はじまり
素人なので温かい目で見ていただければ幸いです
「今日暑すぎだろ…」
最近のフェーン現象やらエルニーニョ現象やらのおかげで9月中旬にかかわらず日本全国が最高気温を更新している中、千葉県にある、とあるテーマパークのベンチに1人座りながらそう呟く少年がいた。
「こんなに暑いのに人いすぎでしょ」
修学旅行の日程の都合で一番混むであろう日曜日に来てしまい、地元ではあり得ない人混みに気持ち悪くなって顔はげっそりとしていた。
「早く帰りてぇ…」
元々、彼は修学旅行には行きたくなかった。何故なら彼には友達がいないからである。別に全くいない訳ではない幼馴染で友達と言える唯一の存在はいるが、自分とは違う高校に進学をしてしまったからだ。
自分は将来のことなど全然考えずに通勤が楽だからという理由と勉強をしたくなかったという理由であまり学力良くない学校に推薦で入学をしたが、彼の幼馴染は将来のことをしっかりと考えており、進学に強い私立の高校に入学した。幼馴染とは今でも時々カラオケやご飯を食べに行ったりするが修学旅行にはついて来るはずがなかった。
話が脱線してしまったが、ここまでは友達が1人はいるという話だ。今この修学旅行中に一緒にまわる人がいないのはどうしてかという話に戻す。
その理由はクジなどで決めて班をつくるのではなく自由なメンバーで遊べという有り難い先生達からのお達しによってである。
高校に入って友達の作れなかった者には一人でいろと言っているに等しい。そして彼はどこのグループにも入れず一人でパーク内をぐるぐると回っていた。これが乗り物とかが好きなら良かったのだが(学生服の男子が一人で乗っているのも悲惨だが)絶叫アトラクションは全般ダメ(小さい頃メリーゴーランドしか乗らなくて父親に怒られたことがある)そんな彼は涼を求めてお店の中に入っていたりもしたのだが先程も言った通り人が多すぎて出てきてしまったのである。
そして今現在、彼は日陰のあるベンチに一人座っていたのだ。
「あー…死にそう…」
座っているだけでも汗がジワリと出てくる。熱中症になりかねないので冷感グッズとスポーツドリンク五百ml三本を事前に買っておいて良かったと思いながらリュックの中から飲みかけのペットボトルを取り出す。中身はすでにぬるくなっており4分の1くらいしか残っていなかったので一気に飲み干し
「はあ。早くエアコンのついたお家に帰りたいよ…」
そういいながら数分前にトイレで濡らしてきた冷感タオルを首にかけ、胸ポケットにしまっていたスマホを取り出してスマホゲームをしだした。彼は今日一日をスマホで乗り切ろうとしていたため、モバイルバッテリー(電池式)乾電池(予備)を持ってきていた
「よし。やるか」
――――――――――――――――
スマホゲーを始めて数時間経ち飽きてきたのとお腹が空いたので一旦昼食にしようと思いリュックにスポーツドリンクと一緒におにぎりを二つ買っていたので一つ取り出そうとする。中の具は明太子か日高昆布のどっちかだが生ものだし明太子を先に食べるかとか考えたがどっちにしろ二つとも今食べるのでどっちでもいいしどっちも生ものかと思いながら取り出したおにぎりを見てみると
「おっ。明太子か」
明太子のおにぎりを先に食べたが暑さのせいで中のご飯がベタベタしてて少し嫌な気分になりながらもスポーツドリンクでご飯を流し込む
「お茶も買っとけばよかった…」
ご飯とスポーツドリンクの食べ合わせに苦虫を噛み潰したような表情しながらおにぎり二つを完食した。お腹が膨れて眠くなったのでこのままベンチで寝ようかと思ったが暑くて死んでしまいそうだったのでもう一度ぬるくなった冷感タオルを濡らしに立ち上がる。長時間座っていたので少しストレッチをすると至る所からゴキゴキと凄まじい音が聞こえた。
「やば。骨折れたかと思った」
思わずそう言葉がこぼれながら少し歩いてみる。少し体が硬い気がしたが歩いていたら治るかと思い、近くのトイレまで行ってついでに所用を済ませ、手を洗いタオルを濡らす。思いっきり絞って適当なところでやめ、先程いたベンチまで戻る間にタオルを振り回して冷たくする。
「おーつめてー」
振り回したタオルを首に巻くとその冷たさに日向を歩いて汗をかいていた体が冷まされ気持ちがいい、ベンチに戻ってくるとスマホを取り出しアラームをセットする今が大体13時だったので二時間後に起きれるよう15時になるように設定したあと、イヤホンを取り出し音楽をシャッフル再生させてスマホを胸ポケットに戻す。タオルを目元に来るように乗せ、―寝る体勢に入ると心地よくすぐに眠れそうだなと思いながら目をつぶる。
――――――――――――――――
「ピーーーピーーーピーーー」
アラームが鳴るとスマホが震えだした。
瞬間、意識が戻る。うるさいと思いながら目も開けずに胸ポケットにあるスマホのアラームを止める。二度寝しようかな、なんて考えながら目元に置いていたタオルを外す、寝起きで目がちゃんと覚めてないせいでピントが合わず周りがあまり見えなく瞼をショボショボさせながら目元をこする
「ぐっすり寝ちゃったな」
いつもより疲れていたのか夢もみずに寝ていて快眠というか寝た感がかなりある、少し時間が経ちピントも合ってきた
「え?何処ここ?なんでこんな樹海なの?え?」
目がさめるとそこは樹海になっていた。