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24週目.憤怒の賭場

俺達が向かった島は、大きな山を中心に山岳地帯が広がっていた。


ゴフェルの話では、この島には石人族と土人族しか住んでいないとのことだった。

俺達は集まった石人族・土人族・火人族・団子族・蠍人族にマイホームを渡した。


霊人族達の魔力は高いのでマイホームで大きな空間を作れそうだった。

なので5種族は一緒に暮らすことになった。

マイホームは島の中心にある山を覆って、悪意のあるものが永遠に登れない山にした。


「これで問題ないだろう」

「そうだな。じゃあさっさと憤怒の悪魔の所に行こうぜ」

「ああ。その前にコータにはこれを飲んでもらいたい」

ゴフェルは謎の液体が入った容器を俺に差し出した。


「これは?」

「獣人族のある種族が作っている変化茶というものだ」

「変化茶?」

「飲むと数日の間、想像した姿に変わることができるのだ」

「姿を変えるのか?」

「ああ。今から行くサイルバルタンが治める街で暮らしているのはほとんど悪魔族なんだ」

「なるほど。じゃあ悪魔族に姿を変えろってことか。でも俺は悪魔族を見たことないから特徴とかわかんないぞ?」

「大丈夫だ」

そういうとゴフェルはもう1本変化茶を取り出して飲み干した。

ゴフェルは顔を歪ませた。

相当苦いのだろう。


「私もそれなりに有名だから、変化しないと他の者が治める土地では動きにくいのだ」

「なるほど。じゃあゴフェルの変化した姿を参考にすればいいんだな」

「ああ」


少し待っているとゴフェルの肌がどんどん赤っぽくなっていき、角の形も変わっていった。

「おー凄いな」

特徴的な大きな尻尾もどんどん細くなり、身体も1回りほど小さくなった。


「こんな感じだ。この姿を想像して変化茶を飲んでくれ」

「わかった」


俺はゴフェルの姿を想像しながら変化茶を飲みほした。

「なんだこれ!苦すぎる」


▽ ▽ ▽


俺達はサイルバルタンが治めている街を歩いている。

俺もゴフェルもしっかり悪魔族の姿だ。


変化茶を飲んだ後、頭と尻に猛烈なかゆみに襲われて悶え続けた。

かゆみが収まると立派な角と尻尾が生えていた。

なんでゴフェルは平然としていられたのか不思議でしょうがなかった。


「なんかこの服全然慣れないなー。ズボンの後ろに穴が開いてるのが違和感すぎる」

俺はゴフェルが用意していた服を着ている。


「ザハハハ!まあ人間は尻尾がないからな」

ゴフェルは高笑った。


「違和感についてはあきらめるよ。それにしてもこの街は本当に幹部が治めている街なのか?」


俺達がいる街はとても幹部が治めている街とは思えないほど荒れていた。

街が廃墟のようだとか崩壊しているとかではなく、雰囲気が荒れている。


「ああ。この島にはこの街しかなく、他の島で暮らせなくなった悪魔族が多く住んでいる。なので、荒くれ者や金銭に余裕がない者などが多い」

「なるほど」

「それに前任の憤怒の悪魔が大の賭博好きだったこともあり、大きな賭場がある。なので魔人領から賭博目的の者もやってくる。魔人領には賭場が2つしかなく、金がある者は傲慢の悪魔の治める土地に行き、金がない者はこの憤怒の悪魔の治める土地に来るんだ」

「治安が悪くなるのも納得だ」

「まあサイルバルタンはその賭場をうまく使っているんだがな」

「うまく使う?」

「気になるか?ならサイルバルタンに会う前に見に行こう」


俺はゴフェルについていった。


▽ ▽ ▽


連れて来られた場所は、コロッセオのような場所だった。

多くの観客は中央で行われている戦いを見て盛り上がっていた。

中央では動物のような見た目の者と悪魔族が戦っていた。


「ここが賭場?」

「そうだ。なんでもありの戦いでどっちが勝つかに賭けるだけ。そしてこの賭場で勝率上位を治めているのはすべて魔獣人族だ」

「魔獣人族?」

「ああ。サイルバルタンが保護している種族だ」

「ここで魔獣人族の強さを見せつけ、なおかつ憧れる存在にさせ、差別や迫害が起きないようにしてるのか」

「その通りだ」

「面白そうだな」

「え?」

俺は良いことを思いついた。


「ゴフェル。魔獣人族って全員が強いのか?」

「いやそうではない。強い者はこの土地に残ってサイルバルタンをサポートし、弱い者は私の領地で預かっている。そのおかげでサイルバルタンが私に協力的なのだ」

「なるほど。じゃあ戦闘に向かない魔獣人族の見た目を教えてくれ。それと変化茶も」

「コータ、何する気だ?」

「弱いと思われてる魔獣人族がこの賭場にいる悪魔族を倒したら面白くないか?」

「ザハハハ!コータは面白い事を考えるなー。わかった!付き合おう」


俺はゴフェルから戦闘が苦手な魔獣人の情報を聞き、変化茶を飲みほした。


▽ ▽ ▽


先ほど行われていた試合が魔獣人族の勝利で終了した。


するとコロッセオ内に声が響き渡る。

「続いての試合は飛び入りの参加の魔獣人族2人が、連勝を続けている悪魔族トップファイター2人に挑むタッグ戦です!」


「「「「「おおおおおお!!」」」」」

会場は盛り上がっている。


「まずは挑戦者の登場だ!」

俺とゴフェルはアナウンスに合わせて入場をした。


「「「「「「「おおおおおお????」」」」」」

会場は俺とゴフェルの姿に変な空気になった。


「おい!あの魔獣人じゃ戦いにならないだろ」

「ははは!ボコボコにされる魔獣人族を見れるなんて最高だ!」

「おーい!帰るなら今のうちだぞ」

会場はヤジで埋め尽くされた。


それも当然だった。

俺の案に乗ったゴフェルは自分も参加するといい始めた。

変化茶を飲み、俺は1本角でゴフェルは2本角の2足歩行のウサギの姿になった。

身長も1mもない。そりゃ観客にバカにされるだろう。



「続いて、悪魔族のトップファイター!カヌマとセヌイの2人の登場だ!」

俺たちの目の前に悪魔族2人が現れた。


2人共身体が大きく、いかにも肉弾戦が得意そうだ。

「おい!いいのか?本気でやっても?殺しちゃうかもしれないぞ?」

「カヌマ。加減してやらないとダメだ」


カヌマとセヌイの2人は俺達を見ている。


「ゴフェル。ちゃんと盛り上げろよ」

「盛り上げる?どうしろと?」

俺はゴフェルに耳打ちした。


「わかった!」

「じゃあやってやりますか!」


俺達が構えると、アナウンスが叫ぶ。


「では試合開始!」




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