24週目.嫉妬の襲撃①
遠目だが、俺は初めて見るモンスターにビビっていた。
海には水を纏ったヘビのモンスター。空には濡れたトリのモンスター。
そしてその後ろには2周り以上大きいヘビとトリのモンスターがいた。
たぶん親玉のようなものだろう。
「ユーサク!悪魔族が乗ってるモンスターを頼む」
「わ、わかった!」
俺はファイアホーミングガンを構えた。
するとアビールさんがやってきた。
「コータさん!襲撃があったと聞きました!」
「ああ。大量のモンスターと悪魔族だ」
「本当ですね。しかも上位種まで引き連れて……」
「アビールは海と空、どっちが戦いやすい?」
「当然海です」
「じゃあ海は頼んだ!空は俺がやる」
「わかりました!」
「ユーサクは陸から遠距離で攻撃し続けてくれ」
「わ、わかった!」
コータとアビールさんはモンスターの群れに向かっていった。
▽ ▽ ▽
元の世界には絶対いないサイズのヘビに乗った悪魔族は島に向かってきている。
アビールさんがその群れに突っ込んでいき、海を跳ね回って打撃で敵をどんどん倒していた。
「少しでもサポートしないと」
俺は射線がアビールさんに被らないように、遠い敵から狙うことにした。
「これは頭を狙うしかないよな」
ヘビのモンスターの頭に狙いを定め、恐る恐る引き金を引いた。
バシュン!
弾はヘビのモンスターの頭に命中はしたが、仰け反らせるほどしか威力がなかった。
たぶんファイアホーミングガンの弾は炎の力が込められているからか、蛇のモンスターが纏っている水のせいで威力が落ちているみたいだ。
バシュン!
バシュン!
バシュン!
何度も撃ちこんでやっと1匹倒すことができた。
「やばいな。相性が悪すぎる」
2匹目を攻撃しようとしていたら、砂浜に悪魔族が数人上陸していた。
集中しすぎて撃ち漏らしてしまったみたいだ。
「おい!気色悪い恰好をしているな。お前も虫人族か?」
「ち、ちがうけど」
喧嘩なんてしたことない。俺は完全にビビっていた。
「この島の珍しい種族は捕獲って言われているが、1人くらい殺してもいいよな?」
「問題ないだろ」
「奴隷にしても使えなさそうだしな」
悪魔族達が迫ってくる。
「「「ファイアアロー!」」」
「「「ストーンアロー!」」」
数本の火の矢が俺に向かって飛んでくる。
俺は腕で防御をしようとした。
ドーン!
ドーン!
ドーン!
すべての火の矢が俺に当たった。
「あれ?」
身体に痛みがなかった。
俺が驚いていると、アナウンスが聞こえてきた。
「炎の力を吸収しました。身体能力が2倍から2.5倍になりました」
「マジか。火の矢がノーダメな理由は分かったけど、石の矢がノーダメなのはなんでだ?」
自分に起きたことが理解できず頭をフル回転させていると、何かが身体に当たる。
「おい!なんで生きてるんだよ!ストーンボール!」
「気持ち悪いな!ストーンアロー」
石の球や石の矢が身体に当たり続けるが、痛みが全くない。
まさか俺は最強になってしまったのか?
「クソ!これなら死ぬだろ!フレイムボム」
火の球が俺の顔面に向かって飛んでくる。
反射的に払おうと手を振ると、火の球が手に当たって船の方へ飛んで行ってしまった。
「あっ!やばい」
ドゴーン!
火の球は船に当たり、大爆発した。
「あーやばい!これは後で謝らないと」
襲ってきた悪魔族は、魔法を手で払う俺に怯えているようだった。
「謝る前に、こいつらを倒さないとな!」
俺は最強になったことで、恐れがなくなった。
▽ ▽ ▽
砂浜に戻ると、船が大炎上していた。
そして砂浜・空・海には多数のモンスターと悪魔族が居た。
「襲撃か」
私は空で戦っているコータを見つけ、コータの元へ向かった。
「コータ、大丈夫か?」
「ああ。問題はない。だけどあのでかいのをやらないと、このうざったいトリが永遠に生まれてくる」
コータはマッドクロウを倒しながら言った。
「あの上位種は私に任せてくれ、乗っているやつも顔見知りだ」
「わかった。細かいやつは俺がどうにかするから」
私は急いでデビルマッドクロウのもとに向かった。
「おいおい!獣臭いと思ったら、穢れた幹部様がいらっしゃるじゃないか」
声が聞こえる方向を見ると、デビルマッドホークに乗った悪魔族がいた。
「お前が居るということは、この襲撃は嫉妬のヴィルダーグの指示みたいだな!」
「そうだよ!そんなの馬鹿でもわかることだろ?」
「ずいぶん素直に言うじゃないか」
「ここでお前を殺すんだ!情報を出し惜しみする意味がないだろ?くくくくく!」
悪魔族は笑いながら私を見る。
「今回は邪魔なアビール、穢れたサイルバルタン、そしてお前を一気に殺して、魔人領を高貴な世界に戻すのだ!ついでに穢れた虫人と魔獣人を確保して、私達の労働力にしてやろう」
「そんなことできると思うのか?」
「なぜできないと思う?くくくくく!」
こいつのにやけ顔に何かを感じた。
「早めに倒さないといけなそうだ」
▽ ▽ ▽
ユーサクは俺が目を離していた時に少しピンチになってたみたいだが、今はイキイキ戦っている。
異世界に来てすぐに船を大爆発させるとか、異世界適正が高すぎだ。
ゴフェルも来たし、全体的に優勢になっただろう。
少しアビールが大変そうだから、この細かいやつらを倒して助けに行かないと。
俺は巨大な岩の拳を魔法で10個出して、小さな泥のトリと騎乗してる悪魔族を殴り続けた。
「一応悪魔族は回収した方がいいのかな?」
殴られて吹き飛んでいく奴らを電気の網で捕まえていく。
「これなら痺れて逃げられないだろ」
俺は残りの空の敵をゴフェルに任せ、アビールの元へ向かった。
アビールは海を自由自在に動き回り、武術家のような攻撃で敵を倒していた。
「アビール!大丈夫か?」
「問題ありません!ですが、ここをお願いしてもいいですか?」
「わかったけど、どうして?」
「あの上位種に乗っているやつは私が倒さないといけないみたいなので」
アビールは上位種に乗った悪魔族を睨んでいる
「了解。ここにいるやつらは任せてくれ」
「おねがいします!」
アビールは海に潜り、猛スピードで上位種に向かっていった。




