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24週目.火人族と虫人族

俺とゴフェルは火人族を追いかけた。

火人族は洞窟のようなところに入っていった。


「ん?火山の内部に入っていくぞ?」

「うわー。熱い!これやばいぞ」

「人間のコータにはちときついかもな」

俺は水の鎧を身体に纏って、常に風魔法を当て続けた。


「ゴフェルー氷魔法ってないのかー」

「聞いたことないぞ。でも龍人族には氷の吐けるものがいるぞ」

「そいつ呼んで来い!」

「ザハハハ。バカみたいなことを言ってないで、進むぞ」

ゴフェルは俺の背中を叩いた。


▽ ▽ ▽


洞窟の中を5分ほど進むと広い空間に出た。

そこには数十人の火人族がいた。


火人族の1人が俺たちに気づいた。

「誰だ!」

火人族が怒鳴ると、一気に温度が上がった。


「おいゴフェル!俺はこれ以上の暑さはさすがに耐えられないぞ」

「わかっておる。ワシがどうにかする」


そういうとゴフェルは俺の前に移動した。


「火人族!我々を警戒するのは分かるが、ここは一度話を聞いてはもらえぬか?私は怠惰の悪魔ゴフェルだ」

ゴフェルがそういうと、火人族が騒ぎ出した。


「おい!大罪の悪魔だ!」

「倒せ!そうしないとまたあいつらが捕まってしまう」

火人族はより一層騒ぎ出した。


「ちがう!私はお前達を保護するつもりなんだ!」

「保護だと?ふざけるな!」


火人族の1人がゴフェルに向かって炎を飛ばした。

俺はすぐに空気の壁を出してその攻撃を防ぐ。


「すまんコータ」

「攻撃からは俺が守るから、早く説得を頼む」

「ああ。うおおおおおおおお!」

ゴフェルは大声をあげた。すると地面が揺れ、火人族は驚いて動かなくなった。


「私は龍人族だ。火人族を捕まえるつもりなら、最初から本気を出す。私はただ話を聞いてもらいたいだけだ」


火人族はゴフェルの雄たけびのおかげか少し冷静になっていた。

だが自分達で判断できないのか、お互いの顔を見合っていた。


「わかりました。私が話を聞きましょう」


一人の火人族が前に出た。

「お前は?」

「私は火人族の長、アピンガです」


▽ ▽ ▽


ゴフェルとアピンガは地面に座り、話を始めた。

ゴフェルは今までの行動や、今後どうしたいなどを熱心にアピンガに伝えた。


「なるほど……」

アピンガは考えていた。


「ゴフェル様は我々にどうしてほしいんですか?」

「私の治める土地で暮らしてほしい」

「なんでですか?私達は自分の身は自分達で守れます」

「火人族は強い。だが悪魔族に数で押されると勝つことはできないだろう」

「…そうですね」

アピンガは悔しそうに言った。


「だが私の治める土地に来れば、私が到着するまでの時間を作るだけでいい」

「え?」

「そうしてくれればお前達も、お前達が守っている虫人族も助けることができる」

「気づいていたんですか」

「ああ。さっき私達と対峙していた者が言っていた。「あいつらが捕まってしまう」と」


いつもの俺なら気付けていたのに暑さで朦朧としていたせいで全然気づけなかった。

火人族は虫人族を匿っていたのか。


「わかりました。他の者、そして虫人族達と相談させてください」

「わかった。私達は火山の麓で待つことにする」

「わかりました」


俺とゴフェルは洞窟を出て、山の麓へ向かった。


▽ ▽ ▽


数時間後。

俺達の目の前にはアピンガと虫人族が2人やってきた。


1人は背中に甲羅のようなものを背負ったじいさん。

もう1人は腕に大きな鋏と長い尻尾がついている女性だった。


「わしは団子族の長、バガークじゃ」

「私は蠍人族の長、ピロです」

「火人族、そしてこの2つの種族はゴフェル様の提案を飲むことにしました」

「本当か?」

「はい!」

ゴフェルは嬉しそうだった。


「それじゃあそれぞれ住みやすい環境を教えてくれ」

「私達はここと同じような環境だといいのですが」

「それなら山岳地帯の島がある。そこで暮らしてくれ」

「わかりました」


俺達は今後の計画を立てることにした。


「まず、私が何往復かして運ぶしかないな。人が乗るようの木箱も用意しているから大丈夫だろう」

「虫人族は良いけど、火人族は燃えたりしないのか?」

「そうか。木箱だと問題があるかもしれんな」

俺とゴフェルが話しているとアピンガが口を開いた。


「私達は自分の火の調節ができます。ほらこの通り」

そういいながら俺の腕をつかんだ。


「あっ!熱!くない?熱くないぞ」

「はい。なので木箱で問題ありません」

「ほー。そんなことができるのか。これで問題はなくなった。サイルバルタンの所で保護されている虫人族にも会いに行かないといけないから、さっそく出発しよう」

「わかりました。荷物などをまとめてすぐ戻ってきます」


アピンガ達は山へ戻っていった。



▽ ▽ ▽



最後に残った火人族達がゴフェルにくくり付けられている木箱に乗り込んでいく。


「マイホームは問題なさそうか?」

「いや、まだ使っていない。先に運んだ者は、元々私の島で住んでいる石人族と土人族に預けてきた」

「霊人族がいたのか」

「ああ。全員到着してから、マイホームを使うつもりだ」

「了解。俺はどうする?ついていくか?それともここで待ってるか?」

「私に乗ってくれ。マイホームの確認も頼みたい。それに諸々終わったらすぐにサイルバルタンの所に行きたいからな」

「了解」


俺はゴフェルの背中に飛び乗った。




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