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24週目.嫉妬の襲撃②

「いつも邪魔しやがってクソモンスターが!お前みたいなモンスターは悪魔族の奴隷をしてればいいんだよ!」

「私はモンスターでない。魔獣人族だ」

私は見慣れた悪魔族と向き合っていた。


この悪魔族は、今まで何度も襲撃をしてきた女だ。

返り討ちにしても、懲りずに何度もやってきた。


「サイルバルタン様の様子が気になるので、すぐに終わらせてもらう」

「やれるもんならやってみな!」

アクアサーペントジェネラルから女は飛び降りた。

女は水の上に立っていた。


「驚いたかい?お前を殺すためのマジックアイテムをヴィルダーグ様に渡されてるんだよ」

「水の上に立ったくらいで私に勝てると思っているんですか?」

「ははは!勝てるんだよ!」


女は水面を踏みつけた。

すると踏みつけた水面から大量の水の針が現れ、私に向かってきた。

泳いで逃げるが、水の針は私を追う。


「ぐっ!」

針が身体をかすった。


「ははは!痛いかい?一度水茨になった水は、足を水面につけている間はずっと水茨のままだからね。時間が経てば経つ程、動ける場所がなくなるよ」

女の言う通り、私の動ける範囲が狭まっていく。


何とか足を水面から離させたいが、女の足元は完全に水茨になっている。

「しょうがないですね……」

私は覚悟を決めた。


「魔獣化」


私の身体はどんどん変形していく。

人のような身から獣のような身に。


私は女の足元に向かって突っ込んでいく。

水茨のとげが身体に刺さるが、魔獣化で身体を殻で覆われているので多少のダメージで済んでいる。


「気持ち悪い!本当にモンスターじゃないか!」

「モンスターではありません。魔獣人です」


私は鋏に変形した手で女の足首を切ろうとしたが、足を水面から離されて避けられてしまった。


「おい!こいつを倒しな!」

アクアサーペントジェネラルが私に向かってくる。


「切断!」

私はアクアサーペントジェネラルの首を切断し、女の元へ向かった。


「なんでよ!なんでこれで勝てないのよ!」

私は魔獣化を解いて、女に飛びついた。


「私は打撃よりも、締め技の方が得意なんです」

私は女を締めながら、海の中へ飛び込んだ。


「落ちましたね」

女が気絶したのを確認して解放した。


「さて、サイルバルタン様を探しますか」

私は急いで陸に向かった。


▽ ▽ ▽


何も怖くなくなっていた。


バシュン!

バシュン!


俺はファイアホーミングガンを使い、島に上陸したモンスターと悪魔族を倒していった。

どう考えても、撃ち漏らした以上の数が上陸していた。


「たぶん別の海岸からも来てるな」

さすがに数が多すぎる。


「「「「「うおおおおお!!」」」」」

山の方角から雄たけびが聞こえてきた。


振り向くと、武器を持ったダザ達がやってきた。

「え?」

「ユーサクさん!手伝います」

鍬形族はのこぎりのような剣で砂浜に上陸したモンスターを倒していく。


だが悪魔族とモンスターはまだまだ残っている。


「みんな気を付けて!魔法とか空飛んだりしてくるから」

「はい!ユーサクさん。少し下がってください」

「え?」

俺は言われた通り、少し下がった。


それを見たダザは手をあげた。


すると山の方から大量の石の球が雨のように砂浜に降り注いだ。


「え?どういうこと?」

「この島で保護されていた種族の魔法です」

「なるほど」

「近接戦闘が苦手なものが後方支援をします!」

「助かるよ。ありがとう」

「援軍はまだいます」

「え?」


ダザがまた手をあげると、砂浜が数か所盛り上がった。

砂の中から人の形をした土と石が現れた。

そして人の形をした火が空を飛び回る。


「え?味方?」

「はい。土人族と石人族と火人族の方です」

初めて聞く種族だったが、仲間なのだろう。


援軍のおかげで砂浜は一気に優勢になった。


▽ ▽ ▽


悪魔族はデビルマッドホークに乗って攻撃を仕掛けてくる。


「このような攻撃で私を倒せると思っているのか?」

「いいんだよ。計画はうまくいっている」


何か怪しい。

早くこいつを倒さないといけない。


私は腕を龍化し、デビルマッドホークごと薙ぎ払う。


ギャー!

