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20週目.サーロインステーキ

午前から外に出ていた。

仕事も昨日のうちに終わらせ、今日の料理の食材を買うために駅近くにある商店街に来ていた。


一昨日、コータから『メッセージ』が来ていた。


[今度の金曜日、ボスの階層を攻略しようぜ]

[え?ボスが居る階層に着いたの?]

[おう。だけどまだヤリネとユイには厳しそうだから、食料調達がてらダンジョン往復してレベル上げするつもり]

[わかった。じゃあ金曜日は力が付きそうな料理用意する!]

[よろしく!]

というやり取りをしたので、今日は気合を入れて料理を作るつもりだ。


まずは八百屋だ。

商店街は良く通るが、初めて利用する。

俺はジャガイモとインゲンとニンジンを購入した。


そして肉屋。

一番高いステーキ肉を探すと、米沢牛のサーロインがあった。

それを200g×7枚にカットしてもらい購入した。

買い過ぎかもしれないが、コータもユイは結構大食いだ。

それに最近はヤリネも大食いになってきた気がする。

俺は買い物を済ませ、家に帰った。


家に帰るとすぐに調理開始だ。

今日は夕方前に連絡が来る予定だ。

作るのはステーキと付け合せにマッシュポテトとインゲンとニンジンだ。

ステーキは下味をつけて、連絡が来たら焼き始めるつもりだ。


▽ ▽ ▽


トゥントゥルルン♪トゥントゥルルン♪


タブレットが鳴った。

「よーし」

俺は緑の受話器マークを押してビデオ通話にした。


「待ってたぞ!」

「おーすまん。いま最下層のひとつ前まで来た」

「なんかギリギリだったな」

「食料調達した後は、ユイとヤリネに全部戦わせたからな」

「大丈夫なのかよ」

「大丈夫だよ。たぶんびっくりするぞ」

「え?なにが?」

「2人の強さにだよ」

コータがそう言うと、ユイとヤリネがディスプレイに映った。

なんかたくましくなった気がする。


「ユーサク!」

「ユーサクさん!」

2人は半泣きだった。


「どうしたどうした?」

「コータがきびしい!」

「コータさんがやばいです!」

たくましくなってなかったようだ。


「でも2人共強くなったんだよね?」

「そうですけどー」

「なったよー」

「コータも2人に強くなってほしいから厳しくしたんだよ」

「うーん。わかってるけどー」

「わかってはいるんです。でも、コータさんの不満はユーサクさんしか聞いてくれないから」

やっぱり一緒に冒険をしているからか、不満を言えるくらい3人は仲良くなっているようだ。


「ユーサク!早くボス行きたいから、飯頼む!」

「わかったよ。今日はステーキだからちょっと焼いてくる」

俺はキッチンへ向かった。


俺はどんどんステーキを焼いていった。

いいお肉だからか、匂いだけで米が進みそうだ。

ステーキを皿に2枚ずつ盛り、マッシュポテトとインゲンとニンジンを添えた。

ネットのステーキソースランキング1位のソースをステーキを焼いたフライパンで温めて、ステーキにかける。

ご飯もしっかり大盛りだ。

ナイフとフォーク、飲み物をテーブルに置いた。

「転送!」


テーブルの上の物は光って消えた。

そしてカウントダウンが始まった。


「うわー!うまそー」

コータはテンションが上がっている。


「米沢牛だから絶対うまいぞ。高かったんだからな」

「楽しみだ!」

コータもテンションが上がっていたが、もう1人テンションが上がっている奴がいた。

「ユーサクさん!ユーサクさん!これは牛肉ですか?牛肉ですよね?」

「そうだよ。なかなか高級なものだから、味わえよ」

「はい!」

「じゃあ食うぞ。いただきます!」

「「いただきます!」」

3人はステーキを食べ始めた。


「えーやわらかい!本当にお肉?」

「うまいなー。それにソースも最高だ」

「牛肉うまい。牛肉うまい」

3人は美味しそうに食べていた。


「コータ!この後『ゲーム』で呼んでくれるんだよな?」

「そのつもり!」

「じゃあ俺もステーキ食うから、1時間後くらいで」

「わかった。それぐらいなら料理の効果も切れないと思う」

「頼んだ!」

ディスプレイは暗くなった。


俺はすぐに自分のステーキの準備をした。


▽ ▽ ▽


タッタラー♪ダン!ダン!タッタラ―♪ダン!ダン!


