表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/76

27週目.コータの本気

「あああああああああ!」

「ぎゃああああああああ!」

街中から様々な叫び声が聞こえてきた。


「石化を解除した代わりに狂人化を付けておいた。獣化と同じくらい強くなっているから気を付けることだな!シュハハハ!」

ガビクは笑いながら飛び去って行った。


「おい!2人共、動けるか?」

ベロニカとガラマイアに問いかけた。

「…はい。なんとか」

「大丈夫だ」

2人は苦しそうだが、ギリギリ動けそうだ。


「俺はガビクを追う。合図は出しておくから、レガリオル達も来るまで耐えてくれ」

「わかりました!」

「やるしかないよな」

「街全体に聖魔法を使うが、さすがに隅までは行き届かない。対処を頼む」

2人は頷いた。


「ソンブラは2人を助けてやってくれ」

コン!


俺は街に聖魔法を使い、天井に手を向けた。


「少し熱いかもしれないから離れてて」

俺は手のひらから大きな炎の球を出し、天井を破壊して空に放った。


「じゃあ行ってくる」

俺はすぐに風魔法を纏ってガビクを追った。



▽ ▽ ▽



街の中から炎の玉が空に飛んで行った。


「あれってコータの合図だよな?街に入っていいってことだよな?」

俺は急いで街に向かおうとすると、街の上空に何か見えた。


「ん?鳥?」

目を凝らしてみると人だ。

だけど羽根が生えてる。

「ん?龍人族?」


羽根が生えている人の頭上に黒い球が現れた。

「なんだ?どういうこと?仲間?」

俺は混乱した。


黒い球はどんどん大きくなっていく。

「あれ?絶対やばい攻撃じゃないの?」


俺はすぐにファイアホーミングガンを構えた。

「仲間だったらどうしよう」

恐る恐る引き金を引いた。


バシュン!


弾はしっかり羽が生えた人に命中し、黒い球は消えた。

「仲間だったらちゃんと謝らないとな」


そんなことを思っていると羽根の人の元に人影が向かって行った。

目を凝らすとそれはコータだった。

コータは羽根の人を殴り、羽根の人は吹き飛ばされた。


「あー敵だったー!よかった!」

仲間を攻撃していないと分かって安心した俺は、すぐに街へ向かった。



▽ ▽ ▽



俺はガビクを追って外に出ると、ガビクは街の上空に居た。


ガビクの頭上には禍々しい黒い球があり、少しずつ膨らんでいた。

「あれまずくないか?」


俺はガビクを止めようとした瞬間。

バシュン!

