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18週目.肉まんあんまんラー油まん

今日は横浜での撮影の前乗りだ。

撮影は数日あるが、ちゃんと金曜日を外しておいた。


「家が東京なのに横浜で泊まりとか・・・。朝早くて夜遅くまでのスケジュールどうにかならないかな」

俺はノートパソコンなどの仕事道具をバックに詰め込んでいく。

「あー辛い物って縛りが無ければ、シュウマイとか買って食べさせてあげたのにな。さすがに次の週まで持たないよな」


昨日『メッセージ』でやり取りをしたが、コータと俺の時間がずれているせいか話がかみ合わない点が多かった。

だいぶバグっているみたいだ。


▽ ▽ ▽


昼過ぎに家を出て、俺は電車に乗って横浜に向かった。

「やっぱり家で仕事するのが一番だな」


数分電車に乗り、横浜に到着した。

仕事仲間が取ってくれたビジネスホテルにチェックインをして、ベッドに横になった。

「夜、みんなで飯食べる流れになるよなー。それまで何しよう」

俺はいろいろスマホで調べて、横浜中華街をぶらつくことにした。

「なんか賞味期限長いのが売ってたら買うか」

俺はホテルの部屋を出た。


横浜中華街は久々に来た。

大学時代はドライブと言って、高校時代からの親友達とよく来ていた。


「どうせスタッフと夜飲むことになるから、それまで軽く食べ歩きするか」

俺はぶらぶらして良さそうな店を探した。

日曜日だからか人が多くて歩きづらい。



トゥントゥルルン♪トゥントゥルルン♪


タブレットが鳴った。

「ん、なんで?」

俺は緑の受話器マークを押してビデオ通話にした。


「え?なんで?」

「なんでってどういうこと?」

コータはきょとんとしている


「いや、今日日曜日だよ?」

「え?こっちは金曜の朝。一週間経ってるぞ」

「まじ?」

コータがタブレットを動かして、周りを見せてくれた。

木ばっかりだった場所は伐採され、丘の上には不細工な小屋が出来ていた。


「え?小屋もっと頑張れなかった?」

「だって小屋の相談しても返信が遅いから」

「あーだいぶ時間がズレてるんだね」

「そうかも。てか家に居ないんだな」

「仕事で横浜に居るよ」

「まじ?じゃあ簡単なやつでいいから、辛そうなもの送ってくれよ!」

「あーそうか。1週間経ったってことは、今日火山行くってことだよな。ちょっと探してみる」


俺は人ごみの中を歩き、なんとかなりそうな店を見つけた。

「すみません。肉まん6個とあんまん4個とラー油まん6個おねがいします」

店員さんは驚いていたが、すぐに包んでくれた。


「ちょっとここで転送するのはあれだから、ホテルに戻るぞ」

「わかった」

俺は急いでホテルに向かった。


「何で通話してる時はバグらないんだろうな」

「うーん。わからん」

「まあスキルの力ってこと?」

「たぶん。それかクソ女神がなんかしてるかだな」

「うわーそれなら細部まで調整してない理由が納得できるわ」

話していると、ホテルに到着した。


すぐに部屋に入り、肉まんなどをベッドの上に置いた。

「転送!」


ベッドの上のものが光ってなくなった。

そしてカウントダウンが始まった。


「とりあえず、辛い物はラー油まんってやつを買った。ユイには辛すぎるかもしれないから無理させるなよ」

「わかってるよ」

「肉まんとあんまんもそれなりに買ったから食ってくれ」

「ありがとう」

「すぐに『ゲーム』で呼んでくれたら、対応できるから!」

「わかった!」

ディスプレイは暗くなった。

「やっぱ早いな。それですぐ来るんだろ?」


タッタラー♪ダン!ダン!タッタラ―♪ダン!ダン!


音楽が部屋に鳴り響いた。

「やっぱりね」


俺はタブレットを持ち、【スタート】をタップした。

[10秒後プレイ画面に移行します。プレイ時間は1時間。それでは良いバトルを]とディスプレイに表示された。

カウントが進んで0になると、スマホのバトロワゲームのような画面に切り替わった。


「ユーサク!辛いのおいしかったよ」

ディスプレイにはユイが映っていた。

「そうか。本当にユイは辛いの得意なんだね」

「うん!おいしかった」

ニコニコしているから本当に美味しかったのだろう。


「ユーサク。時間が短いから今日は特に頼むことはない。今から火山に行くから、一週間の成果でも見てくれ」

「わかった。見て回るよ」

俺はタブレットを操作した。


コータが作った小屋はお世辞にも綺麗とは言えないものだった。

ただ立地は最高だった。

少し小高い場所に小屋はあり、ちょっと歩けば砂浜に行ける場所だった。


「ユイ、ここ数日は何を食べたの?」

「釣りをしたんだけど全然釣れなかったの。だからコータが海に入っていっぱい魚を捕まえた」

「それを食べたんだ」

「うん!」

画面が切り替わった。

[ゲームが終了しました。キル数0]と表示された。


「早すぎる!バグり散らかしてるな!」

俺はホテルのベットに倒れこんだ。


「この感じだと、次に連絡来るのは火曜とか水曜になるだろ。まだホテル生活中だぞ」

俺は時間バグの対応策を考えた。


「よし。とりあえずもう一回中華街とか言って、保存効きそうなやつは買っておこう」

俺は再びホテルを出た。


『メッセージ』があって本当に良かった。

なかったら、金曜日には家に帰る予定だからタブレットは置いていっていた。


俺は中華街や駅の方をぶらぶらして、送れそうなものを探して歩いた。




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