EX.沼地の島
私は龍人族の里に帰っていた。
「父さん!」
出迎えてくれたのは私の息子のドーザだ。
「ああ。ちょっと相談があってな」
「ということはおじいさまに?」
「そうだ」
「俺も一緒に行っていい?」
「いいぞ」
私とドーザは、私の父で龍人族の長の元に向かった。
龍人の里は歩いては登れないほどの急こう配が多い山岳地帯にある。
崖や山壁などを切り拓いて、家などを建てていた。
私とドーザは空を飛び、族長の家に入った。
家には族長の父と母が居た。
「ゴフェルとドーザか」
「はい。少し相談があって」
父は笑顔で口を開いた。
「お前の頼みなら龍人族総出で手伝おう」
父は親バカなところがあった。
幹部になった当初は親バカのおかげで色々助けられた。
「実は保護した虫人族の中に、武器を使っての戦闘訓練をしたいと言っている者がいまして」
「ほー珍しいな」
「はい。虫人族も自衛をすべきだと思ったようです」
「それで相談とは?」
「里の者を数名お借りしてもいいですか?虫人族が住むところに向かわせ、そこで戦闘訓練をさせたいのです」
「構わん!ゴフェルが好きに選んでよいぞ」
「ありがとうございます」
私は頭を下げた。
「例の人族の影響か?」
「はい。そうだと思います」
父にはコータの話をしていた。
虫人族は先日のヴィルダーグとの戦闘で思うことがあったようだ。
コータの魔法指導にも虫人達は積極的に参加していた。
「そういえば、ヴィルダーグはどうした?」
「私の手で殺しました。魔王も他の幹部達も気にしていないようでした」
「そうか。ならそろそろ新しい『嫉妬の悪魔』が見つかるころか」
「はい。悪魔族以外なら、私の方で援助しようと思ってます」
「それがいいだろう」
父は頷いた。
「それでは、虫人族の戦闘訓練を手伝ってくれそうなものに声をかけてきます」
「ああ。ゴフェル、あまり無理をするなよ」
「はい!」
「ドーザ、父を支えてあげなさい」
「はい!」
私とドーザは族長の家を後にした。
「父さん。俺も虫人族の戦闘訓練を手伝います!」
「そうか。助かる。でも母さんには一言言っておけよ」
「わかりました!」
ドーザは嬉しそうにしていた。
▽▽ ▽
虫人族の戦闘訓練はドーザに任せた。
ドーザは今年で15歳だが、私と族長の影響なのかだいぶ大人びている。
経験を積ませるために任せていいと判断した。
龍人族には20歳になったら、龍人族の里を出て修業をするというしきたりがある。
ドーザも5年後のしきたりのために気合が入っているようだ。
ちなみに私は10歳の時に幹部になったのでしきたりを行っていない。
▽ ▽ ▽
私は諸島の、ある島に来ている。
この島は8割が沼地で2割が森で人が住みにくい。
将来的にはここにも保護した種族を住ませたいと思っているがすぐには無理だろう。
森の部分にはこの島唯一の住人の狸人族が住んでいて、変化茶もここで栽培している。
私が森の中を歩いていると、目の前に狸人族が現れた。
「ゴフェル様。どうなさいましたか?」
「いいマジックアイテムを手に入れたんだ。それを渡しに来た」
「マジックアイテムですか?」
狸人族は首を傾げた。
狸人族の村に到着した。
気が生い茂っていて日当たりは良いとは言えない。
村の中には小さいが茶畑があった。
私は狸人族の長の家に案内された。
「ゴフェル様。何やらマジックアイテムをお持ちになられたと聞いたのですが」
「そうだ。マイホームと言って、使用者が想像する空間を作れる魔道具なんだ」
「そんなすごいものが!」
狸人族の長は驚いていた。
「これがあれば、今まで以上に他種族に見つかりにくくなるぞ」
「ありがたいです」
「魔力量で広さなども変わる。あとで私が作ろう」
「ありがとうございます」
狸人族の長は頭を下げた。
「ところで沼地の調査は進んでいるか?」
「はい!少しずつですが進めております」
前任の怠惰は龍人族に怯えていて、この諸島の管理をおろそかにしていたらしい。
私が怠惰になってから龍人族がこの諸島の調査をしたのだが、この沼地の島だけは上手く調査ができなかったらしい。
沼地は龍人族の体重では歩きにくく、木々が生い茂りすぎていて飛んで調査するのも厳しい土地だった。
その時の調査で狸人族がこの島に隠れ住んでることがわかり、保護する代わりに沼地の調査を頼んでいた。
狸人族は戦闘が苦手で沼地のモンスターを倒すのも一苦労だったので、少しずつしか調査を進められていなかった。
「前回の調査で、また謎の建築物のようなものが見つかりました」
「またか……」
「しかも微量ですが魔力を帯びています」
「この島に元々何かいたのか?」
「うーん。その可能性はあります。我々のように隠れ住んでいた種族が居るのかもしれません」
今までの調査で、数か所に謎の建築物があると報告があった。
建築物とは言っているが小屋とかではなく、石でできた置物のようなものだったリ、木造の飾りのようなものばかりだった。
謎の建築物は誰がどのような目的で作ったのかはわからなかった。
「引き続き、無理のない範囲で調査を頼む」
「はい。お任せください」
「じゃあ。マイホームで村を作り直そう。要望があったら言ってくれ」
私は狸人族達の要望を聞き、マイホームを使った。




