大脱走!
どうしてこんな所に……
俺は今、鉄の檻の中に居る。この檻は変わっている。出入口は俺の真上、天井に有る。今は鍵が掛かっている。いわゆる密室だ。
看守の目は厳しい。俺が脱走しようとすると、すぐに見付けて連れ戻す。しかし、俺は諦めない。
ここは、寝床もトイレも布団も有る。食べ物だって、充分には有る。今はチャンスを待ちながら、体力を温存するに限る。しっかりと飯でも食ってと……
今日はチャンスが無い様だ。しかし、俺は諦めない。
翌日、出入口が開いている。チャンスだ。周りを確認して……どうやら、今なら大丈夫の様だ。よし、今しかない。
俺は必死に檻を登り、何とか脱出した。檻から飛び降り、急いで俺は物陰に隠れた。
少しすると看守が2人、俺が居ない事に気が付いたらしい。隙を見て逃げないと……やばい、看守の1人と目が合った。巨人の様に大きな看守の手が俺を掴む。辞めろ、辞めてくれ~………………
「ま~た逃げたして、この子は!」
「脱走が得意だよね、ミスター冒険野郎!」
俺の名前は[とん助]、何よりも自由を愛するハムスターだ。他人は俺を、冒険野郎と呼ぶ。
冒険野郎の話……