音楽が部屋に鳴り響いた。

「なんか緊張するなー」

俺はタブレットを持ち、【スタート】をタップした。

[10秒後プレイ画面に移行します。プレイ時間は1時間。それでは良いバトルを]とディスプレイに表示された。

カウントが進んで0になると、スマホのバトロワゲームのような画面に切り替わった。


ディスプレイには準備万端な3人が映った。

「ユーサク。準備はいいか?」

「ああ。いつでも」

「よし行くぞ!」

「「「おー!」」」

俺達は最下層に向かった。

最下層は他の階層と同じような砂漠だ。


「ここには何が居るんだ?」

「『鑑定』で見たら、キングサンドシャークっていうやつだ。デカいし早いし砂の中泳いでいるから気をつけてくれ」

「「はい!」」


俺達は砂漠を進んでいく。

すると突然地面が揺れ始めた。

「下から来るぞ!避けろ!」

グワァァアアアア!

口を大きく開けたキングサンドシャークが現れた。

避けようと思ったが間に合わず、ディスプレイは真っ暗になった。


「え?これってやられたってこと?」

タブレットを見るが、『ゲーム』の画面のままだ。


「あれ?もしかして?」

俺はボタンを押して目線を動かすと、ほんのり何かが見えたりした。

「食われたのか?え?これってよくある勝ち確パターンじゃない?」


俺はスペシャル技のボタンをタップする。

すると画面が小刻みに揺れ始めた。

「デスホーミング!」

ディスプレイからレッドホーミングの声が聞こえる。

弾丸は暗闇に飛んで行った。


俺は間髪入れずに、スペシャル技をタップした。

「デスホーミング!」

「デスホーミング!」

「デスホーミング!」

前回の戦闘で溜まっていたスペシャル技をすべて使った。

銃弾はボスの身体の中で跳弾しているみたいで、生々しい音が聞こえてくる。


「これって食べられたと思ったやつが、腹の中から攻撃して倒しちゃいましたのやつだな」

俺は跳弾し続ける弾丸の音を聞きながら時間をつぶした。


10分ほど経った。

音が少なくなった。

弾丸の1つが跳弾せずに埋まってしまったんだと思う。

「うーん。まだかなー。てかコータは助けに来ないのか?」


待つのも暇になったので弾丸のボタンをタップして、一カ所を攻撃し続けた。

バシュン!

バシュン!

バシュン!

バシュン!

「さすがに穴は開かないかー」


バシュン!

バシュン!

バシュン!

バシュン!

「こんなに頑丈なのかー」

俺は撃ち続けた。


食われてから45分経った。

そろそろ『ゲーム』の時間切れだ。

跳弾する弾丸も残り少ないはずだ。


俺はいろんなところを撃ち続けたが全然倒せない。

「はぁー。倒すのはコータに任せるか。なんか思ってた戦いと違ったなー」

俺がそういうとディスプレイが明るくなった。

キングサンドシャークは倒されて消滅したようだ。


「ユーサク!」

「ユーサクさん!」

俺に走って向かって来る2人の姿が見えた。

しょっぱな食べられたせいで心配をかけたようだ。


「ごめんごめん!」

2人に無事なことを伝えようとしたが、様子がおかしい。


「ユーサク!何で倒しちゃうの?」

「私達も戦いたかったのに!」

「え?」

2人に詰め寄られる俺を見ながら、コータは爆笑していた。


「え?俺が倒したの?」

「そーだよ!」

「私達1撃も入れてないですよ」

「まじ?」

2人は不満そうな顔をしている。


「ははははは!マジで面白い」

コータが笑いながらやってきた。

「何が起きたんだよ?」

「ユーサクが食われてから、キングサンドシャークは砂の上でずーっとのたうち回ってたんだよ」

「内側からの攻撃が効いていたのか」

「最初はユイもヤリネも距離を取って警戒してたんだけど、さすがに30分経ったあたりで座り込んでた」

「あーやっちゃった」

「ユーサクは本当に最高だよ」

コータはずーっと爆笑していた。


俺が2人に弁明をしようとしたら、画面が切り替わった。

[ゲームが終了しました。キル数1]と表示された。


そして[ダンジョンボスを討伐したので弾の種類を増やせます。次回ログイン時に選択してください]と表示された。


「え?」

弾の種類が増えるのはうれしかったが今はそんなことどうでもよかった。


俺はすぐに『メッセージ』でユイとヤリネへの謝罪文を書いて送信した。




別作品の投稿もしています。

一緒に読んでもらえると、本作が少し面白くなると思います。

良ければ読んでください。

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