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24週目.魔人領

「ここは?」

俺はクソ女神に連れられタイムトラベルをした。


「コータが今まで居た時代からだいたい100年とちょっとくらい前の時代だよ」

「そんなに昔なのか」

「うん。ここは魔人領という地域で人間はほとんどいないよ」

「魔人か…。それで、ドラゴニュートはどこに居るんだ?」

「ドラゴニュートの里がある島だから、すぐに会えると思うよ」

クソ女神はいつものように能天気に話してきた。


「はあー。とりあえず歩いて探してみるか。ユーサクとの時間のずれは?」

「多分あると思う」

「それはどうにもならないのか?」


俺がそう聞くとクソ女神は親指を立てた。

「時間のずれは治せないけど、いまマスクを改良中だから期待してて」

「出来てないのに親指を立てるな」

「てへ」

クソ女神が舌をペロっと出す姿に腹が立った。


「とりあえずドラゴニュートを探してみるよ」

「うん。宜しくね」


そういうとクソ女神は目の前から消えた。


「よーし。じゃあ探し始めるか」


俺は当てもなく歩き始めた。


▽ ▽ ▽


島の大半は山岳地帯のようで、急勾配が激しかった。

「歩いて探すのしんどいな」


俺は風魔法を使って空を飛んだ。

島といってもなかなか広かった。

ちょっと飛んだぐらいじゃ全貌を把握することは出来なかった。


「あれ?山が動いてる?」

ギリギリ見える距離にあった山が低くなっているように見える。


俺はそこに向かって飛んで行った。



近くまで来ると、見たことのない光景に驚いた。

大きな緑のドラゴンが山を破壊していた。


「あれってまずいんじゃ?」

俺は風の剣を10本出した。


するとドラゴンと目が合った。

「誰だ?人間か?」


ドラゴンがいきなりしゃべり始めたことに俺は驚いて、魔法の発動を解いてしまった。

「え?ドラゴンが喋った?」

ドラゴンの大きな目は俺の事をじーっと見ている。

「人間だな。今姿を戻すから待っていろ」


そういうとドラゴンがうっすら光った。

光りが止むとそこには大きな尻尾が生えた30代くらいの人が立っていた。


俺はその人に近づいていった。

「えーっと、ドラゴニュート?」

「その呼び方されるのは珍しいな」

「そうなの?」

「他の種族からは龍人族と呼ばている」

「そうなんだ」

なぜか親しげに喋ってしまったが、多分この人が俺の目的の人だ。


「俺はコータ、人間だ。そっちは?」

「私はゴフェル。コータは何でこんなところに居るんだ?」

俺はなんと言うか迷った。


「えーっと…」

「魔人族を攫いに来たのか?」

「え?」

「人間が魔人領に居る理由なんてそれくらいしかないだろ」

「待て!俺はそんなことするつもりはないんだが」

「人間はだいたいそう言う」

フレンドリーな雰囲気なのに言葉が鋭く感じた。


「人間をそういう風に見ているのに何で攻撃しないんだ?」

ゴフェルはキョトンとしている。


「ん?お前に負ける気がしないからだが」

「はぁ?」

俺は不意に舐められたせいでカチンと来てしまった。


「龍人族が人間に1対1で負けると思っているのか?」

「相手によるんじゃないか?」

「やってみるか?」

「ゴフェルがやりたいなら相手をしてやろうじゃねぇか!」


俺は風の矢を出し、ゴフェルの腕はドラゴンのように変化していた。

どちらかが動き出せば、戦闘は始まる。



「あのーすみません…。私達はどうすればいいでしょうか」


俺達の間に入って声をかけてきたのは背の低い女性だった。

その女性は頭に触角があり、手が4本あって、背中に斑点模様の柄の大きな羽が背中を覆っていた。


「え?」

「あ!」


▽ ▽ ▽


この虫人と呼ばれる種族の静止により、戦闘は回避された。


「何やってるんですかゴフェルさん!」

「いやすまん。だが人間が喧嘩を売ってくるのだから」

「え?この人、人間なんですか?」

虫人は俺を見て驚いていた。


「始めて見ました。でもゴフェルさん、話を聞かずに戦うなんて」

「人間だぞ?良からぬことをしようとしてるに決まってるだろ」

虫人はため息をついた。


「人間にも悪い人も良い人もいる。魔人族も同じでしょ?」

「それはそうだが…」

ゴフェルは申し訳なさそうにしていた。


「じゃあちゃんと話し合って!私はみんなのところに行ってくるから」

そう言うと虫人の女性は居なくなった。



ゴフェルは気まずそうに口を開いた。


「コータ、すまなかった。話も聞かずに戦おうとしてしまい」

「俺もカチンときて戦おうとしてしまって悪かったな」

俺も少し気まずかった。


「それでコータはなぜこの魔人領に?しかもこの島に」

「信じてもらえないと思うんだが、俺はお前の手伝いに来た」

「は?」

ゴフェルは首をかしげた。


「意味がわかんないよな。でもゴフェルが今何かやろうとしてないか?それの手伝いをする使命なんだ」

ゴフェルは疑っているようだった。



俺は自分がここに来る前に作ったマジックアイテムについて思い出した。


「ゴフェル!こういうのを俺は持っているんだけど、お前のやろうとしていることの手助けにならないか?」

俺はマジックアイテム化した水晶を出した。

特に名前の指定がなかったから俺はマイホームと呼んでいた。


「これは?」

「マイホームってマジックアイテムで、使った人が想像する空間を作ることができるんだ」

「本当か?」

「ああ。なんかやりたいことに使えそうか?ちなみに20個以上あるぞ」


俺がそういうとゴフェルは目を丸くし、すぐに頭を下げてきた。

「コータ。そのマイホームを私に譲ってくれないか?」

「いいよ。たぶんゴフェルに渡すために持たされたんだと思うし」

「それについては、まだ納得できないが」

「だよな」


俺はマジックバッグからマイホームを出して、ゴフェルに渡した。




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