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EX05.戦うレスラー達

目の前の男はサンタクロースの格好をしていた。


「お前は転移者か?」

「ホーホーホー。この前プレゼントをあげたゴリラだね」

「プレゼント?」

「忘れました?これですよ、私からの最高のプレゼントですよ」

サンタクロースは俺に箱を投げてきた。

箱を見た瞬間に思い出した。この箱の爆破のせいで気絶したことを。


俺は箱を思いっきり空に飛ばした。

ドゴーン

箱は空中で爆発をした。


「綺麗だねー。でもプレゼントをそんな扱い方しちゃダメだよ」

「さすがに村の中で爆発されると困るからな」

「ここは村なんですか?子供は居ますか?」

サンタクロースはきょろきょろと村を見渡した。


「関係ないだろ!」

「ホーホーホー。私は子供が大好きなんですよ」

付けている口髭の奥で舌なめずりをしているのが分かった。


「子供はかわいいんですよ。喜んだ時やうれしい時の表情もかわいいんだけど怖がる表情やおびえる表情が一番可愛いんですよ」

俺はこのサンタクロースに嫌悪感を抱いた。


「お前はここで倒さないとダメみたいだな」

「ゴリラが私を?」

「村の子供には手を出させない」

「やっぱり子供がいるんですね。僕のプレゼントをもらってくれる26番目の子になってくれるかな」

「会わせねーよ!行くぞー!」


俺はサンタクロースに向かって走り、ドロップキックを食らわせた。

「ぐっ!」

「さっさとおまえを倒さないとな。エアロープ!」

サンタクロースを掴んで投げる。エアロープに当たり跳ね返ってくるところにラリアットを入れた。

「ホーホーホー。なかなかいい攻撃をするね」

サンタクロースは俺から距離を取った。


「大人にあげるのは趣味じゃないんだけど、大サービスだ」

サンタクロースはプレゼントの箱を大量に投げてきた。

「村を壊そうとするなよ!」

プレゼントを空へはじき返そうとするが、さすがに量が多かった。


ボゴーン!ドーン!ボーン!

「うっ!さすがに全部は無理だったか」


サンタクロースは俺を見ながらニヤニヤしている。

「村を守りながら戦う気ですか?あっこれ追加です」

またプレゼントを投げてきた。


「だからやめろって!」

俺は空に弾き飛ばそうとしたが、腕がぶつかった瞬間爆発をした。

ドーン!


「ホーホーホー。時限爆弾じゃないよー。衝撃で爆発するタイプもあるんだよ」

「ぐっ」

今までで一番大きい爆発だった。

周りを見るが、村人が居る小屋には影響はなさそうだ。


「ジジイ!」

「え?」

ヒューズとリリアンが小屋から出てきていた。


「あー子供いるじゃないですか。キャンディ食べる?」

サンタクロースはニコニコしながらヒューズ達に近づいていく。


「ヒューズ!リリアン!早く小屋に戻れ!」

「うるせーよ!俺だって戦える」

ヒューズはサンタクロースの足元にナイフを投げた。


「うわ!あぶない。でも残念ながらハズレだよー。でも残念賞をあげるよ」

サンタクロースがヒューズを掴もうとした瞬間、ヒューズの姿は消えてサンタクロースの後ろに回り込んだ。


「居なくなった?じゃあ女の子の方だ」

サンタクロースがリリアンに標的を変えた瞬間。

グサッ!

