03.衝撃の事実
「……………て! ……ゴさん! 起きてください!! 」
誰かが呼ぶ声がする。この声、聞いたことがあるような気がする。誰だっけ?
いや、気のせいだろう。俺はまた眠りにつく。
「ケーゴさん!! 二度寝している場合じゃありません!! 起きてください!!」
!?
俺はハッとして飛び起きた。この声は……!
寝起きでボヤける視界がハッキリとしたところで、恐る恐る顔を上げた。
「カルナ!? なんでカルナがここにいるんだ!?」
何故かそこには、腕を組み、仁王立ちしているカルナがいた。しかも、コスプレのような変な格好をしている。彼女は腹を立てながら口を開いた。
「順をおって説明するわね。実は私、異世界から来た女神なの」
「そして、ここは世界と世界を結んでいる空間」
「私が担当する世界は魔王に侵略されて、滅びそうになっているの。だから違う世界にいる人を転生させて、転生特典によって貰えるチートスキルで救ってもらおうって思っていたのよ」
は? 彼女は何を言っているんだ? 違う世界? 女神? 魔王?
そんなのアニメやゲームだけの話だろ?
俺が戸惑っていると、カルナは続けてこう話した。
「私は世界を救えるような人を見つけてはスカウトしまくった。 でもみんな変な宗教なんかを疑って、逃げて行ったわ」
「そこで私は一生懸命あなたの住んでいる世界を調べた。そしたら日本人は異世界転生の知識がやたら豊富と知ったの」
「それから身近な人の関係者を信用しやすいってこともね」
「だから私は、上京した人が集まりやすい安いアパートの管理人。その家族になることにしたの」
なることにした? どういう意味だ?
その意味を彼女は話してくれた。
「まず管理人のトメさんの記憶を書き換えたの。愛らしい孫って記憶にね」
「あなたが住んでいた世界の神様と約束した期限が迫っていたし、正直なところ転生させたら転生特典のスキルポイントでどっちみちチートになる訳だから、もう誰でもいいって思っていたの……」
「そんな時に、出会ったのよ! 目が死んでいて、この世に何も未練がなさそうな人に! それがケーゴさん……いや、今は女神の立場だから呼び捨てで呼ばせてもらうわ! ケーゴに!!」
いーや、待て待て待て待て。この人今、目を輝せながら誰でもいいって言わなかった? しかも俺の目が死んでいる? 未練が無さそう?
めちゃくちゃあるわ!! まだ芸人として売れてなかったし、彼女も出来たことなかったし、まだ俺のムスコに仕事させてないし!
「だから私は5年間我慢して、ケーゴに信用されるように頑張ったわ。あなたが持っていた大人な本に書いてある清楚系女子? って感じでね!」
なるほど。俺は確かにゾッコンだった……っておい! なんで持っていた大人な本の場所を知っているんだよ! 結構わからないような場所に隠していたぞ!
大人の本を見られた挙句、俺の好みを知られているなんて……
俺はだんだん恥ずかしくなり、顔を両手で覆った。
チラッとカルナの方を見ると、なぜかモジモジしている。
不思議に思い、話しかけてみた。
「カルナ、なんでお前がモジモジしているんだ?」
「もしかして、大人の本のことを思い出したとか……」
「ち、ちがうわよ!!」
「じ、実はね。ほんとに言いづらいんだけど、転生させるためには……」
彼女が話した内容はとんでもないものだった。