを良くした。

イヅクには何度も頭を下げられた。


今後のために私の影の中にはヤディが入ってくれることになった。


「まさか異世界とは」


私はコータがまたこの地を訪れることを願った。


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