ヒューズが後ろからサンタクロースの背中をナイフで刺した。


「どうだジジイ!俺でも倒せるんだぞ」

「ヒューズ!逃げろ!」

「何言って、ぐっ!」

ヒューズはサンタクロースに蹴られて吹き飛んだ。


「おい!ガキ!せっかくの衣装が台無しになったじゃねーか」

サンタクロースの口調が変わった。

「ほらほら、穴が開いてるじゃねーかクソ!」

サンタクロースが上着を脱いだ。

太っているように見えた身体は布が巻いており、ナイフは全く身体に届いていなかった。


「悪いガキにはお仕置きが必要だよな!」

サンタクロースはバットくらいのサイズの棒状のキャンディを取り出した。

「ガキはキャンディー好きだもんなー!」

そう言いながらヒューズが吹き飛んだ方向に歩いて行った。


「行かせないぞ!」

俺はサンタクロースを掴んだ。

「邪魔だ!」

サンタは俺をキャンディで殴ってくる。

「大人に興味はねぇーんだよ。子供がいいんだよ。はやく殺らせろよ!」

何度も何度も殴られるが、俺は離さない。


「邪魔すんな!くそゴリラがよ!」

「子供に手を出させるわけにはいかない!」

俺は力を振り絞ってアームサルトで投げ飛ばした。

「ぐっ!」

地面にサンタクロースは叩きつけられた。


倒れているサンタクロースの脚を掴んだ。

「とりあえず、俺の村から出ていってもらおうか」


俺はジャイアントスイングで村の外にサンタクロースを吹き飛ばした。



▽ ▽ ▽



私はポケットに入れていた、羊モチーフのマスクを被った。

被った瞬間、身体中に力が湧きあがるのを感じた。

「す、すごい」


刺青男はケタケタ笑い出した。

「なんだそれ。スーパーヒーロー気取り?」

「まあそんなところよ」

「うーん。手は傷ついてほしくないから気を付けてね。僕のコレクションにしたいんだから」

そういうと刺青男の周りに数十本の腕が現れた。


「一体なんなの?」

「え?聞きたい?」

刺青男はどこか嬉しそうだ。


「この腕はこの世界に来て、お世話をしてくれたメイドの腕だよ。綺麗でしょ。指の反り方が良いんだよ」

刺青男は持っている腕を舐め始めた。

本当に気持ちが悪い。


「この子達はね、ずっと僕と一緒に居てくれるんだ。僕の嫌がることもしてこないし最高の恋人たちなんだ」

「気持ちが悪い。吐き気がする」

「え?」

「あなたとは喋る必要がないです。さっさと倒しましょう」


刺青男は小刻みに震えだした。

「だーかーらー!顔が付いているメスは嫌いなんだよ!綺麗な手だけで俺の言うことを聞いてればいいだろ!」

数十本の腕が私の方へ飛んできた。


「出てきて!」

私はドン・ガイとモンモン。そして魔獣王ガルーと邪竜騎士ドラルを召喚した。

それを見た刺青男はニヤニヤしている。

「そいつらが戦うなら、てめぇの腕を傷つけないですむな。お前の腕も僕の恋人にしてあげるから」


飛んでくる腕を4体はうまくさばいていく。

私もマスクのおかげで腕との戦闘がうまくできていた。


「ぐっ!」

脚に痛みが走った。

痛みの先を見ると、小さな腕がナイフで太ももを刺していた。

「僕、小っちゃい子も好きなんだ」

私は腕を払い、ナイフを抜いた。

「気色悪い!」


私は刺青男に向かって行った。

召喚した4体は私に向かってくる腕を弾いてくれている。

「気持ちが悪いんだよ!」

私は振りかぶり、刺青男の顔面を殴った。


しかし私の拳は太い腕に掴まれて、刺青男には届いていなかった。

「この拳の握り方じゃ指痛めるよ?」

刺青男は私の腕を舐めた。

「なっ!やめ、ぐっ!」

私は飛んでいる腕に殴られた。


「こんな屈強な男の腕なんて趣味じゃないんだけどさ、戦うためにしょうがないからコレクションにしたんだ。どう?この腕に殴られる気持ちは?」

「うっ。ぐっ!あっ!」

私は腕を掴まれた状態で、何度も飛んでくる拳で殴られ続けた。


「お、お願い!来て!」

私はジャンプアニマルを召喚した。

五匹の1頭身の動物達が私を掴む腕を弾いた。

「ありがとう」

ジャンプアニマル達は飛び跳ねながら腕を弾いていった。


「あー!何してるんだ!」

刺青男が叫んだ。


目線の先を見ると、ドン・ガイ達が腕をすべて制圧して縛り上げていた。

「そんなことしたら、ロープの跡が付いちゃうだろうが!」

刺青男は叫びながらドン・ガイ達に向かって行く。


「これは使いたくなかったんだよ!」

刺青男の手には大きなハサミが現れた。

そのハサミを2つにし、モンモンに攻撃をした。

モンモンは腕で防ごうとするが、腕事体を真っ二つにされ消えてしまった。


「何あの武器!」

刺青男はハサミを振り回し、ドン・ガイ達も真っ二つにしてしまった。


「あー大丈夫かい!跡は付いてないかい?痛かったね」

刺青男は縛られた腕をほどき、舐めまわしている。


「ちゃんとあの女を反省させるからね。もうちょっと一緒に頑張ろうね」

刺青男はそういうと私に向かってきた。


そしてハサミを私に振り降ろした。



▽ ▽ ▽



ピエロ男の風船に悪戦苦闘していた。


「変な攻撃ばっかりだな」

ピエロ男の攻撃は風船やら火の輪っかを投げてくる。

魔法で弾くので精いっぱいだ。


「このままじゃ長期戦になってしまう。まずいぞ」

僕は今できる最高火力で決めることにした。

「ストーンランス!ファイアボール!エアロボム!」

僕の周りには大量の石の槍と火の球と風の球が現れた。

「もっと!もっとだ!ストーンランス!ファイアボール!エアロボム!」

頭が痛い。たぶんこのマスクを付けていなかったらもっと痛かったんだろう。


「ははははは!これはさすがにまずいな」

ピエロ男は言葉とは裏腹にニコニコしていた。

「喰らえ!くそピエロ」

僕は大量の魔法をピエロ男に放った。


ピエロ男は風船を持って浮かび始めた。

「ははは!その量の魔法の方向を変えるのは君でも大変でしょ」

「そうでもないよ」

「え?」

僕はすべての魔法をピエロ男に当てるように操作した。

頭が痛い。鼻血も出ているだろう。

どんなに身体がボロボロになっても、この村は守らなくては。

ズド―――ン!


「そうでもないだろ?」

僕はあまりの疲労に座り込んだ。



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