何かがガビクに当たり、黒い球は消えた。


飛んできた方向を見ると、遠くの方に見慣れた赤い不審者が見えた。

「ユーサク!さすがすぎる!」


俺はすぐにガビクに近づき、顔面を殴った。



▽ ▽ ▽



街に着くと、数人の獣人が暴れていた。

「これはどうすれば?」


どういう状況かわからないので、とりあえず粘着弾を暴れてる獣人の撃ちこんでいく。

「どういう状況?俺の行動はあってるのか?」


街の中を進んでいき、暴れてる獣人を探しているとベロニカとソンブラを見つけた。

ベロニカは少しふらついていた。


「ベロニカ!大丈夫か」

「ユーサクさん!」

ベロニカは走って俺の元にやってきた。


「どういう状況?」

「いま、コータさんが邪神が憑りついてると思われる者を追っています」

「それで街で暴れてる獣人は何?」

「そいつに狂人化させられた者達です。コータさんが聖魔法で半数以上は狂人化を解いたんですが、範囲外にいたものが暴れています」

「わかった!じゃあ拘束する方向でいいんだよね」

「はい!お願いします!」


俺はベロニカ達と共に狂人化した獣人を止めに行った。


▽ ▽ ▽


殴って吹き飛んだガビクの元に到着した。

ガビクは倒れていた。

尻尾がないから、しっかりダメージを受けたみたいだ。


「お、お前は何なんだ!狸人族が魔術なんて聞いたことないぞ!」

「だから魔術じゃなくて魔法だって言ってるだろ」

「ぐっ!」


ガビクは俺に手のひらを向けて、黒い球を放ってきた。

俺は風の壁で黒い球を防ごうとしたが、黒い球に触れた部分が消滅した。


「は?危な!お前こそ、その魔法はなんなんだよ」

「これは魔法じゃない。力だ。俺のために神が授けてくれた力なんだよ!」


ガビクが叫ぶと背中から黒い触手のようなものが4本生えてきた。

触手は俺に向かってくる。


「まじかよ!」

風の壁や石の壁を出して防ごうとするが、触れた部分が消滅するせいで避けることしかできなかった。


「邪魔をするな!お前が邪魔をしなければ俺の国を作れたんだ!」

黒い触手の攻撃は勢いを増していった。


俺は風の魔法を纏って、触手を避けてガビクに近づく。

「国を作りたいんなら、もっといいやり方があっただろう!」

腕を土魔法で固めて、ガビクの顔面を殴りつけた。


「ぐっ!」

ガビクはふらついている。

石の槍を作ってガビクに向かって放つと、肩に刺さった。


ボトッ!

ガビクの尻尾が地面に落ちた。

「は?」

いつの間にか尻尾が生え変わっていた。


「じゃ、邪魔するな!!!!!」

黒い触手が俺に向かってくる。


ガビクの使っている魔法は邪神の力な気がするし、目が三つなのも邪神の影響な気がする。

しかし意識もはっきりしていて、邪神に憑りつかれているようには思えなかった。


「これが効かなかったらやばいぞ」

俺は聖魔法でガビクに向けてはなった。

神々しい光がガビクの身体を包む。


光が消えるとガビクは倒れていた。

背中に生えていた黒い触手は消えている。

「やったか?」


俺が近づこうとすると、ガビクの身体は内側からブクブクと膨れていった。

「は?なんだよこれ」


ガビクの身体はどんどん大きくなる。

徐々に身体が形成されていき、身体中が内臓でできたような大きなトカゲになった。

「マジかよ。グロすぎだろ」


大きなトカゲの額には小さな魔石が埋め込まれていた。

「あれが邪神を封印している魔石か?てかあの靄に触れたらやばそうだな」

トカゲの身体の周りには黒い靄が漂っていた。


「ジャララララララララララ!!」

トカゲが叫ぶと背中からさっきの倍以上の黒い触手が生えてきた。


俺は石の槍を大量に作ってトカゲに向かって放つが、すべて触手に防がれた。


遠距離も防がれ、近づくのも危険。

中々まずい状況だった。


「ジャアアアア!!」

トカゲが大きく口を開いた。


「は?嘘だろ?」

口の中には黒いエネルギーのようなものがうごめいていた。

「それを吐く気なのか?」


「ジャアアアアア!」

黒いエネルギーはレーザー光線のように直線で俺に向かってきた。


レーザー光線は触れている地面を消滅させている。

「くそ!」

俺は風魔法で自分の身体を吹き飛ばし、間一髪避けることができた。


しかし俺の判断は間違っていた。


俺の後ろにはさっきまでいた街があった。

俺が防がなかったせいで、レーザー光線に呑まれて街は消滅していた。


ユーサクは大丈夫なはずだ。

だけどベロニカやガラマイアとソンブラは……。

レガリオル達も到着していたら……。


俺は自分の判断ミスを悔やんだ。


いつも地形や自然を壊さないように力加減をしていた。

邪神相手にそんなことをしていちゃダメだった。

「ごめん…」


俺は火の魔法で大きな龍を作る。

「ガビク。悪いがもう手加減はできない。正気を取り戻したら回復してやるから、いろいろと償えよ」

「ジャアアアアア!!」


炎の龍を空へ放つ。

すぐに土魔法で地形を変え、土の大きな拳を出してトカゲを宙に打ち上げた。


「ジャアア!」

トカゲは空中で口を開く。

またレーザー光線を吐くつもりだ。


俺はすぐに雷の槍を大量に作り、トカゲに放つ。

大半は触手に防がれるが、5本程トカゲの下顎に当てて口を閉じさせる。

「ギュグググググ!」

口が開かなくなったトカゲは藻掻いていた。


100個ほどの風の刃を飛ばし、触手を切り取っていく。

完全に消滅させることはできないが、触手の動きを鈍らせることはできた。


空に放った炎の龍を操り、宙に浮いているトカゲにぶつけた。

触手は炎の龍を消滅することができず、炎の龍はトカゲは丸呑みした。


丸焦げになったトカゲは地面に落ちていった。

俺は聖魔法で剣を作り、トカゲの額に向かって投げた。


パリン!

トカゲの額にあった魔石は砕け散った。


その瞬間、俺の意識が遠のいた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