18週目.喫茶店のカツサンド
ここ数日、毎日コータと『メッセージ』でやり取りしていた。
仕事が相変わらずバタバタしているが、文章で残ってくれるのがだいぶありがたい。
俺が返信遅い時は、ユイの可愛い写真を送ってくる。
やり取りの制限があるのにふざけんなと思うが、ユイの可愛さで許してしまう。
タイムトラベルまでの流れはしっかり話した。
金曜日の朝、ユイが起きる前に女神に来てもらってタイムトラベルしてもらい、到着したら俺が呼ばれる流れだ。
何が起きるかわからないから、朝から俺の飯の力を入れておきたいらしい。
俺はいつもより早く起きて、朝からオープンしている喫茶店でサンドイッチとコーヒーとココアを用意した。
ほとんど眠ってないが、タイムトラベルという想像が付かないことなので、出来るだけ対処できるようにしたかった。
トゥントゥルルン♪トゥントゥルルン♪
タブレットが鳴った。
「あーやば!」
俺は緑の受話器マークを押してビデオ通話にした。
「コータ。そっちは平気か?」
「ああ。なんかよくわからない島に付いた」
「え?」
ディスプレイをよく見てみると海が見えた。
「人はいるの?」
「うーん。俺の検知には引っかからないが、魔力がえげつないモンスターがあそこにいるみたいだ」
コータが見せてくれた方向には大きな山があった。
「山?」
「ああ。たぶん火山だ」
コータは自信満々にそういった。
クシカ♪クシカ♪
タブレットから奇妙な音が鳴った。
これは『メッセージ』の通知音だ。
女神が設定したのか、変更ができない。
「うわ。女神から指示が来てる」
「俺も見てみるわ」
[クシカーロちゃんからのお願い。
まずはその島での生活拠点を作って!簡単な小屋とかがいいかな?約一か月はこの島で生活するから、釣りとかやってみよー!
拠点ができたら、ユイちゃんと一緒に火山に向かおう!そこにいるモンスターと仲良くなってもらい、いろいろと教えてあげよう。詳しくは僕のかわいい写真といっしょにコータに個チャしといたからね!
とりあえずはそんなところかな?ユーサクはご飯を宜しく!ちなみに火山に行く前に辛い物を食べさせた方がいいかもね!]
俺は『メッセージ』を閉じた。
「辛い物か」
「ユーサクの飯を食ってから火山に行った方がいいってことは、来週までは生活拠点を作る方がいいのか、俺そういうセンスないんだけど」
「『メッセージ』で相談には乗ってやるから」
「頼む!」
コータが不器用な男だったことを思い出した。
「んん。んー」
ユイが起きたようだ。
「「おはよう」」
「んーおはよー。え?ユーサクがいる!」
驚いたのか、すぐに目が覚めたようだ。
「なんでなんで?」
「えーっと今日は朝ごはんを頼まれたんだ」
「そーなんだ。ここは?」
ユイはきょろきょろあたりを見回した。
コータはその様子を見て、喋りだした。
「ここには依頼できたんだ」
「冒険者の?」
ユイは依頼と聞くと目を輝かせた。
「そう。この島で何日かいろいろやらないといけないんだけど、ユイも手伝ってくれるか?」
「うん!手伝う!」
ユイはニコニコだった。
「じゃあまずは、ユーサクの飯を食べちゃおう」
「うん!」
「わかった、ちょっと待ってて!」
俺はテーブルに買ってきたサンドイッチとコーヒーとココアをテーブルに置いた。
「転送!」
テーブルの上のものが光ってなくなった。
そしてカウントダウンが始まった。
「今日は気合を入れるためにカツサンドだ」
「最高だよ!」
「コータはコーヒーでユイはココアね」
「ココア?」
ユイは首をかしげた。
「甘い飲み物だから楽しみにしてて」
「うん!」
「よし。すぐ食べよう。いただきます!」
「いただきまーす」
2人はカツサンドを食べ始めた。
「ユーサク。食べ終わったらすぐ呼ぶから、『ゲーム』の準備しといてくれ」
「わかった。島の探索だよな」
「うん。そのつもり」
コータとユイの食事風景を見ていると、ディスプレイは暗くなった。
「え?早くない?」
俺はいつもよりカウントダウンが早いように感じてびっくりした。
「じゃあ俺も飯食べちゃうかな」
タッタラー♪ダン!ダン!タッタラ―♪ダン!ダン!
音楽が部屋に鳴り響いた。
「食べるの早いな!結構な量あったはずなんだが」
俺はタブレットを持ち、【スタート】をタップした。
[10秒後プレイ画面に移行します。プレイ時間は1時間。それでは良いバトルを]とディスプレイに表示された。
カウントが進んで0になると、スマホのバトロワゲームのような画面に切り替わった。
「ユーサク、カツサンド美味かったぞ」
「おいしかったー」
「2人共、食べるの早いな」
「そうか?普通だぞ?」
コータは異世界でだいぶ早食いになったようだ。
「じゃあユイは俺と一緒に生活できそうな場所を見つけて、木を伐採だ」
「はい!」
「ユーサクは島の探索をしてくれ」
「了解!」
俺はタブレットを操作して、島の探索に向かった。
「なんか完全に無人島だな。モンスターも全然いないし」
自然豊かなで、海がものすごく綺麗だった。
「あーこんなところ住みたいな。海も見たことない魚泳いでるし」
見たこともない魚が泳いでる姿が見えるほど、澄んだ海だった。
「女神のお願いにも関係ある火山の方にもいくか」
俺はタブレットを操作して火山に向かおうとしたが、画面が切り替わった。
[ゲームが終了しました。キル数0]と表示された。
「え?早くない?15分くらいしか経ってないはずだけど」
俺はすぐに『メッセージ』でコータに連絡を入れた。
「ごめん。なんか『ゲーム』が15分くらいで終了した。全然探索できなかった」
[そうだったのか、帰ってこないからビックリしたよ!了解!]
とりあえずコータに連絡が出来て安心した。
クシカ♪クシカ♪
不快な着信音が鳴った。
『メッセージ』を開くと、グループチャットに女神が文章を送っていた。
[言い忘れてたけど前にいた時代よりだいぶ昔に来てるから、ユーサクの時間とコータの時間がズレてていろいろ不具合起きるかも!今2人のやり取りを見て思い出したわけじゃないよー]
ドジ女神がやらかしやがった。
色々と時間が短いと感じた理由がわかった。
クシカ♪クシカ♪
不快な着信音が鳴った。
[お前、次会ったら顔面殴るから覚悟しとけよドジ女神]
クシカ♪クシカ♪
女神はなぜかある女神オリジナルスタンプで「ごめん」と言っていた。
「とりあえず俺がやれることはこれで終わりか」
俺はパソコンに座り、ユイでも食べれそうな辛い物を探し始めた。




