05.女神への復讐
カルナは驚愕した表情でこちらを見ながら言った。
「ケ、ケーゴ? も、もしかしてだけどスキルポイント使ったの?」
何を言っているんだ? カルナが来るまでなにもしていないぞ。
俺はカルナがこの空間に来るまでの間、ここで起こった出来事を説明した。
「まとめると、タバコが吸いたくなってボソッと呟いたら出てきたから、そのままビールとかその他諸々出したってわけね」
「ねぇケーゴ? さっき聞こえてきた声、その時にしなかった?」
顔をひきつらせながらカルナは問いかけてきた。
酒を飲んであやふやになった記憶を辿ってみる。そういえば、なにか聞こえたような……あっ。
「最後の物を出したときに、 …………イ…ト…ゼ……な……した って聞こえたけど、途切れ途切れで意味がわかんなかったからそのまま寝た」*2話参照
「ケーゴのバカァ!!!!」
とんでもない声量で怒鳴りつけられた。耳がキーンとなる。続けてカルナは話す。
「ここの空間でなにかをもらうときは、なにかしらの代償が必要なのよ!」
「ケーゴの場合、転生特典で貰えるはずの大量のスキルポイントがその代償になってるわけ!」
「それからその謎の声っていうのはこの空間の管理人の声で、きっとその時はスキルポイントがゼロになりましたって言ったのよ!」
「転生特典で貰えるスキルポイントは10万もあったのよ!? どう使ったら0になるの!?」
ヘナヘナと膝をついて、涙目になりながらカルナは頭を抱える。
「もう……どうするのよぉ〜!」
完全に俺はやらかしたらしい。なにか打開策を考えなければ……
しばらく考えていると、1つだけ案を思いついた。
「なぁカルナ、なにかしらの代償があればいいんだよな?」
「ぐすっ、そうだけど?」
「わかった。俺に考えがある」
俺がそういうと、涙を拭いながらカルナが立ち上がった。
「ほんとに!? それでいい考えって?」
「まずはどれぐらいのスキルポイントで、なんのスキルが貰えるのかを知りたいんだが……カルナわかるか?」
「わかるけど、それでどうするの?」
「いいからはやく!」
「わかったわよ。ちょっと待ってね、今調べるから」
わかってないじゃないか。と呆れていたが、次の瞬間、カルナの手の上にタブレットらしきものが現れた。それをおもむろに操作をしはじめた。
「おい、それはなんだ?」
「これは、神様専用タブレットのGodPad。通称G Padよ! 待ってね、確認しているから。」
────カルナがG Padを扱いはじめて、10数分たたった。その間、黙って操作しているところを観察していたが、だいぶたどたどしい。もしかしてこいつ機械音痴なのか?
「なぁカルナまだか?」
「ちょ、ちょっと今集中してるから話しかけないでよ!」
こいつはほんとに人を呆れさせるのが得意だな。
俺はG Padなるものを無言で奪った。
「お前機械音痴だろ! 俺に任せろって」
「き、機械音痴なんかじゃないし! だいたいね、G Padは神様以外扱ったらダメな代物なのよ!」
その神様が機械音痴で扱えなかったら意味ないだろ。と思ったが、横でグタグタ言っている女神を無視してG Padを操作する。
ホーム画面に戻ると画面右上のほうにあるアプリのようなものに、スキル一覧という項目がある。
それを開いてみると、スキルの種類とその消費スキルポイントがずらっと記してあった。
こんなにスキルってたくさんあるのか。と思っていると赤文字で書いてあるスキルが何個かある。
その中に、まさに俺にぴったりだというスキルがあった。これに決めよう。
「それはそうとカルナ。お前その格好似合ってるな! それはそれは価値があるものなんだろ?」
「当たり前よ! これは私が女神見習いだった頃にお世話になった憧れの女神様から、ひとり立ちするときにお祝いとして貰った服なの」
「玄武の秘宝でできてる世界にたった1つしかないものよ。一緒に見習いだった私意外の3人にも特別なものを与えられたわ……はぁ、あの頃に戻りたい」
カルナが思い出に浸っているとこ悪いが、俺の案に乗った時点でお前の負けだ。
俺はニヤリとしながらこう叫んだ。
「玄武の秘宝を代償に、俺にこのスキルをくださーい!」