デビルマッドホークには攻撃が効いてる様子なのに、悪魔族は平然としている。


「何を使っている?」

「くくく。さすがに気付いたか。お前を倒すのは一苦労だ。だからヴィルダーグ様からマジックアイテムを借りている」

「マジックアイテム?そんなもので私を倒せるとでも?」

「くくく。倒せないかもな、だけど倒されはしないだろう!ウォータージェット!」

「土龍の咆哮!」


ドーン!


攻撃を食らっても、またもや平然としている。

土龍の咆哮とウォータージェットが相殺するのはあり得ない。

デビルマッドホークがボロボロになっているから、攻撃は通っている。

自身のみを守る防御系のマジックアイテムを使っているのだろう。


「くくく。全然効いてないぞ。やはり穢れた者が幹部をやるべきではないのかもな」

「黙って戦えないのか?」

「お前が手も足も出ないのが面白くてな」

悪魔族は気持ち悪い笑みを向けている。


「怠惰の始まり!」

デビルマッドホークは眠り、水面に落ちていった。


「くそ!これだからモンスターは使えないんだよ!」

状態異常も効いていない。

完全にマジックアイテムに守られているみたいだ。


「これは使いたくなかったのだが」

「なにを言ってんだ?」

「お前に私の最大の攻撃を食らわせてやる」

「いままでの私を見ていなかったのか?お前の攻撃が俺に届くことはない!」

「そうかな?龍化!」

私は全身を龍化して、突っ込んでいった。


「ただの体当たりが効くわけないだろ!」

私は悪魔族を掴んで、山の岸壁に叩きつける。


「龍化してもこの程度か!」

「私の攻撃ではやはり無理だったか」

「くくく。やっとあきらめたか?」

「いや。私には無理でもこいつならできるはずだ。サモン!目覚めろ、スーロ!」


地面に魔法陣が現れる。

私はマウンテンスリープベアのスーロを召喚した。


この島の山と同じくらいの大きさのスーロはいつも寝ている。

スーロは起きているとどんどんステータスが落ちていくモンスターなので、寝起きが一番強い。

そして寝起きは機嫌が悪い。


「すまんな。怠惰の終わり!」

私はスキルでスーロを起こした。


「スーロ、お前が起きることになったのはこいつのせいだ」

私は悪魔族を掴んでスーロの目の前に投げ飛ばした。


「は?は?」

スーロは飛んでくる悪魔族を地面に叩きつけた。


バリン!


「怠惰の始まり!」

スーロが悪魔族を攻撃したのを確認し、すぐにスーロを眠らせた。


そして召喚を解除し、悪魔族を確認しに行ったが、叩きつけられたところには小さな肉片しか残っていなかった。


「よし。他の者の所へ行くとするか」


砂浜に戻ろうとしたら、島全体に魔法陣が現れた。

ドスン!


すると水が身体を覆い、身動きが取れなくなった。

「ん?これは」


私はこの水の正体を知っている。

まずい。

コータ!頼む!


私の意識はゆっくりと遠のいていった。


▽ ▽ ▽


ドスン!

地響きが鳴った。


島の方を見ると、島が水に覆われていた。

「なんだこれ」


ユーサクやアビール、戦っていた虫人族や悪魔族が全員水に飲まれていた。

たぶんさっきまで戦っていたゴフェルもたぶん飲まれてしまっているだろ。


ウォン!ウォン!


「水の次は狼?」

どこからか1000体近い狼が現れ、島を覆う水に嚙みついている。

「何が起きてるんだ?」



数分経つと島を覆っていた水は消え、狼も消えていった。

「わけわかんないぞ。とりあえず、気絶したみんなを運ぶか」


俺はみんなを急いで運び、悪魔族は全員縛り上げた。




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