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06.いざ異世界へ

 「ちょ、ちょっとあなたなに言っているの?」



 カルナが驚き、戸惑いの表情を見せる。



 「うるせぇ! そもそもお前がはやく迎えに来てくればタバコなんて吸ってなかったし、ポイントを使うことなんてなかったんだよ!」



 「こっちだって遅れたくて遅れたわけじゃなくて、色々とすることがあったのよ!」



 「じゃあ、なにをしてたんだよ!?」



 「それは手続きを終えた後に身だしなみを整えて。ひ、ひと段落したからちょっとだけ仮眠しようと思ったら寝過ごして」



 「寝過ごしただぁ?」



 俺がキレ気味に聴くと、ビクッとしながらカルナは反論してきた。



 「だって、疲れてたんだもん! それに寝癖がひどくて。シャワー浴びて、もう1回身だしなみ整えないとならなくて……」



 「その時間のせいで俺はスキルポイント使ってしまったんだよ!」



 「こ、これでもいつもより急いだほうなのよ! 頑張ったんだから!」



 寝過ごした上に朝シャンなんて舐めてやがる。

 俺が説教しようとした瞬間、空間の管理人からの返事があった。



 「代償を玄武の秘宝で了承しました。玄武の秘宝を速やかにお渡しください」



 「だめ! だめよ! 絶対に渡さないんだから」



 「時間がありません。抵抗するなら無理やり奪い取ります。」



 「いやぁぁぁぁ!」



 カルナの着ていた服が光の粒子となり、彼女の頭上で1つに集まる。

 集まった光の粒子はやがてエメラルドのような色の球体になった。おそらくこの球体が玄武の秘宝の元々の姿なのだろう。

 空間に穴が空き、玄武の秘宝は吸い込まれていった。



  「玄武の秘宝を代償にスキルを授けることに、成功しました」



 「私の大切な玄武の秘宝がぁ……」



 変身が解けたダル着の姿で、この世の終わりのような顔で泣くカルナを見ていると、自分がやったことだが少し可哀想に思えてきた。



 「カルナ、元気出せよ。俺頑張るからさ」



 「これで、異世界を救えなかった末代まで呪ってやる……」



 カルナが鬼の形相でこちらを見ながらそう言った。

 女神が呪いって……

 なんてことは思ったが口にはしないでおこう。ほんとうに呪われそうだ。


 

 「いつまで空間に居座るつもりですか。この空間はあなた達のものだけではありません。はやくG Padで行き先を選択してワープしてください」



 空間の管理人が冷たい口調で言ってきた。



 「わかったわよ! 行き先を選択すればいいんでしょ!」



 カルナは半ギレの状態でG Padを俺から取り上げ、操作をしはじめた。

 本当に異世界へいくのか……アニメやゲームの常識では、初心者向けの町に行くはずだよな。ん? G Padで選択……操作しているのは女神カルナ……カルナは機械音痴……まずい!!



 「おい、ちょっと待て! 機械音痴のお前が扱ったらちゃんとしたところに行くかわから……」



 気づいたときには遅かった。

 カルナは涙目でこちらを見ている。涙目になるくらいなら操作の仕方がわからないときは相談しろよ……

 俺とカルナの体が光りはじめる。



 「終焉の大地へワープを開始します」



 そう空間の管理人が言い残し、俺たち2人はワープした。

 終わった……と思い、目を瞑った。────目を開けると、目の前に広がる光景に絶望するのであった。

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