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24週目.ウサギの魔獣人

「「うおおおおおおお!ストーンランス!」」

目の前いる悪魔族のカヌマとセヌイは10本程の石の槍と共に俺達に向かって走ってきた。


「おい!その見た目で魔法も使えるのかよ!」

俺とゴフェルは石の槍を腕で弾きながら、カヌマとセヌイの攻撃をいなしていく。


「おい!早く棄権した方がいいぞ!」

カヌマは俺を殴りながら叫ぶ。

俺はその攻撃を難なくいなしていく。


「うーん。魔法の威力はそこそこ。肉弾戦は思ったより弱いな」

「何を1人で話してるんだ?」


ゴフェルの様子を見てみたが、俺と同じ感想みたいだ。

「コングみたいに盛り上げる戦闘したかったんだけど残念だ。これは圧倒的に勝つしかないな」


俺はカヌマの拳を避け、手加減してボディに1発入れた。


俺は肉弾戦が特別強くはないが、本気で殴ると殺してしまいそうだったから手加減をした。

だけど手加減したのにも関わらず、カヌマは吹き飛んで壁にぶち当たった。


「ゴフェル。いい試合をするのは無理だ。本気でやるぞ」

ゴフェルはセヌイを蹴り飛ばした。


「いいのか?」

「ああ。実力差がありすぎる。派手な魔法で倒して終わらせよう」

「わかった」


俺とゴフェルはカヌマとセヌイを向いた。


▽ ▽ ▽


「試合終了――!」

会場にアナウンスが鳴り響いた。


「「「「「「「おおおおおお!!!!」」」」」」」

観客は異様な盛り上がりを見せていた。


「「え?」」

カヌマとセヌイを見てみると、気絶してしまったみたいだ。


「おい。こんなんがトップってレベル低すぎだろ」


▽ ▽ ▽


試合が終わり、俺達はなぜかコロッセオ内の部屋に案内された。


「なんだ?勝ったから賞金とかあんのか?」

「賞金はすぐに手渡しされるはずだが」

数分待っていると、綺麗な身なりをした3人の魔獣人族が部屋に入ってきた。


ローブを着たカエルのような顔のやつと、コウモリのような顔のやつ。

そして海老のような顔をしたやつが口を開いた。


「変化茶ですか?ゴフェル様」

「おっ!さすがはアビール。よく気付いたな」

「耳がいい者がおりますので、戦闘中にそちらの方がゴフェル様を呼んだという情報が入りましたので」

ゴフェルはアビールの横にいるコウモリの顔をしたやつを見た。


「なるほど」

ゴフェルとアビールという男は知り合いのようだ。


「それでゴフェル様。そちらの方は?魔獣人ではないのでしょ?」

「ああ。コータは人間だ。私に協力をしている」

「人間?」

アビールは俺を睨んできた。


「やめておけアビール。お前では勝つことはできないだろう」

「ゴフェル様は私のことをお忘れですか?」

「わかった上で言っている。私と同じくらいの実力だぞ?まあ私の方が強いがな」


アビールは雷を纏った虎の魔獣人に目配せをした。

すると虎の魔獣人は俺に攻撃を仕掛けようとした。

俺はすぐに風の拳を出して虎の魔獣人を吹き飛ばし、アビールとコウモリの魔獣人の首元に風のナイフを突き立てた。


「な?私の言ったとおりだろ?」

ゴフェルはどや顔で言った。


「コータ。その魔法を消してくれないか?というか何故私の首元にもあるんだ?」

「うん?ゴフェルの方が強いんだよな?」

「カハハハ!それが気に食わなかったか。前に戦おうとしたときは止められてしまったからな。どうだここで決着をつけてやってもいいんだぞ」

「やるか」

俺はゴフェルは向き合った。


「やめてください。コータ様の実力は分かりましたから!」

一触即発の俺達を見たアビールは叫んだ。


「くそ!お預けか」

「カハハハ!色々落ち着いたら、戦ってやるわ」

いつかちゃんと実力をわからせてやると心に誓った。


「それでゴフェル様は、虫人族の保護で来られたんですか?」

「ああ。それにサイルバルタンにコータを会わせようと思ってな」

「なるほど。わかりました。すぐに手配しますので、こちらでお待ちください」


そういうとアビール達は部屋から出て行った。



数分待つと、アビールが戻ってきた。


「準備ができました」

「そうか」

「ゴフェル様、お姿はそのままですか?」

「そうだな。原液を飲んだから、何日かはこのままだ!」

「は?おい!聞いてないぞ?」

俺はこの姿から戻れないと知って驚いた。


「カハハハ!嘘だ嘘だ!ちゃんと効果を打ち消す薬も持ってきておる」

「よかったー」


俺達のやり取りを見ていたアビールが口を開いた。

「それではサイルバルタン様の元へ向かいましょう。姿を戻すのは、屋敷についてからにしてください」

「そうだな」


俺とゴフェルはアビールについていった。


▽ ▽ ▽


川沿いにある屋敷に到着した。

「でかいし、なんか豪勢だな」


俺がそういうとアビールが答えた。

「前任の憤怒の悪魔が使っていた屋敷です。サイルバルタン様の趣味ではありませんので」

「カハハハ!私なんて屋敷すらないのに、サイルバルタンは前任者が金遣いの荒いやつで幸運だったな」

俺達は屋敷に入っていった。



屋敷に入ると内装が凄かった。

悪趣味な美術品のようなものなどが多く飾られていた。

前任者の金遣いが荒いのは本当みたいだ。


それに魔獣人族と思われる使用人が多数いた。

その中にはなぜか先ほど戦った、悪魔族のカヌマとセヌイの姿もあった。


「ここで姿を戻してください。着替えなどもあると思いますので、終わりましたらお声がけください」

アビールは部屋に案内して、どこかへいなくなった。


「コータ。これを飲め。変化茶の解除薬だ」

「おう!ありがと」

「だいぶ貴重品だからな。変化茶は時間経過で治るから解除薬は基本的に使わないんだ」

「へーそうなのか」


俺はゴフェルの話を聞き流して解除薬を飲み干した。




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