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裸の騎士様  作者: 叶 葉
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「どうぞ、こちらです 」


シモンに案内され、レオン達は二階の三つ並んだ客室に案内された。

簡単に荷ほどきを終えたところで部屋の扉をノックされた。

「レオン、ちょっといいか?」

扉を開けるとトワイスが酒瓶片手にいた。

「明日も早いのに、呑むのか?」

「だからだよ」

「本当に好きだなあ」

呆れつつも部屋に招き入れるとトワイスは椅子に座る。

「シリウスは?」

レオンが尋ねると首を振る。

「断られた。酒の席に女がいないなら呑まないと言われたぞ」

「相変わらずだな、あの男は」

「ああ。相変わらずだ。だけど、いつもと変わらずに居てくれると安心するな」

「そうだな。大分女癖は悪いが、シリウスの剣の腕は確かだ」

「悔しいが、一対一じゃ勝てた試しがないぞ」

「トワイスも充分強いが、あいつは別格だ」

トワイスは木のカップに並々とルビーレッドの酒を注ぎ、片方をレオンに差し出した。

「しかし、明日は気を引き締めていかねばならん」

レオンが一口呑んで仕切り直しをするように言う。

「そうだな。三国間の均衡が崩れたら戦争は免れないからな」

「しかし、妙だと思わないか?」

トワイスがカップを見つめる。

「ああ、妙だ。何か嫌な予感もする。わざわざこちらに誘い出された様な気がする。王都で何も起こらなければいいが……」

レオンは言い知れぬ予感を感じた。

その時、レオンの与えられた客室の扉が乱暴に開かれた。


「すまない!図られた。奴らの狙いは王都であった」


顔面を蒼白にしたカイゼル王子がそう言った。



レオンの脳裏には、あの日のリサが浮かんだ。












「カイゼル王子、どう言う事ですか?!」


トワイスがシリウスを呼びに行き、カイゼルからやや遅れて来たシモンの後から続いて二人がレオンの部屋に入室した。


「私の所に一月ほど前に辺境伯の国境沿いの他国との争いに増援を反対していた一派のローラン侯爵が訪れた。その際に、他国と協力し、辺境伯の領地を削ごうと持ちかけられたのだ。辺境伯は確かに縦に長く領地を持っているからこの王国内での力は絶大だ。私兵の数も多い。しかし、領地自体は痩せた土地が多く、辺境伯の国境沿いでの功績により支えられている所がある。手にしたとしても余り旨味は無い土地だ。しかし、反対派の貴族らはそもそも王国側が辺境伯に便宜を図る事を良しとはしていなかった。そこを他国に唆されたのだろうと私は判断したのだ。他国からすれば、強靭な守りの辺境伯と、王国との間に亀裂が入れば攻めやすいからな。そこで目を付けられたのが私だ。廃嫡された私を操って王国側に打撃を与える機会を作ろうと考えたのだろうと。明日はその他国の使者とローラン侯爵との会談の予定だった。事態を暴き、捕らえてしまおうと三人を呼んだ。しかし、それは私の早計だった。手薄にしてしまった王都に、忍び込んでいた他国の兵とローラン侯爵含む複数の反対派の貴族の私兵が反旗を翻した。今、辺境伯の領地と、こちらに大部分の兵を配備している。かなり不味い事になってしまった」

カイゼルはいつもの嫌味な笑みを引っ込め顔面を僅かに蒼くさせ、額の辺りから汗を垂らしていた。

幽かに瞼が痙攣している。

レオンはカイゼルの言葉を聞いて立ち上がる。

「レオン!どうするつもりだ」

シリウスが叫ぶ。

「シリウス、トワイス、辺境伯領に急ぎ行ってくれ。兵を可能な限り集め、王都に行くのだ。俺は今、この地にいる防衛に必要な数以外を連れて王都へ向かう」

レオンの言葉に僅かに沈黙が走る。

「レオン、死にに行く様なものだぞ!ここから出せる兵も良くて四十否、精々三十騎が限界だぞ」

カイゼルがレオンを諌めた。

「騎士をしている限り戦場で死ぬ事もありましょう。しかし、姫や王は志し半ばで亡くなって良い方達ではありません。勿論、カイゼル王子、貴方も」

カイゼルは何か言おうとしたが、言葉が繋げなかった。

「王都や王城に住まう者たちもそうです。俺は、この身を捧げましょう」

レオンがそう言うと、部屋の扉が開いた。


「話は聞かせてもらいました」


「ジュリエット!」

そこにはカイゼルの第一妃、ジュリエット並びに第二妃、第三妃が居た。


「貴方、私達も、貴方と共にあると決めた時から覚悟は出来ています。この屋敷に住まう下働きからメイドまで総てカイゼル王子、貴方に救われた者ばかりです。他国が攻めてくるかも分からないここに兵士は不要!総てそこの騎士に託しましょう。カイゼル王子、シモンを連れて全兵で王都に向かってくださいまし」

忽然とした態度で妃達は言った。

「しかし、何かあったらお前達が」

「女を舐めて貰っては困ります。いざとなったらこの身体を使ってでも籠絡致しますから、ご心配無く。それとも、そんな事をしてしまった私達を穢らわしいと、お捨てになりますか?」

妃が挑戦的な視線を送ると、カイゼルは呆気に取られた後に、くくっと笑った。




「全兵に告ぐ。目指すは王都だ!」





その日の夜半、カイゼルの私兵、並びに王都から援軍に来ていた兵、総勢65騎を連れてレオンとカイゼル、そしてシモンは王都へ向けて出発した。

シリウスとトワイスは王都とは真逆の辺境伯領に向かう事となる。




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