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22週目.トマトソースのニョッキ

「とりあえず洗脳されてるかもしれないから」

コータは首輪男に触れると、身体が一瞬光った。

「やっぱり洗脳されてたな」


「あとはあの鎧の男達から話を聞くしかないな」

「すまんが、それは無理だ」

コングさんが鎧の男を2人担いでやってきた。


「どういうことだ?」

コータが聞くと、コングさんは鎧の男を地面に寝かせた。

「死んでる」

「え?まさか俺が撃ったから?」

「いや、『鑑定』でみたら毒で死んだみたいだ」

「自殺?他殺?」

「それはわからない」

「それじゃあ、この男が死なない様にしっかり見とかないとダメだな」

俺達は気絶している首輪男を見た。


▽ ▽ ▽


俺達は村に帰ってきた。


前回から変わったのは小屋が何棟か出来ていたことと、みんなの来ている服が少し綺麗になっていた。

「とりあえずこいつは俺が使っている小屋に入れるぞ」

「頼んだ」

コングさんは首輪男を連れて行った。


「ユーサクはどうする?」

「うーん。なんかさっきの戦いでいろいろ思い付いたからユイのところに行くよ」

「わかった。俺は小屋を作ろうかな。飯は夜呼び出すからその時頼む」

「任せろ」

俺はユイ達の元へ向かった。


「姫―!」

ドン!

「痛ってーよ、ヒメ!」

「ヒューズくんが弱いのがいけないんだよ」

「くそ―。もう一回だ」

ヒューズくんがユイに投げられている衝撃的な場面を見てしまった。


俺に気付いたユイがヒューズくんを突き飛ばして俺の元へやってきた。

「ユーサク、大丈夫だった?」

「うん。心配しないで平気だからね」

「うん!」

ユイは笑顔は天使のようだったが、ヒューズくんを投げた姿が脳裏に浮かんだ。


「2人のスキルの使い方を思いついたんだけど、試してみてもいい?」

「本当か?じゃない。本当ですか?」

「ああ。まあ試してみないとわかんないんだけどね」

「「お願いします!」」

俺達は少し広いところに移動して、2人のスキルを試すことにした。


▽ ▽ ▽


「ふぅー。スキルの使い方がうまくいってよかったー」

俺はレッドホーミングのマスクをはずした。

「疲れたー。でもたぶんすぐに連絡来るんだろうな」


トゥントゥルルン♪トゥントゥルルン♪


タブレットが鳴った。

「早いなー」

俺は緑の受話器マークを押してビデオ通話にした。


ディスプレイにはユイが映っていた。

珍しく今回は室内にいた。


「ユイ、おつかれー。あれから2人はどうだった?」

「ユーサクに言われた練習をしてたよ」

「うまくいきそう?」

「うーん。うん!」

ユイは良くわかっていないようだが肯定してくれた。


「コータはおうち作ってるから、先に料理を送っててだって」

「わかった。ちょっと準備してくるよ」

俺はキッチンに向かい鍋でお湯を沸かした。


「ニョッキとか初めて茹でるぞ」

俺は買っていたニョッキを見ながらつぶやいた。


ベーコン・タマネギ・ニンニクを切って、フライパンでオリーブオイルと炒める。

トマト缶と赤ワインを加えて煮込む。

煮込んでいる間に、沸騰した鍋にニョッキを入れる。

トマトソースにバターとパセリと塩コショウを入れ、茹であがったニョッキを入れて軽くあえて、お皿に盛る。

粉チーズとパセリを振りかけて完成。

「思ったより時間かかったけど、うまそうにできたな」


俺は出来上がったトマトソースのニョッキをテーブルに置いた。

「なんか物足りないか?」

俺は急いでフランスパンをスライスして添えた。

「転送!」


テーブルの上のものが光ってなくなった。

カウントダウンが始まった。


「どう?届いた?」

「うん!届いたよー。おいしそー」

「これはパスタのニョッキって種類だよ。パスタはいろんな種類があるからまた今度食べさせるね」

「ありがとう、ユーサク」

俺がユイと話していると小屋のドアが開き、コータが入ってきた。


「おっ?ユーサク、これはなんだ?」

「ニョッキだよ」

「うわ!俺初めて食うかも」

「俺も初めて茹でたよ」

「カウントダウンはどんな感じ?」

「ほとんど進んでないから、まだ大丈夫そう」

「じゃあ食いながら話すか」

「わかった」

俺は自分の分のニョッキを持ってきた。


「じゃあ、いただきます」

「「いただきまーす」」

俺達は食事を始めた。


「ヒューズとリリアンの件はありがとな」

「ああ。あんな感じの有効活用しか思いつかなかったわ」

「いや、見たけど最高だったぞ」

「そうか?」

「ああ。スキルがレベルアップしたら、だいぶものになると思う」

「それならよかった」

「それにしてもこれ美味いな」

コータはニョッキを口に頬張っていた。


「そういえば、首輪男はどうなった?」

「まだ起きてこない」

「そっか」

「コングが身体を洗ってわかったんだけど、あいつ日本人じゃないみたい」

「え?まじ?」

「うん。顔付きが全然違った」

「起きても、会話するの大変そうだな」

「それは問題ないかな。『自動翻訳』と『共通言語』ってスキルを持ってたから、会話はできるはず」

「スキルって何でもありだな」

「本当にな。俺のスキルもなかなかだけど、コングのスキルもすごかったな」

「コングの戦いはだいぶ興奮した」

「俺もだよ。コングに聞いたら、味方の士気もあげる能力らしい」

「俺にもそのスキル効いてるの?」

「わからん」

コータの急に適当になるのやめてほしい。


「今後は、コングにヒューズ達の指導を任せようと思う」

「え?なんで?」

「小屋もそれなりに出来てきたし、あの体術見たら任せたくなるだろ」

「まあそうか」

「それに俺らが元の時代に戻ったら教えられなくなるしな」

「そういえばそうだった」


俺達は食事を終えた。

タイミングを見計らったようにディスプレイは真っ暗になった。


「また30分後か。早めに準備しとくか。米炊こう」

俺はキッチンへ向かった。




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